琉球新報8-9月

2017年11月10日 19:17

辺野古で女性が緊急搬送 男性一人が逮捕

2017年8月23日 

米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で23日午後1時すぎ、ゲート前で県警機動隊による座り込み市民の強制排除が行われ、その際に女性1人が頭を地面に強打し、救急車で緊急搬送された。市民らによると、緊急搬送された女性は、検査をしたが異常はなく、自宅に戻ったという。

強制排除中に頭を打った女性の近くにいた市民らは「機動隊3,4人が女性を持ち上げて強制排除する際、投げるように(囲い込みの場所に)入れていた」、「転んだ感じではない。体が浮いて投げられているような感じだった」と機動隊による強制排除が原因だと主張した。 一方、名護署は23日午後1時すぎ、ゲート前で座り込みをしていた男性が警察官の左太ももを殴打する暴行を加え、職務の執行を妨害したとして公務執行妨害の疑いで男性を逮捕した。


配備撤回求め抗議決議 オスプレイ豪墜落で名護市議会  2017年8月23日 

米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイのオーストラリア沖墜落を受け、名護市議会(屋比久稔議長)は23日の臨時会で、同型機の飛行中止と配備撤回、事故原因の速やかな究明・公表などを求める抗議決議と意見書を賛成多数で可決した。宛先は米国大統領、米上下院議長、内閣総理大臣、官房長官、沖縄防衛局長など。 後略


作業ヤードで砕石移動 辺野古、ゲート前に100人  2017年8月23日 

米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設で23日午前10時現在、砂浜付近での仮設道路建設などの作業は見られない。波が高い状態が続いており、沖縄防衛局の警備船や新基地に反対する市民の抗議船は、出ていない。 一方、辺野古崎の作業ヤードでは、クレーンが網袋に入れた砕石をつり上げて移動させる作業が確認された。 米軍キャンプ・シュワブゲート前では、建設に反対する市民ら約100人が集まり「新基地建設やめろ」などと声をあげ抗議デモを行った。午前11時までに資材搬入のためのトラックの出入りは確認されていない。


「オスプレイ撤去を」 国に県民大会決議提出 オール沖縄会議  2017年8月25日 

辺野古に新基地を造らせないオール沖縄会議の稲嶺進共同代表(名護市長)らは24日、外務省や防衛省を訪ね、米軍普天間飛行場の即時閉鎖・撤去と県内のオスプレイ配備撤回を求めた12日の県民大会特別決議を提出した。稲嶺氏は「危機感を持って、オスプレイの配備に対して強い抗議の意を示した。県民、国民の生命財産を守るという立場で働き掛けをお願いしたい」と訴えた。 後略


シュワブゲート前でひき逃げ 軽自動車、抗議市民けが 会社員の男逮捕2017年8月25日 

24日午前5時58分ごろ、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前で新基地建設に反対する男女2人が軽自動車にはねられた。沖縄市の牧師女性(83)が左足脛骨・腓骨(ひこつ)骨折などの重傷、大阪市のNPO職員男性(69)が左膝擦過傷のけがを負った。軽自動車は逃走し、名護署がひき逃げ事件として車両特定や事故原因の捜査を進めている。

 中略 24日に発生した名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前で発生した軽自動車によるひき逃げ事件で、名護署は25日午前0時25分、軽自動車を運転していた会社員の男(18)=那覇市=を過失運転致傷、道交法違反(救護義務違反、自己不申告)の容疑で逮捕した。名護署によると、男は「縁石にはぶつかったが、人とは思わなかった」と容疑を一部否認しているという。 後略


県民投票「住民発意で」 知事、埋め立て承認撤回時期示さず  2017年8月26日 

翁長雄志知事は25日午前の定例記者会見で、辺野古新基地建設の埋め立て承認撤回に向けた大きな一事由となり得る県民投票について、知事から県民投票条例を提案する考えはなく、実施するなら住民発意で行われるべきだとの考えを明らかにした。来年12月までの任期内に撤回する可能性を問われたが、重ねて時期は明言しなかった。 後略


新基地巡る 思い追う 映画「いのちの海」完成 2017年8月27日

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設が進む大浦湾と周辺で暮らす人々の生活や思いを追ったドキュメンタリー映画「いのちの海 辺野古 大浦湾」(謝名元慶福監督)が、このほど完成した。9月以降、県内各地で上映会が開かれる。

 映画は上映時間71分。新基地建設に反対するため米軍キャンプ・シュワブのゲート前で座り込む人々や辺野古に住む人々が思いを語っている。大浦湾や辺野古集落を、小型無線ヘリで上空から撮影した。 後略


「カメジロー」盛況 東京上映、初日立ち見も2017年8月28日

米統治下の圧政に不屈の精神で抗議する姿勢を貫いた瀬長亀次郎さんのドキュメンタリー「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー」(佐古忠彦監督)の上映が26日、東京都内で始まった。上映会場の渋谷区のユーロスペースは初日から立ち見が出るほどの盛況となった。後略


辺野古移設反対組織に平和賞授与 ドイツ国際団体、非暴力を評価2017年8月31日

 ドイツの国際平和団体「国際平和ビューロー」(IPB、ベルリン)は、2017年のショーン・マクブライド平和賞を、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対する政党や団体でつくる「オール沖縄会議」に授与すると決めた。IPBから連絡を受けた同会議関係者が31日明らかにした。

 IPB自体は、1910年にノーベル平和賞を受賞している。

 オール沖縄会議は、移設反対を掲げる翁長雄志知事の支援母体で15年12月に設立。授賞理由に「軍事化や米軍基地に反対する非暴力の取り組み」などを挙げた。後略


保良鉱山に弾薬庫 宮古陸自配備 防衛省、最有力候補2017年9月7日

宮古島市への陸上自衛隊配備計画で、ミサイルを保管する弾薬庫の設置場所に市城辺保良(ほら)の「保良鉱山」が有力候補となっていることが6日までに、複数の政府関係者への取材で分かった。防衛省は同保良にあるゴルフ場も候補地の一つにしていたが、市内の陸自配備賛成派の求めによって保良鉱山を最有力地とした。同省は10月下旬の市議会議員選挙への影響を考慮し、市議選後に公表するとみられる。鉱山の経営者と保良部落会長は賛否を明らかにしておらず、地元の対応によっては計画の進(しん)捗(ちょく)に影響が出る可能性がある。 後略


 沖縄県外移設、なぜできなかった? 普天間第二小元教員、元児童が手紙 鳩山氏と7年越し面談2017年9月10日

2010年、普天間飛行場の移設先を「最低でも県外」と明言していた当時の鳩山由紀夫首相に、普天間第二小の児童らの手紙を直接、手渡した同小元教員の下地律子さん(62)と、手紙を書いた琉球大学1年の多和田有紗さん(18)の7年越しの鳩山氏との面談が9日、那覇市内で実現した。鳩山氏は「当時はがんじがらめの状態で、自分が納得できない形で答えを出してしまった。今日まで回答できず申し訳なかった」と謝罪した。

 2010年5月、普天間飛行場隣の普天間第二小学校で開かれた住民対話集会で、下地さんは児童らの手紙を手渡し、同飛行場の閉鎖と県外移設を求めた。

 9日、7年越しに顔を合わせた2人。初めはぎこちない雰囲気が漂った。「なぜ県外移設ができなかったのか」と下地さんに問われた鳩山氏は、「オバマ大統領からは『柔軟であってもいい。早く結論がほしい』と言われていた。しかし本来であれば動いてくれるはずの防衛省も外務省も動いてくれず、聞く耳を持たなかった」と振り返った。

 鳩山氏は「(官僚らは)背後で米国に『鳩山の言うことなんて聞かないほうがいいよ』と伝えていた。いわゆる"面従腹背"だった」と批判。「米国の言うことを聞く官僚が出世していく仕組みだからだ」と指摘した。

 面談で鳩山氏は、「県外移設を諦めていない」と意欲を示した。「辺野古に基地は造らせない、飛行場移設は早く行わなければならないという難しい課題だが、沖縄のために何ができるか考えたい」と述べ、沖縄を東アジアの"平和の要石"にする構想を説明した。

 これに対し、多和田さんは「すてきなこと。ぜひ実現してほしい」と要望。下地さんは、鳩山氏に「当時は心情的に握手できなかったが、今は一緒に頑張りたい」と握手を求め、和やかな雰囲気になった。


「日本主導で捜査を」 政府に地位協定改定案 翁長知事2017年9月12日 

翁長雄志知事は11日、防衛省や在日米国大使館を訪れ、県が17年ぶりに作成した日米地位協定の改定案を提出した。昨年12月の名護市安部でのオスプレイ墜落事故で日本側が捜査できなかったことなどを踏まえ、米軍機の事故時に日本側が捜査し財産を差し押さえられることや、現場統制を主導できるようにする内容などを盛り込んだ。後略


尖閣問題で「死者出れば沖縄観光は終わる」 翁長知事  9.12 朝日デジタル

 (11日で沖縄県・尖閣諸島の国有化から5年になることを報道陣から問われ)ニューヨークで(2001年9月に)飛行機がビルに突っ込んで、その1週間後から沖縄への修学旅行がぴたっと止まった。米軍基地があるから危ないと。観光客を取り戻すのに3~4年かかった。もし尖閣でいざこざがあり、死者でも出れば、沖縄観光は一発で終わる。もう石垣に行く人はいなくなる。日本の立場を維持しつつも、平和外交で物事を解決してもらわなければ、私たちは立つ瀬がない。(東京・防衛省で日米地位協定改定の要請後、記者団に)


教科書、県民大会10年 「実現させる会」がシンポ2017年9月14日 

歴史教科書での「集団自決」(強制集団死)の強制性記述の回復を求めて活動する「9・29県民大会決議を実現させる会」は13日、国会内で2007年の県民大会から10年に合わせたシンポジウムと「集団自決」に関する写真展を開いた。シンポジウムでは「集団自決」があった読谷村のチビチリガマが荒らされているが見つかったことを受け「破壊行為を断じて許さない」などとする抗議アピールを採択した。 アピールではチビチリガマが「極めて異常な形で死に追い込まれた人々の無念の思いが込められた場所」とし、顔を見せず声や意図も明らかにせずに蛮行を実行したひきょうな行為者とその破壊行為に対する抗議の意思を表明した。後略


ゲート前市民、雨の中座り込み 海上作業は無し2017年9月13日

米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古での新基地建設で13日午前10時半までに、海上での作業は確認されなかった。台風18号の影響で大雨が降る中、工事用車両が出入りする米軍キャンプ・シュワブゲート前では基地建設に反対する市民が朝から座り込み、集会を始めた。13日午前10時半現在、工事用車両58台が基地内に入った。

 13日午前9時20分、ゲート前に座り込む市民たちを県警の機動隊が強制的に排除し、工事用車両の通り道を確保した。市民から「違法工事やめろ」「埋め立てを許さないぞ」「県警は加担するな」などと反発の声が上がった。


<社説>県の地位協定改定案 政府が断る理由はない2017年9月13日

不平等な協定を見直すことに躊躇(ちゅうちょ)は要らない。主権国家の自覚があるならば、政府が断る理由はないはずだ。 翁長雄志知事が防衛省や外務省、在日米国大使館などに、県が17年ぶりに作成した日米地位協定の改定案を提出した。

 昨年12月の名護市安部沿岸へのオスプレイ墜落事故で日本側が捜査できなかったことなどを踏まえ、米軍機の事故時に日本側が捜査し、財産を差し押さえられることや、現場統制を主導できるようにする内容などを盛り込んだ。

 本来ならば、県が要請するまでもなく、政府が地位協定の改定案を国民に示すべきである。にもかかわらず1960年の地位協定締結以来、一度も改定されていないのである。政府の対米追従姿勢の結果と言うほかない。

 とりわけ、沖縄がその影響を受けている。後を絶たない米軍人・軍属による事件事故によって県民は常に危険にさらされている。国土面積の約0・6%の沖縄に、在日米軍専用施設の約70・38%が集中していることに加え、地位協定の存在そのものが県民の重圧になっているのである。

 安部沿岸でのオスプレイ墜落事故では、日本側が捜査を申し入れても米軍は無視した。報道陣には正当な理由もなく退去を求めた。

 民間地域であるにもかかわらず、事故を起こした当事者であるにもかかわらずである。米軍が思うままに振る舞うことを認めているのが、地位協定である。

 主権を侵されているとの認識が政府にあるのか疑わしい。独立国の誇りを捨て米国を優先することで生じた歪(ひず)みが、県民の平穏な暮らしを脅かし続けていることを真摯(しんし)に受け止めるべきである。

 地位協定は米軍人・軍属を特権的に保護し、公正な刑事訴追も妨げている。事件事故の補償の面でも県民・国民に不利益を強いている。

 米軍人・軍属による公務中の事件事故は、日米両政府が賠償を負担する。だが、公務外の場合は加害者本人の責任とされ、被害者が泣き寝入りする状況が続いている。政府はこのような状況をいつまで放置するつもりか。早急に改めるべきである。

 県の改定案は無理難題を突き付けているわけではない。イタリアでは国内の全米軍基地は、イタリア軍司令官の下に置かれている。米軍機事故の検証もイタリア側が主導権を持って当たる。これが主権国家のあるべき姿だ。

 本来なら米軍人・軍属の特権的な取り扱いを認める地位協定は破棄すべきものだ。それができないのならば、米軍や軍人・軍属の行動を強く規制する内容に改めるべきだ。

 沖縄の負担軽減は政府の約束である。地位協定改定と併せ、基地の整理縮小に名を借りた基地機能強化をやめない限り、約束は実現できない。政府はそのことを深く認識し、対応すべきである。

<社説>元米国防長官証言 「辺野古唯一」虚構を証明2017年9月15日

 元米国防長官ペリー氏が米軍普天間飛行場の移設先の決定要因は「安全保障上の観点でも、軍事上の理由でもない。政治的な背景が原因だった」「米国がここに移設しなさいと決定する権利はない。(移設先の決定には)日本政府の政治的な判断が大きく関わっている」と述べた。

 「政治的な背景」や「政治的な判断」とは何か。

 米軍基地問題の沖縄以外への波及を避けることに主眼を置き、沖縄に過重な米軍基地負担を負わせることを躊躇(ちゅうちょ)なく選択した政府の姿勢のことである。それは沖縄差別政策にほかならない。

 米政府関係者の証言は以前からある。元駐日米大使のモンデール氏は2004年、米国務省外郭団体のインタビューで1995年の米兵による少女乱暴事件に関して「(事件から)数日のうちに米軍は沖縄から撤退すべきか、最低でも駐留を大幅に減らすかといった議論に発展した」が、「彼ら(日本側)はわれわれが沖縄を追い出されることを望んでいなかった」と振り返っている。

 ペリー氏は移設先を「沖縄本島東海岸沖」と決定した96年12月の日米特別行動委員会(SACO)最終報告を承認した当時の米国防長官である。モンデール氏は96年4月に橋本龍太郎首相との共同記者会見で普天間飛行場の返還合意を表明した人物である。両氏の証言に、日本政府は反論できまい。

 移設先決定権は日本政府が持っていた。にもかかわらず沖縄の過重負担を解決できる機会を放棄したのである。その結果、米軍人・軍属の事件事故の犠牲が連綿と続いている。昨年の米軍属女性暴行殺人事件も、政府の沖縄に対する差別的な基地押しつけの延長線上にある。

 日本の関係者の話などからも辺野古を移設先とした理由が明確になっている。

 普天間飛行場返還合意時の官房長官だった梶山静六氏は98年、移設先が沖縄以外だと「必ず本土の反対勢力が組織的に住民投票運動を起こす」と辺野古を移設先とする理由を記していた。

 森本敏氏は防衛相当時の2012年、「軍事的には沖縄でなくてもよいが、政治的に考えると沖縄が最適の地域だ」と述べた。森本氏も軍事的、地政学的な理由ではなく、政治的状況を優先して辺野古に決定したことを認めていた。

 安倍政権の唱える「辺野古移設が唯一の解決策」は沖縄県民のためではなく、県民以外の国民にとっていい解決策ということでしかない。数々の証言や文書が示している。

 全ての国民は「法の下に平等」と明記した憲法14条に、政府の辺野古への新基地建設計画は明らかに反する。直ちに断念すべきだ。


八重山毎日新聞 中国の尖閣強奪はあるのか2017年09月13日 社説 

国有化5年、日中のにらみ合い続く

 ■国有化に市長も積極関与

 北朝鮮の核実験やミサイル発射で緊張が続く中、尖閣諸島が国有化されて11日で5年が経過した。 思い起こせば中国漁船による巡視船への衝突事件を機に領有権をめぐる対立が激化する中、2012年4月、訪米中の石原慎太郎都知事がワシントンでの講演で、「尖閣諸島を中国から守るため」と称して東京都が購入する計画を突然ぶち上げた。 「なぜ東京が?」の疑問もある中、これにいち早く賛同したのが尖閣を行政区域に持つ中山石垣市長だ。1週間後には都知事と面談して賛同を伝え、管理のための寄付口座も開設した。 石原都知事や中山市長らにあおられて当時の野田民主党政権も5カ月後の同年9月、3島を20億5000万円で買い上げ、国有化に踏み切った。 しかしこれに中国が激しく反発。以来中国公船の領海侵入は国有化後急増して常態化。尖閣の海では石垣海上保安部巡視船と連日、にらみ合いの神経戦が続いている。海だけでなく空も中国機に対する自衛隊機の緊急発進(スクランブル)が急増している。

 ■中国軍が尖閣を占拠?

 いわば市長らが関与した国有化が中国の強硬姿勢の口実となり、今の激しい対立になっている。それを安倍政権や中山市長らは「わが国周辺にかつてない脅威が増している」と今にも中国が攻めてくるような不安をあおり、安保関連法制定や米軍の辺野古新基地建設、宮古・八重山への自衛隊配備に巧みに利用しているのは違和感がある。そういう中で10日の本紙に、中国が海軍陸戦隊(海兵隊)を独立性の強い組織に格上げし、尖閣諸島の占拠作戦を視野に入れている可能性があるとのドキッとさせる報道(北京時事)があった。台湾国防部の報告書を基にした観測記事だが、一方で同報告は「中国が尖閣上陸を想定しているかどうかは明確に触れていない」ともしている。よく自衛隊配備に絡んで石垣でも誘致派が「中国の武装漁船団が尖閣を占拠する」と喧伝するが、果たして中国の尖閣強奪あるいは占拠はあるだろうか。多くの識者によればその可能性は限りなくゼロに近いという。

 ■自衛隊は尖閣に配備せよ

 たかが尖閣のために世界第2位の経済大国中国が日米を相手に国を破滅させる戦争をするほど愚かでない。それは好戦的なトランプ米大統領でさえ、北朝鮮からどんなに挑発されても本格的な戦争になる武力行使を避けていることで明らかという。尖閣への領海侵入も、あくまで人口10億人余の巨大な国を統率するためのアピールというのが識者らの見方だ。現在尖閣は陣容、装備とも巨額の税金を投じた海上保安庁の空と海からの24時間監視体制でしっかり守られている。石垣や宮古に最新装備の巡視船を次々投入、1航海で1隻1000万円ともされる燃料費をかけて連日連夜4隻以上が尖閣を守っている。 それをあえて武力で守るというなら自衛隊は多くの市民が嫌がる石垣、宮古でなく尖閣に直接配備すべきだ。しかし武力による紛争解決は不幸を招くだけだ。国有化から5年、解決にはまだまだ波高しだが、時間はかかっても外交努力で平和的に解決すべきだ。


軍拡は平和への道ではない 八重山毎日新聞2017年09月09日社説 

南西シフトのきな臭さ

 ■防衛予算編成への懸念

 防衛省はこのほど、18年防衛予算の概算要求を決定した。17年比2.5%増、6年連続増となる5兆2551億円。過去最大の軍拡路線だ。報道によれば北朝鮮ミサイル防衛(MD)など地上配備型の「イージス・アショア」の関連経費を含んでいないため、要求額はさらに膨れ上がることになる。防衛戦略の南西シフトが一段と進められる。このうち南西諸島への自衛隊配備計画は総額552億円で、駐屯地整備が始まる宮古島が260億円、用地取得を見込む石垣島で136億円を計上している。いずれも配備計画に多くの住民が反対する中、なし崩しに進めようとしているのが実態ではないか。宮古では未解決だった弾薬保管庫について、地対空、地対艦ミサイルの弾薬庫や射撃訓練場等の配備先を城辺保良の採石場とする方向で年内にも決定するという。また、施設整備に合わせ18年度末に宮古警備隊約380人を配備することも決定した。南西諸島にきな臭さが漂う。

 ■島の「戦場化」想定を憂う

 さらに、恐るべき防衛戦略も明らかになっている。

 要求予算のうち目につくのが、初めて計上された「島しょ防衛用高速滑空弾」だ。外国軍に占領された島を奪還するために、標的に近い島から攻撃するための技術研究に100億円を計上している。 すでに自衛隊が保有するミサイルよりも長い射程で超音速をめざし、飛行経路を予測しにくくするため滑空させるというもの。新型ミサイルである。 その前提は、18年3月に発足する水陸機動団が担う離島奪還作戦だ。県内のほとんどの離島は住民避難計画が策定されておらず、住民に多大な犠牲がでることが懸念される。 例えば石垣から与那国間は約250㌔。かみ砕いていえば、与那国が占領された場合、石垣島から高速滑空弾で攻撃し、水陸機動団が強襲上陸するシナリオになる公算が大きい。 宮古から石垣を攻撃する、あるいはその逆のシナリオも当然考えられる。南西諸島防衛計画には、私たち住民の存在がまったく配慮されていないとしかいいようがない。 私たちの住む島が外国軍に占領され、しかも自衛隊によって攻撃される想定のおぞましさ。島々の「戦場化」を意味する。言語道断、声を上げる時だ。


 ■オスプレイが島を飛ぶ日

 また予算要求には、これも「南西諸島への攻撃に備える」ため、水陸機動団と連動する垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ4機の取得経費457億円も含まれた。これにより中期防衛計画で定めた17機すべての取得費を確保したこととなる。 先の離島奪還作戦は、水陸両用の機動団が海上から強襲上陸するとともに、オスプレイによる兵員輸送が確実視されている。墜落相次ぐ機体が島々の上空を飛ぶ日が刻々と近づいている。 先月末、岩国基地から普天間基地に帰還するオスプレイがエンジンから出火、大分空港に緊急着陸しエンジン交換など修理しており、やはり欠陥機だ。 かつて日本の防衛戦略が北海道「局地戦」を想定した対ソ連シフトだったことを思えば、「南西諸島シフト」は、戦闘を日本本土から遠く離れた南西諸島、特に先島での「局地戦」に閉じ込めておきたい思惑が透けてみえる。 その島々に住む私たちは、その存在を防衛戦略に無視されていいのか。 予算編成にみる防衛戦略が指向するものは、「北の脅威」や「尖閣危機」など環境変化を利用した「島しょ防衛」の名のもとの軍拡である。 軍拡は決して「平和への道」ではない。

広島、京都の退職教員と学生が抗議に参加 辺野古新基地建設2017年9月16日

米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、キャンプ・シュワブゲート前には16日午前、台風18号の通過に伴う悪天候にもかかわらず、市民や議員ら約150人が集まり、新基地建設に抗議の声を上げた。

 午前11時現在、工事車両による資材搬入は確認されていない。大浦湾海上や米軍キャンプ・シュワブ沿岸での作業も行われていない。

 ゲート前で抗議行動をしていた参加者は午前10時ごろ、雨が強くなったことを受け、テントに移動した。京都府の立命館大学から授業の一環で来県している大学生5人があいさつした。

 3年生の男子学生は「ニュースで見るのと現場で見る米軍基地の規模の違いに驚いている。報道で分からない現実を知ることができた」と話した。 3年生の女子学生は「実際に来てみると威圧感がある。怖いという感情を持った。ここに来て知ることのできる感情を大切にしたい」と話した。

 広島県尾道市からは「退職女性教職員の会」の女性10人が参加した。山本直美さん(63)=広島県尾道市=は「広島県民として核兵器廃絶や戦争反対への強い気持ちを抱いている」と語り「私たちも辺野古の海を守りたい。日米両政府による、こんな暴挙は許されない」と連帯の気持ちを示した。


日朝平壌宣言15年 アジア安定の目標は不変2017年9月17日

小泉純一郎首相と北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が会談し日朝平壌(ピョンヤン)宣言に署名してから、きょう15年を迎える。

 日本は植民地支配の過去を清算し、北朝鮮は核・ミサイル・拉致問題を包括的に解決したうえで日朝が国交を正常化するのが柱だ。

 金総書記が核問題解決を約束し、拉致問題を認め謝罪したことで、日朝関係は前進するかにみえた。

 しかし、宣言の目的はどれも果たせず、遠ざかっているのが現状だ。

 北朝鮮は米本土に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射し、水爆の実験に成功したと主張している。核弾頭化した弾道ミサイルの配備も間近とみられている。

 拉致問題は、15年前の「5人生存、8人死亡」をもって「解決済み」と譲らず、口では再調査を約束してもなにも進んでいない。

 宣言はすでに空文化しているという事実は受け止めざるを得ない。

 しかし、それでも平和で安定した北東アジアを構築するという宣言の理念は揺るがないはずだ。

 宣言は、米国を含む関係国が信頼関係を築き、国交を樹立し、地域の信頼醸成を図る枠組みを整備する、という方向性を明確に示している。

 こうした構想は、後の日米韓中露と北朝鮮の6カ国協議の設立に反映されている。

 宣言は、正常化後に日本が北朝鮮の国づくりや人道支援などで経済協力することも明記している。 ・・中略・・

 核・ミサイル・拉致の包括的解決という原則を維持しつつ、硬軟両面の外交を粘り強く続けるべきだ。


 パラシュート訓練 米本国に移転すべきだ 2017年9月23日 

日本政府の無力ぶりが際立っている。

 県や地元市町村が反対する中、米軍は米空軍嘉手納基地でパラシュート降下訓練を実施した。米軍は「わずか3回」と強調するが地元からすると「3回も強行」である。

 1カ月前にワシントンで開催された日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で、日本側が嘉手納基地での降下訓練を取り上げ、地元の「懸念」を伝えたばかりだ。

 降下訓練は、1996年の日米特別行動委員会(SACO)の合意をほごにしている。しかし、外務、防衛両大臣が日本政府の立場を伝え、強く要請した形跡は見えない。実際には地元の強い要望に「配慮」し「理解を得るための努力」を米側に求めたにすぎなかったことが、これではっきりした。その気がないのである。

 政府が今回の訓練を「遺憾」と表明するだけなのも、訓練制限に向け具体的な行動を起こさないことにも合点がいく。あきれた従属ぶりではないか。・・中略・・

  降下訓練は危険だ。今年1月、伊江島補助飛行場でパラシュート降下訓練中だった米陸軍所属の米兵1人が、フェンスを越えて同村西江前の民間地に着地した。過去に民間人の死亡を含む事故を何度も引き起こしている。

 そういう危険な訓練を伊江島で実施すること自体反対だ。日本政府は沖縄の負担を軽減すると繰り返し主張してきた。それならSACO合意を見直し、降下訓練の移転先を「伊江島」から「米本国」にするよう変更すべきだ。日本と米国が対等な関係なら当然の要求だろう。


「当たり前」が差別に 沖縄と憲法で講演 首都大教授・木村草太氏2017年9月24日 

沖縄弁護士会主催の憲法施行70周年記念講演会「沖縄と憲法」が23日、沖縄市民会館で開かれた。首都大学東京教授で憲法が専門の木村草太さんが講演し、米軍基地問題で沖縄が受けている人権侵害や差別について「本土にとって沖縄に米軍基地があることが当たり前になり過ぎていることに原因がある」と解説した。約600人が参加した。 ・・中略・・ 人権問題と認識させるには「まずその状況を知ってもらうことが出発点だ」とし、さまざまな世代に広く情報を発信することの重要性を強調した。


「花畑に住む平和ボケ」 石垣市議が発言 陸自配備巡り2017年9月26日 

石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備を巡り、市議会9月定例会で与党の石垣亨市議が配備反対の市民を「お花畑に住む平和ボケ」と表現したことが分かり、反対市民が反発している。25日、約1万4千筆の配備反対署名を中山義隆市長に提出した「石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会」は同会事務所で会見を開き、「署名した市民を侮辱している」と発言を批判した。石垣市議は取材に「侮辱する意図は全くない」とした。 後略


被覆ブロック製造 工事、新たな段階か 辺野古2017年9月26日 

名護市辺野古で新基地建設を進める沖縄防衛局が米軍キャンプ・シュワブ内で被覆ブロックを製造していることが25日、分かった。シュワブ内で被覆ブロックを製造する作業が確認されたのは今回が初めて。被覆ブロックは、埋め立て予定地の護岸に設置されるものとみられる。護岸は砕石を基礎として被覆ブロックで固め、同ブロックに沿って消波ブロックなどを設置し、造られる。新基地に反対する市民団体は「政府が進める工事が新しい段階に入った」と指摘した。後略

地権者大半、提供に同意 来月にも正式契約 宮古島の陸自配備 千代田ゴルフ場


2017年9月26日 

宮古島市への陸上自衛隊配備計画で、駐屯地建設が計画される市上野野原のゴルフ場「千代田カントリークラブ」(下地藤康社長)の地権者の大半が、土地の提供を認める文書を防衛省と交わしていたことが25日までに、各地権者への取材で分かった。ただ一部の地権者は意向を明かしていない。同省は土地取得費を公表していないが、地権者らの話を総合すると用地購入費の総額は8億円前後とみられる。地権者の一人は売買ではなく借地契約を結ぶ方針。同省は10月にも正式な売買・借地契約を結ぶとみられる。 後略

 在沖基地の核配備、調査求める 県民共闘会議が発足2017年9月27日


在沖基地に核兵器が配備されているか否かを明らかにする必要があるとして、平和運動などに取り組む六つの市民団体がこのほど「核兵器から命を守る沖縄県民共闘会議」を設立した。26日、県と県議会を訪ね、米軍基地内の核の有無を調査するよう陳情した。共闘会議は、山内徳信・元参院議員など4人が共同代表を務める。

 共闘会議は、10日のNKH番組「NHKスペシャル 核と沖縄」をきっかけに24日に設立した。


約20人のメンバーらは26日、県の吉田勝広政策調整監、新里米吉県議会議長を訪ね「復帰前に配備された約1300発の核が撤去された記録がない」などと指摘し、県と県議会、専門家による米軍基地内の調査が必要だと訴えた。

メンバーからは「政府は核兵器の有無を明確にしないことこそが抑止力だと主張するかもしれないが、そんな曖昧な態度なら全基地撤去の動きになる」などの声が上がった。

 吉田調整監は「番組が報じた新事実に衝撃を受けた。外務省に質問を出しており、回答を待ちながら対応を検討したい」と答えた。 後略


辺野古埋め立て予定地に危惧種サンゴ 防衛局、県に採捕申請へ2017年9月28日

米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、埋め立て予定地に絶滅危惧種のオキナワハマサンゴなど14群体のレッドリスト掲載サンゴが見つかったことが27日、分かった。全14群体のうちオキナワハマサンゴ1群体を除く13群体が死滅、消失していた。沖縄防衛局は周辺では陸上工事のみ実施しているとして工事の影響による死滅を否定した。防衛局調査で絶滅危惧種のサンゴが発見されたのは初。生存する1群体を移植するため、同局は今後、県知27日、防衛省で開いた環境監視等委員会(委員長・中村由行横浜国立大学大学院教授)で委員に説明した。

 防衛局は環境省が3月に海洋生物レッドリストを公表したことを受け、6月からK1護岸とN5護岸の間の海域でレッドリスト掲載のサンゴ類の生息状況を調査した。

 7月に絶滅危惧2類のオキナワハマサンゴ2群体、準絶滅危惧のヒメサンゴ12群体を発見したが、高水温が影響とみられる白化が見られたことから生息状況を確認し事に特別採捕許可を申請する。 後略


 辺野古新基地、石材を海上搬入へ 防衛省、抗議活動を回避2017年9月28日 

米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古での新基地建設を巡り、防衛省は27日、護岸工事に使う石材などの資材を海上から搬入する方向で検討していることを明らかにした。石材の海上搬入は初となる。省内で開いた環境監視等委員会(委員長・中村由行横浜国立大学大学院教授)で委員に説明した。米軍キャンプ・シュワブゲート前では反対する市民の抗議活動を避け、大量の資材を海上から搬入することで工事の加速を狙う。ただ、今後の建設予定海域では絶滅危惧種のサンゴが見つかっており、海上搬入による影響が懸念される。後略


「オール沖縄」と自民、維新など対決 衆院選、沖縄は12人出馬へ 辺野古の是非、再び

2017年9月29日

衆院選は10月10日公示、22日投開票の日程が決まった。沖縄の4選挙区には9月28日現在、前職9人と新人3人の計12人が立候補を予定している。事実上、前回選挙で米軍普天間飛行場の辺野古移設反対を掲げて4選挙区を独占した「オール沖縄」勢力と政権与党の自民、野党の維新で議席を争う構図となりそうだ。

衆院解散に批判も 辺野古新基地、80人が抗議2017年9月28日

米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡る新基地建設で28日、米軍キャンプ・シュワブ沿岸では「N5」護岸建設予定地付近で、仮設建設道路のため袋に入った採石を積む作業が続いた。「K1」護岸建設予定地付近では、作業員がコンクリートブロックの上にH鋼を設置する作業を続けた。建設に反対する市民は、抗議船2隻とカヌー10艇を出し、抗議した。午前11時ごろまでに、カヌー延べ8艇が拘束された。

 シュワブゲート前では、約80人が座り込み抗議の声を上げた。衆院が正午すぎに解散となったのを受け、安倍晋三首相の政権運営に批判の声が相次いだ。読谷村の60代男性は「なぜ解散するのか。いつまでも首相(の座)にすがりたい。ただそれだけだ」と否定的な立場を示した。