琉球新報8~9月

2015年09月30日 13:28
<社説>米軍ヘリ飛行再開 人命軽視の二重基準許すな
2015年8月21日
墜落原因が判明していないのに事故同型機が飛行を再開した。民間航空機の事故ではあり得ないことだ。人命を軽視する二重基準をこのまま放置してはならない。
 
 
辺野古埋め立て承認取り消し「義務」 海外識者、知事決断求め声明2015年8月23日
 
 
首相は積極的平和の言葉「盗用」 平和学の父・ガルトゥング氏2015年8月23日
講演に先立ち、新基地建設が進む名護市辺野古を視察し「安倍首相は『積極的平和』という言葉を盗用し、私が意図した本来の意味とは正反対のことをしようとしている」と政府姿勢を批判した。講演では、国会で議論されている集団的自衛権の行使について「時代遅れの安全保障」と、世界の潮流に逆行すると断じた。その上で「北東アジアの平和の傘構想を沖縄から積極的に提起していくべきだ」と強調した。
核の傘ではなく「平和の傘を築く必要性がある」と述べた。その上で、独立の気概をもって特別県になるなどして国際機関を誘致し、共同体の本部を置けるよう早く名乗りを上げることも提唱した。
 また沖縄は米国と日本に植民地のように扱われてきたとの認識を示した。それを乗り越えるには、単に「基地反対」を叫ぶだけではなく、北東アジアの平和を積極的に提起するよう話した。周辺国の非政府組織(NGO)を沖縄に招き、問題解決に向けて協議することを提案した。
 
 
若者ら安保法案、新基地反対訴え シールズ琉球が集会2015年8月25日
安全保障関連法案や名護市辺野古での新基地建設に反対する県内大学生らのグループ「SEALDs RYUKYU(シールズ琉球)」が23日、北谷町美浜で初の街頭行動「戦争法案に反対する緊急アピール」を行った。約500人(主催者発表)が参加し「戦争法案反対」「辺野古を守れ」などと声を上げた
 
 
アーミテージ氏「米は代案あれば聞く」 辺野古見直しに柔軟2015年8月27日
【ワシントン=問山栄恵本紙特派員】米知日派の重鎮、リチャード・アーミテージ元国務副長官が25日までに琉球新報のインタビューに応じた。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設計画について「日本政府が別のアイデアを持ってくるのであれば、間違いなく米国は耳を傾ける」と述べ、翁長雄志知事が県内移設に反対していることを踏まえ、計画見直しに柔軟な姿勢を示した。
 
 
辺野古反対署名に14万筆 九州8団体、衆参議長に提出へ2015年8月28日
 
 
普天間周辺は旧盆も騒音、うんざり 防止協定は形骸化2015年8月28日
 
 
沖縄・相模原米軍事故 原因究明へ地位協定の壁2015年9月2日
 
 
知事、21・22日国連演説へ 人権理事会で基地集中訴え2015年9月4日
2015年9月5日 米でCH53ヘリ墜落 1人死亡、11人負傷 「普天間」所属と同型機
 
 
新基地建設反対 きょう辺野古で県民集会2015年9月5日
2015年9月8日 辺野古新基地、県民投票へ 知事、是非問う 知事選も浮上
 
 
知事、新基地「全力で阻止」 承認取り消しの意向 辺野古集中協議が決裂 2015年9月8日
 
 
辺野古ゲート前、資材搬入を24時間警戒 市民80人、座り込み2015年9月10日
 
 
<社説>辺野古工事再開 民主主義踏みにじる愚行2015年9月13日
政府は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向け、県との集中協議のため1カ月中断していた新基地建設へ向けた関連工事を再開した。
 県が新基地建設の中止を求め続ける中、政府は工事再開を強行した。極めて遺憾だ。安倍政権は沖縄の民意を一貫して無視し、民主主義を踏みにじる愚行をいつまで重ねるのか。怒りを禁じ得ない。・・・・
 翁長知事は21、22の両日に国連人権理事会で演説する。そこで沖縄の民主主義的正当性を強く訴え、民意を無視する日本政府の理不尽さを内外に示してほしい。
 
 
『琉球のアイデンティティ』 琉球問題の「百科全書」2015年9月13日
末尾では「琉球人意識(琉球ナショナリズム)を促進させている現在の状況は、『琉球独立』をより現実的な課題として琉球人の前に提示している。その実現は琉球人の総意に委ねられるとしても、―中略―、自らのナショナリズムと自己決定権の再統一(国家主権の回復)を実現させる唯一の道は、日本からの『独立』であることは疑いがない」と述べている。
 翁長雄志知事は、普天間の辺野古移設問題に寄せて「沖縄にすべて押しつけておいて、一人前の顔をするなと言いたい。これはもうイデオロギーではなく、民族(引用者注―アイデンティティの)問題じゃないかな」と述べている。時宜にかなった本であり、多くの読者に恵まれるであろう。
(平良勝保・沖縄大学非常勤講師)ふいじゃ・かつひろ 本名・青山克博。1959年、大宜味村生まれ。83年、日本福祉大学卒。2013年、奈良大学文学部文化財歴史学科卒。琉球民族独立総合研究学会会員。
 
 
<社説>知事取り消し表明 岐路に立つ沖縄の尊厳 自決権持つ存在と示そう2015年9月15日
沖縄は抜き差しならない重大な局面に入った。
 翁長雄志知事は辺野古新基地建設をめぐり、前知事の埋め立て承認の取り消しに向け手続きを始めた。就任後最大の行政権限行使だ。政府が対抗措置を取るのは確実で、法廷闘争に突入する。
 これは単なる基地の問題ではない。沖縄が、ひたすら政府の命ずるままの奴隷のごとき存在なのか、自己決定権と人権を持つ存在なのかを決める、尊厳を懸けた闘いなのである。知事はもちろん、われわれ沖縄全体が今、近代以来の歴史の分岐点に立っている。
 
耳疑う発言
 ここまでを振り返る。前知事仲井真弘多氏は、米軍普天間飛行場の県外移設を公約にして2010年、再選された。だが13年末、「辺野古移設に反対とは言っていない」という詭弁(きべん)を弄(ろう)し、公約を翻して新基地建設の埋め立てを承認した。病気と称して都内の病院に入院し、病院を抜け出し菅義偉官房長官らと密会した揚げ句のことだ。政府がどう説得したかは知らぬ。いずれにせよ民主主義的正当性と透明性を欠く承認だった。   中略
 それにしても今回の政府の発言には耳を疑う。安倍晋三首相は即座に移設作業を「進めていく」と明言した。菅氏は知事の対応について「普天間の危険性除去に関する政府や沖縄の努力を無視しており、非常に残念だ」と述べた。相手の意思を「無視」し、問答無用で行動したのはどちらの方か。「加害者」が「被害者」を装うのはやめてもらいたい。
 民意を踏みにじる政府の強権姿勢がここまであからさまなのも珍しい。しかし、逆説的だが、沖縄に対する政府の本当の姿を明らかにしたという「効用」もあった。
 
「道具」の再現
 1879年までに明治政府は、武力を用い、独自の王国だった琉球を強引に併合した。太平洋戦争では本土決戦を先延ばしにするため沖縄を「捨て石」にした。戦後、講和条約を結ぶ際には、自らの独立と引き換えに、沖縄を米軍の占領統治下に差し出した。
 普天間飛行場は県内のほとんどの基地と同様、沖縄戦で住民が収容所に入れられている時に米軍が勝手に建設したものだ。それ以外の基地は、1950年代、「銃剣とブルドーザー」で米軍が家や畑を強制接収して造ったものである。沖縄の住民が自ら差し出して建設された基地など一つもない。
 近代以降の歴史を通じて沖縄は、その意思をついぞ問われないまま、常に誰かの「道具」にされ続けた。今回の政府の姿勢はその再現である。沖縄は今後も民意を聞くべき対象ではないとする意思表示にほかならない。
 例えて言えば、あの過酷な原発事故の後、地元町長も知事も反対しているのに、政府が新たな原発建設を福島県で強行するようなものだ。こんな位置付けは、沖縄県以外では不可能だ。沖縄は今後もこうした位置付けを甘受するか否かが問われているのである。 後略