琉球新報6-8月

2017年10月22日 14:28

「命守るというなら嘉手納も金武も」 移設根拠の詭弁突く 護岸着工1ヵ月
2017年5月25日 

米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古での新基地建設で、大浦湾海上での護岸工事着手から25日で1カ月がたった。K9護岸建設現場では、沖縄防衛局が砕石を次々と砂浜に敷き詰めている。名護市汀間の新名善治区長(64)は「政府はどんなことをしても埋め立てるつもりだろう」と、苦々しい表情でつぶやく。 大浦湾に臨む汀間区は区民約240人の小さな集落だ。区は移設反対を決議している。区内を流れる汀間川沿いに区民総出で遊歩道を整備するなど、政府の振興策に頼らない地域活性化にも取り組む。新名さんは2013年に区長になった。護岸着工の翌日には、辺野古埋め立て承認を早期に撤回するよう県に要請するなど、区を代表して移設阻止を訴え続けている。

 政府はこれまで汀間区で新基地建設についての説明会を開いていない。新基地が完成した場合、区民の頭上を米軍機が飛び交うことにもなる。政府が「地元」という久志区より汀間の方がむしろ新基地建設予定地に近い。新名さんは「(移設に)反対すると説明会すら開かない。政府にとって汀間は地元ではないのだろう」と皮肉を口にする。 防衛局の職員は1~2カ月に1度、汀間区を訪れる。そのたびに、大浦湾を埋め立てる理由を問うが、職員は「県民の命を守るためで、世界一危険な基地である普天間飛行場の危険性除去だ」と同じ答えを繰り返すだけだ。新名さんはその答えを「詭弁(きべん)だ」と切り捨てる。「普天間と同様、住宅地にある嘉手納町や金武町の基地も撤去するのかと聞くと黙る。通りのよい言葉でごまかしているだけだ。本当に(県民を)守るためなら撤去すると言えるはずだ」と指摘する。

 新名さんは基地建設に反対してくれと押し付けているわけではない。仮に、政府が県民の命を守るために嘉手納も金武も基地を撤去すると説明するなら移設受け入れを考える必要もあるかもしれないと説く。だが、実態はそうではない。

 新名さんは上京して政府にも再三、移設撤回を訴えてきた。政府は危険性除去を繰り返し、全基地撤去を問うと黙り込んだ。「つじつまの合わない建前しか話さず、海を壊して基地を造る。納得できるはずがない」と怒りをこらえながら語る。

 「実態を知り、自分の価値観で判断してもらいたい。この海を残せるかどうかの大きな分岐点だ。わが身に置き換えて、もう一度考えてみてほしい」と話した。(佐野真慈)


辺野古土砂運搬拒否を 全国港湾組合連合会、業界団体に要求書 2017年5月30日

全国の港湾労働者らでつくる国内最大の労働組合「全国港湾労働組合連合会」(糸谷欽一郎中央執行委員長・組合員数2万2773人)は29日、名護市辺野古の新基地建設工事に使用される土砂の搬出入業務を拒否するよう会社側に求める要求書を業界団体の日本港運協会(久保昌三会長)に提出した。全国港湾労連はこれまで、辺野古の新基地建設に対し反対決議や抗議声明を出してきたが、労使交渉の対象となる「要求書」に盛り込み、労働問題として交渉するのは初めて。

 辺野古の新基地建設工事には2100万立方メートルの土砂が必要とされ、うち8割にあたる1700万立方メートルは県外から搬入されることになっている。沖縄防衛局の埋め立て申請添付図書で、県外の土砂搬出元として徳之島、奄美大島、佐多岬、天草、五島、門司、瀬戸内の計7地域が記されている。

 労連中央執行委員で辺野古新基地建設反対対策委員会の諸見力事務局長は「違法な仕事をさせないでという、自分たちの職場の問題として向き合っていきたい」と意義を語った。諸見事務局長によると、港運協会側は「辺野古の工事が違法であるか否かは第三者が判断していないので協会としては何とも言えない」と答えたという。

 要求書で労連は、新基地建設は県知事の岩礁破砕許可を得ずに国が強行している「違法行為」であるとし、違法行為に労働者を加担させないよう求めている。具体的には(1)使用者団体として政府の違法行為を看過しないこと(2)辺野古新基地建設に伴う土砂等搬出入荷役作業等についてすべての会員店社に対し行わないよう指導徹底した上で禁止すること-とし、団体交渉権に基づく労使協定の締結を求めている。


「政府、過度な権力行使」 山城議長逮捕に 国連報告 2017年5月31日 

 ジュネーブの国連人権高等弁務官事務所は30日、昨年4月に日本を調査した言論と表現の自由に関する特別報告者デービッド・ケイ氏による対日調査報告書を公開した。米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設や、北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設などに抗議した市民が逮捕されたことを挙げ「政府が過度な権力を行使している」と指摘し、懸念を表明した。報告書は6月12日の人権理事会本会議でケイ氏が発表する。表現の自由に関する正式な報告書で沖縄に言及するのは初めて。

 沖縄平和運動センターの山城博治議長が抗議行動を巡って逮捕され、長期勾留されたことを踏まえ、日本政府に対して「抗議行動に不釣り合いな制限が加えられている」「裁判なしに5カ月間拘束したのは不適切で、表現の自由に対する萎縮効果を懸念する」とした。

 記者の取材を警察が妨害したことにも触れ、「過度の制限を回避するため(規制の適用に至る)経緯を慎重に見直さなければならない」と指摘した。

 沖縄の状況については「表現と抗議に対し、継続的に規制が加えられている」と指摘。その上で「全国の人々が反対意見や沖縄に関する情報に接する機会を確保することについて、懸念を表明する」とした。

 自民党の改憲草案に対しては「日本の人権保護を弱体化する恐れがある」と批判したほか、女性差別を含めた広範な差別禁止法の制定も求めた。

 第35回人権理事会は6月6~23日にスイス・ジュネーブの国連欧州本部で開かれる。沖縄国際人権法研究会など複数の非政府組織(NGO)は15日ごろ、山城博治氏を本会議に登壇させ、沖縄の基地問題と人権状況について訴える。同研究会などは、国連欧州本部でシンポジウムも開き、沖縄で表現の自由が侵害されている状況を伝える。

翁長県知事、差し止め提訴表明 辺野古、破砕許可取得要求 2017年6月8日 

 翁長雄志知事は7日夕、沖縄県庁で会見し、名護市辺野古の新基地建設で沖縄防衛局が県の岩礁破砕許可を得ずに護岸工事を続けていることに対し「差し止め訴訟を提起する」と述べ、国を相手に提訴する方針を明らかにした。・・後略

辺野古基金寄付 6億2538万  2017年6月10日

米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設阻止を目的とした「辺野古基金」は9日、7日時点の寄付が6億2538万2841円になったと発表した。記帳件数は11万1839件。広報費を含む他団体に支援した支出額は4億4245万6278円。

集会の司会 県警「違法」 広範囲排除で見解  2017年6月10日

名護市辺野古の新基地建設に反対する市民の抗議行動に対し、機動隊が米軍キャンプ・シュワブのゲート前で座り込んでいる市民だけでなく、道向かいの歩道で集会の司会者まで拘束・排除の対象を広げた件で、県警は9日までに「扇動しているリーダーも同じように違法行為をやっている人と見なしている」と本紙の取材に答えた。県警は違法行為として道路交通法違反、威力業務妨害、公務執行妨害を挙げ「前から違法行為があった。激しい抵抗もある中で、より早く沈静化するためにやっている」と回答した。

 機動隊は9日も、工事車両を阻止するためゲート前で座り込む市民を排除する際、道向かいの歩道で、集会の司会をしていた県統一連の瀬長和男事務局長(53)を3回にわたって排除した。

国会囲み「辺野古ノー」 1万8千人 全国各地で反対集会 2017年6月11日 

名護市辺野古の新基地建設断念や、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案廃案などを政府に求める抗議行動「止めよう!辺野古埋立て 共謀罪法案は廃案に! 6・10国会大包囲」が10日午後、国会議事堂周辺で開かれた。辺野古新基地建設に反対する国会包囲行動は昨年2月以来で5回目。1万8千人(主催者発表)が国会を取り囲み、「辺野古に基地を造るな」「建設断念まで絶対に諦めない」などと力強く訴えた。また、名護市辺野古でも東京での集会を受け新基地建設に反対する連帯集会が開かれたほか、愛知や秋田、富山、石川など4県以上でも呼応する集会が開かれた。

 包囲行動では、共謀罪についても廃案を訴えた。北部訓練場でのヘリパッド建設に反対する市民を逮捕したのは「共謀罪の先取りだ」などと批判した。

 国会包囲の主催者は「『止めよう! 辺野古埋立て』国会包囲実行委員会」「戦争をさせない・9条壊すな! 総がかり行動実行委員会」「基地の県内移設に反対する県民会議」の3団体。協賛として「共謀罪NO! 実行委員会」が加わった。

 登壇したオール沖縄会議共同代表の稲嶺進名護市長は「新基地建設の現場は警察によって、非暴力の市民に負傷者が出る異常事態が起きている。しかし(建設断念まで)絶対に諦めない」などと力強く訴えた。

 ヘリ基地反対協の安次富浩共同代表、辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会の湯浅一郎顧問、国際人権団体アムネスティ・インターナショナル日本キャンペーン部門ディレクターの山口薫氏のほか、辺野古の新基地建設に反対する市民代表や国政野党国会議員、識者らが壇上で、最後まで闘い抜く決意を表明した。

辺野古強行「容認できない」 知事、平和宣言で政府対応批判 2017年6月24日 

翁長雄志知事は23日の沖縄全戦没者追悼式の平和宣言で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設計画について「沖縄の民意を顧みず工事を強行している現状は容認できるものではない」と政府の対応を批判した。その上で「私は辺野古に新たな基地を造らせないため、今後も県民と一体となって不退転の決意で取り組む」と述べた。

 知事が平和宣言で辺野古新基地建設問題に言及するのは就任以来3年連続。日米地位協定の抜本改定も改めて求めた。知事はまた、昨年発生した米軍属女性暴行殺人事件、オスプレイの名護市安部での墜落、最近の嘉手納飛行場でのパラシュート降下訓練の強行や相次ぐ外来機の飛来、移転合意された旧海軍駐機場の継続使用問題などにも言及。「基地負担の軽減と逆行している」と述べた。

 国土面積の0.6%の沖縄に在日米軍専用施設の70.4%が集中している現状にも触れ、「日本の安全保障の問題は国民全体で負担してほしい」と訴えた。

 知事が辺野古新基地建設に関する政府の工事強行を批判すると、式典会場からは拍手が上がった。


辺野古、建設反対 座り込み3年 運動継続へ 決意新たに  2017年7月6日

米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に反対する市民らが、米軍キャンプ・シュワブのゲート前で座り込みを始めて3年の節目となった6日、同ゲート前で集会が開かれた。市民約180人が集まり「子や孫のために基地は造らせない」と、運動継続へ決意を新たにした。 集会では各団体の代表らからあいさつがあった。ヘリ基地反対協議会の安次富浩共同代表は「孤立した闘いではないということが、この3年で積み重なってきた。退役米軍人からの支援など、少しずつ国際的なつながりができている。安倍政権打倒に向け、闘い抜きましょう」と述べた。

ゲート前座り込みから4年目 「新基地つくらせない」決意新たに 2017年7月7日

米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設に反対する市民らが米軍キャンプシュワブ・ゲート前で座り込みを初めて4年目を迎えた7日、ゲート前には早朝から市民が集まり「基地はつくらせない」とあらためて誓い、抗議の声を上げた。

 ゲート前では午前8時半から抗議行動が始まった。県統一連の瀬長和男事務局長が「きょうは、4年目の闘いのスタートだ。新基地建設は絶対に許さないという思いを新たに臨みたい」と力強く語ると、市民から「そうだ」と賛同の拍手が上がった。

 10時前には、工事関係車両約40台が基地内に入り、ゲート前の道路が一時渋滞する様子が確認された。


「排ガス嫌なら抗議やめろ」 警備部長 辺野古の排除対応容認  2017年7月8日

県警機動隊が米軍キャンプ・シュワブゲート前で抗議する市民らを排除した後、エンジンをかけた警察車両の横に長時間市民らを留め置いていることについて、県警の重久真毅警備部長は「(警察車両の)排ガスを吸いたくなければ、違法行為をやめていただくことだ」と、県警による市民"制裁"を容認する見解を7日までに示した。

 弁護士は「違法行為に罰を下すかは裁判所が決めるものだ。警察が制裁を課す法的根拠はなく、傷害罪に該当する」と指摘している。

 6日、県議会総務企画委員会で比嘉瑞己氏に答弁した。比嘉氏が「市民を排除した後、1時間近く排ガスを吸わせていいのか」と質問したところ、重久警備部長は「排ガスを吸いたくなければ違法行為をやめていただくことかと(思う)。違法行為を繰り返させないために必要な権限を行使する」と答えた。

 小口幸人弁護士は「国民の生命、身体を守るのが警察の最大の責務であり、警察法でもそう規定されている。警察による制裁を是認する人が県警の要職に就いているのは問題だ。警察の役割について根本的に理解を間違えているとしか言えない」と指摘した。


辺野古訴訟案を可決 普天間返還条件確認へ 県議会軍特委  2017年7月12日

沖縄県議会は11日、米軍基地関係特別委員会(軍特委・仲宗根悟委員長)を開き、名護市辺野古の新基地建設を巡る岩礁破砕の差し止め訴訟に関する議案「訴えの提起」を与党の賛成多数で可決した。野党の自民は反対し、中立会派の公明、維新は退席した。14日の本会議で訴訟議案が可決されれば、県は早ければ16日の週にも国を提訴する。後略


辺野古 抗議中の女性1人逮捕 工事車両52台が基地内へ 周辺一時渋滞 2017年7月13日 

米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡る新基地建設で13日、米軍キャンプ・シュワブの第2ゲート近くで抗議していた女性が県警に逮捕された。この日は基地建設に抗議する約70人が工事用車両のゲート前に座り込んでいたが、機動隊に強制排除されている間に、石や重機を積んだ工事車両52台が基地内に入った。車両搬入は約40分間続いた。

 女性は工事車両を止めようと抗議していた。この日はゲート前に座り込む人たちと国道329号で工事車両を止めようとする人たちがおり、工事車両が搬入する間、一般車両が渋滞に巻き込まれた。ゲート前にいた数人は「不当逮捕だ」として名護署に向かった。


名護市辺野古新基地、5度目の法廷対決へ 沖縄県が国を提訴 岩礁破砕差し止め求める

2017年7月24日 沖縄タイムス

沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、無許可で岩礁を破砕するのは県漁業調整規則に違反しているとして、県は24日午後、国を相手に岩礁破砕を伴う工事の差し止めを求める訴訟を那覇地裁に起こした。県側は判決が出るまで、工事を一時的に禁止する仮処分も地裁に申し立てた。新基地に関する県と国の対立は、昨年12月の違法確認訴訟上告審で県敗訴が確定して以来、5度目の訴訟に持ち込まれた。

過去の訴訟はいずれも、翁長知事が下した埋め立て承認取り消し処分や、同処分の効力を止めた国の執行停止処分の適法性が争われた。今回の訴訟で県側は、知事には漁業調整規則に基づき国へ許可を申請するよう求める権利があると主張。工事を強行する国は知事の権利を侵害していると訴えている。一方、国側は行政上の義務の履行を求める訴訟は裁判所の審理対象とならないとする最高裁判決に基づき、県側の訴えは退けられるべきだと主張するとみられる。

 沖縄防衛局は、名護漁協が1月に埋め立て海域の漁業権を放棄したことから「漁業権のない海域での岩礁破砕許可は不要」と主張。県に許可の再申請をせずに工事を続けている。


N5護岸の仮設道路の建設進む 辺野古新基地建設  2017年7月26日

古崎先端西側の「N5護岸」建設予定地付近では、25日に始まった仮設道路建設とみられる作業が26日午前も行われた。沖縄防衛局の作業員がトラックで運んだ網袋入りの砕石をクレーンで砂浜付近に積んでいった。網に入っていない砕石をトラックで直接投下し、重機でならしたり、鉄板を敷いたりする作業もしていた。現場は消波ブロックを製造している作業ヤードの海側。クレーンで消波ブロックの型枠をつり上げて移動する様子も見られた。 海上では新基地建設に反対する市民が船2隻、カヌー11艇で「違法工事をやめろ」「海をつぶすな」などと抗議の声を上げた。

 米軍キャンプ・シュワブゲート前では市民約100人が座り込み、抗議の意思を示した。午前10時時点で工事車両の搬入はない。ヘリ基地反対協議会の安次富浩共同代表は「日米両政府の理不尽な基地押し付けに対し、諦めずに闘っていきたい」と力を込めた。


県民大会に4万5千人(主催者発表) 「撤回はわたしの責任で決断」と翁長知事 2017年8月12日 

12日午後、那覇市の奥武山陸上競技場で開かれた「翁長知事を支え、辺野古に新基地を造らせない県民大会」(辺野古に新基地を造らせないオール沖縄会議主催)には、主催者発表で4万5千人が集まった。登壇した翁長雄志知事は、辺野古新基地建設での埋め立て承認の撤回について「政府が工事を強硬に推し進める状況は必ず撤回につながる。私の責任で決断をする。辺野古に新基地は造ることは絶対にできないと確信している」と述べた。

 翁長知事は米海兵隊MV22オスプレイの相次ぐ墜落に「まさしく県民が危惧した状況に憤慨が絶えない」と指摘。オスプレイの飛行再開を日本政府が容認したことについては「日本の独立は神話だと言わざるを得ない」と米方針に追随する日本の姿勢を批判した。

 知事に先立ち登壇した稲嶺進名護市長は「肝心要の地元名護市が頑張らないといけない。知事支える体制を皆の力で整え、要求を実現させよう」と辺野古新基地建設に引き続き反対していく姿勢を強調した。


参加者「絶対諦めない」 沖縄県民大会、炎天下で示した「不屈」2017年8月13日 

手をつなぎ「新基地は絶対に造らせないぞ」と訴える参加者=12日、沖縄県那覇市

「沖縄は今も本土の『捨て石』だ。これ以上我慢できない」「一人一人の力は微力でも、県民みんなの力で必ず勝つ」。うだるような暑さの中、沖縄県那覇市の奥武山公園陸上競技場で12日に開かれた県民大会。民意を無視し、名護市辺野古で新基地建設を強行する日本政府。事故の不安を無視し、沖縄の空をわが物顔で飛び回る米軍。巨大な権力に押しつぶされそうになりながらも、会場を埋めた参加者は固く誓った。「私たちは絶対、諦めない」-。

「基地は県外」「ノー辺野古」。そんな横断幕や旗を手に、会場の奥武山公園陸上競技場に続々と人が集まってきた。辺野古の海をイメージした青い服を着ている。正午過ぎ、気温は33度を上回った。

会場に着いた幸喜ひなさん(14)=今帰仁村=は「すごい」と思った。母親に誘われ、以前も県民大会に参加している。「最初は面倒だと感じたけど、今は全く思わない。思いを伝えようと、高齢の人もたくさん来ている」 午後2時、大会が始まった。糸満市の仲松庸全さんは車椅子に座って、じっと壇上を見つめる。あと2カ月で90歳になる。沖縄戦で多くの級友を失った。数年前に脊柱管狭窄(きょうさく)症を患った。

 それでも「闘いの現場」に駆け付けた。Tシャツには「不屈」の2文字。「核も基地もない平和な沖縄のために、最後まで生き抜きたい」 8月の太陽は容赦なく照り付け、汗が噴き出す。島袋朝子さん(60)は「戦後72年、沖縄はずっと虐げられている。どうしたら本土や政府に声が届くのか。でも家でじっとしていたら、何も変わらない。声を上げないと」と恩納村から足を運んだ。

 開会から1時間がたち、翁長雄志知事がマイクの前に立った。「日本の独立は神話」「県民の誇りと尊厳をかけた闘い」。そんな言葉が飛び出すたび、「そうだ」の声が上がった。

 「子孫(くぁうまが)のために、うやふぁーふじぬ思(うむ)い、肝(ちむ)に染(す)みてぃ、命(ぬち)かじりちばらなやーさい」(子や孫のため祖先の思いを胸に刻み、命の限り頑張りましょう)

 知事がうちなーぐちで締めくくると、会場を埋めた人々は「おー」「頑張ろう」と応えた。あちこちで指笛が鳴り、拍手と熱気が会場を包んだ。会場を埋め尽くした参加者は新基地建設阻止に向けた決意を新たにしていた。


埋め立て承認撤回へ 翁長知事「必ず」、決意再び 県民大会  2017年8月13日 

・・前略・・ 採択された大会宣言は「政府は法解釈をねじ曲げ、沖縄の民意を圧殺し続けている。手続きを無視して行う違法な埋め立て工事は即中止すべきだ」と要求し、「私たちは問いたい。この国に真の民主主義はあるのか。法治国家とは何か」と政府の姿勢を批判した。その上で「翁長知事が提訴した訴訟を全面的に支持し、全力で支える」と掲げている。

オスプレイ墜落事故に抗議する特別決議は「わずか8カ月の間に沖縄、世界各地で墜落、緊急着陸する異常事態が続発している」と指摘した。オスプレイ配備撤回や飛行禁止、事故の原因究明、普天間飛行場の即時閉鎖・撤去や夜間訓練・つり下げ訓練の禁止などを求めている。主催者のオール沖縄会議が後日、首相官邸や在日米国大使館などを訪れ、特別決議を手交する。

 オール沖縄会議は今年1月に続き、辺野古新基地建設反対の民意を米国内で訴える第2次訪米団を結成し、16~24日の間、サンフランシスコなどを訪ね、連邦議員や労働組合、市民団体と面会することも明らかにした。

 オール沖縄会議の共同代表ら登壇者は「県内に住む一人一人の命が日米同盟維持・強化のための捨て石になってはならない」(玉城愛氏)、「恐怖から免れて平和のうちに生存する権利を求める多くの県民がここにいるんだということを訴えていこう」(高良鉄美氏)などと呼び掛けた。

県民大会と連動して、京都府や兵庫県など県外でも集会が開かれ、辺野古新基地建設断念を求めてデモ行進などを行った。


京都や神戸でも新基地建設反対 沖縄県民大会と同時刻に集会  2017年8月13日

京都市役所前では、市民団体「No Base! 沖縄とつながる京都の会」が辺野古の新基地建設阻止を訴える集会とデモ行進を行った。団体によると88人が参加し「埋め立て差し止め訴訟を勝利させよう」などと声を上げながら、京都市役所前から四条河原町まで歩いた。

 神戸市でもJR三ノ宮駅南で辺野古新基地建設阻止を訴えるため「こわすな憲法!いのちとくらし!市民デモHYOGO」が集会とデモ行進を行った。団体によると、急な呼び掛けにもかかわらず約100人の市民が集まったという。


東京でも行動 800人気勢 沖縄県民大会に呼応  2017年8月13日 

8・12県民大会に呼応する首都圏行動(辺野古への基地建設を許さない実行委員会主催)が12日、東京都の東池袋中央公園で開かれ、参加者約800人が気勢を上げた=写真。オーストラリアでのオスプレイ墜落事故を受け、オスプレイが沖縄の空を飛ぶことを許さないことなどを盛り込んだ飛行強行への緊急抗議アピールを採択した。この後、池袋のサンシャインシティ周辺をデモ行進し、辺野古の新基地建設断念などを訴えた。

 行動には「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲実行委員会など20団体が参加した。


日米、「辺野古唯一」を再確認へ 2プラス、施設共同使用も  2017年8月18日

日米両政府は17日午前(日本時間同日深夜)、米ワシントンで外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)の会合を開いた。共同文書を発表し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設計画について、辺野古移設が普天間飛行場の継続使用を回避するための「唯一の解決策であることを再確認した」と改めて強調する。日米同盟における防衛協力や抑止力の強化を掲げ、南西諸島も含め自衛隊の態勢を強化するために、自衛隊と米軍双方の施設の「共同使用を促進することを再確認」と明記する。後略


米労組が新基地反対決議 APALA「沖縄と連帯」 2017年8月21日

米国で影響力を持つ労働団体、アジア太平洋系アメリカ人労働者連合(APALA)は19日、米カリフォルニア州アナハイム市で開催している25周年大会の総会で、沖縄県民と連帯し、名護市辺野古、東村高江での新基地建設計画に反対する決議を採択した。同団体の決議は、2015年に引き続き2度目。

 総会では、辺野古に新基地を造らせないオール沖縄会議の第2次訪米団(団長・伊波洋一参院議員)による沖縄の基地問題に関するワークショップも開かれ、在沖米軍基地の現状や辺野古・高江での市民の抗議活動、性暴力の問題について発信し、APALAのメンバーと問題を共有した。

 APALAは全米に20余りの支部と、約66万人の会員を有する労働団体。