琉球新報5-6月

2017年08月01日 15:15

辺野古バス、日曜除き毎日往復   2017年5月19日

沖縄平和市民連絡会とオール沖縄那覇の会は19日、県庁記者クラブで会見し、名護市辺野古の新基地建設阻止に向け、那覇から辺野古への貸し切りバスを週4日運行すると発表した。運行は22日からで乗車無料。島ぐるみ会議が週2日運行しているバスと合わせ、工事のない日曜日を除いた毎日、那覇から辺野古にバスが出ることになる。

 会見で市民連絡会の城間勝事務局長は「大浦湾に石材が投入され、護岸工事が始まるなど(辺野古の)現場は新たな段階に入ってきている。県民を辺野古に結集し、工事を止めたい」と話した。

 現在、那覇から辺野古に向かう貸し切りバスは、島ぐるみ会議が水曜日と土曜に運行している。今回、それに加えて月、木、金曜を市民連絡会、火曜をオール沖縄那覇の会が担う。

 バスは午前9時に県庁前の県民広場を出発し、沖縄自動車道を経由して米軍キャンプ・シュワブゲート前に向かう。帰りは午後4時ごろにゲート前をたち、同5時半ごろ県民広場に到着する予定という。

 定員50人で先着順。午前8時半から県民広場で受け付ける。定員超過の場合は、市民連絡会の自家用車も活用する。席に余裕があれば、那覇インターチェンジ前のバス停での乗車も可能。問い合わせは城間事務局長?080(1782)6598。

「多くの人が反対意思を」 辺野古ゲート前に約200人 2017520

米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設問題で、移設に反対する市民ら約200人は20日午前、米軍キャンプ・シュワブゲート前に座り込んだ。午前11時40分までに、工事車両はゲート内に入っていない。市民らは代わる代わるマイクを持ち、歌を歌うなどして、新基地建設反対の意思を共有した。
 米軍北部訓練場を抱える東村から座り込みに参加した宮城義幸さん(78)は毎週月曜日と土曜日にゲート前の座り込みに参加している。「米軍北部訓練場に新たなヘリパッドを強行工事で造られた。しかし闘いはまだ終わっていない。新基地ができれば、連動してヘリパッドの運用が激しさを増す」と指摘した。
 宮城さんはゲート前に座り込む理由について「1人でも多くの人が反対の意思を示す時期に来ている」と話した。「高江の闘いはまだ終わっていない。今後、辺野古の闘いと連動させて、ヘリパッドを運用させないようにしたい」と決意を語った。
 一方、海上では新基地建設に反対する市民らが抗議船3隻、カヌー12艇で工事様子を監視した。沖縄防衛局による「K9護岸」での砕石投下は行われていない。

80人が座り込み 辺野古新基地建設

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米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、反対する市民ら約80人が22日午前、米軍キャンプ・シュワブゲート前に座り込んだ。砕石を積んだダンプカーなどの工事車両21台がゲート内に入った。その際、機動隊がゲート前に座り込む市民らを排除した。
 工事車両が午前8時50分ごろゲート内に入り、基地から出てくるまでの約40分間、市民らは機動隊に行動を制限された。
 ヘリパッドいらない住民の会の儀保昇さん(62)=大宜味村=は排除の際に身に付けていたベルトの一部を破損した。「暴力的な排除はいつものことだ。毎回、腹立たしい思いをしている」と話す。「機動隊員はしっかり鍛えていて、たくましい。その体をもっと生産的なことに使った方がいいと思う」と強調した。
 沖縄防衛局による海上での砕石投下などは行われていない。工事に反対する市民らは抗議船4隻、カヌー15艇で警戒した。

砕石投下、着々と 辺野古護岸着工1ヵ月  2017525

米軍普天間飛行場の移設先とされる名護市辺野古の海域で基地本体の埋め立て区域を囲む「護岸」工事が始まって25日で1カ月となった。琉球新報社が小型無線ヘリで工事海域を上空から撮影したところ、波打ち際に砕石が敷き詰められ、海側に向かって石垣が線状に徐々に伸びている様子が確認された。

 政府は4月25日、護岸工事に着手した。初日は砕石の入った袋五つをクレーンで波打ち際に投下した。

その後、潮が満ちると海中となる波打ち際から砕石の袋を積み上げていき、5月8日以降は、袋に入っていない砕石を直接海に投下する作業も進められている。

 海上では連日、カヌーや抗議船に乗った市民らが抗議の声を上げている。キャンプ・シュワブゲート前でも工事車両の進入を阻止しようと市民らが座り込みを続けている。

 抗議現場では、県警や海上保安庁による拘束や排除も行われ、逮捕者も出ている。

「負担軽減」、米軍戦略が左右 沖縄海兵隊のグアム移転 2017526

米海兵隊トップのネラー総司令官が24日、北朝鮮の核・ミサイル開発を念頭に沖縄の海兵隊のグアム移転計画を見直す可能性に言及した。ネラー氏の発言からは、在沖米海兵隊のヘリコプターや航空機をグアムに移転するのか、グアム移転予定だった機材を他地域に移転、または沖縄に留め置くのかは不明。だが、この発言は米国がその時々の脅威認識によって、自国の軍隊の配備を柔軟に変更し得ることを示すものだ。これまで日本政府がグアム移転計画について繰り返してきた「沖縄の負担軽減」の論理は、そこには見えない。

 そもそも在沖米海兵隊のグアム移転が決まった2006年の日米合意では、沖縄から8千人の兵隊と家族9千人がグアムに移転、移転対象は「司令部」とされていた。しかしその後の12年4月の移転案見直しでは、グアムに移転するのは在沖海兵隊のうち4千人のみで、5千人はハワイや豪州に分散すると変更された。司令部はグアムではなく沖縄に残り、即応性の高い海兵空陸任務部隊(MAGTF)をはじめとする戦闘部隊がグアムやハワイなど国外に移転する内容に変わった。

 在日米軍の動向を監視する市民団体「リムピース」編集長の頼和太郎さんは、ネラー氏の発言から「在沖海兵隊のヘリや航空機をグアムやハワイなど、より北朝鮮から離れた所に移動させるのではないか」と分析する。グアムが北朝鮮のミサイルの射程内に入っても「日本よりは距離がある。ミサイルが発射されても到達まで時間がかかる。その間に反撃準備をすることができる」とみる。

 その上で、機材を含め多くの戦力が一時的にでもグアムやハワイに移るとなれば「滑走路を持つ辺野古の新基地は不要であることは明らかだ」と指摘した。

 日本政府がこれまで幾度となく海兵隊のグアム移転は「沖縄の負担軽減」のためと主張してきた。しかしこれまでのグアム移転計画の変遷をたどってみても、米軍の配置は米軍側の戦略でいかようにも変わってきた。

 軍の論理を優先して組み立てられてきたもので、「沖縄の負担軽減」は後付けであることを示している。

新基地阻止誓い、2000人結集 辺野古ゲート前の県民集会2017527

名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前で27日午前11時から開かれた普天間飛行場の辺野古移設に伴う新基地建設に反対する「辺野古新基地阻止『K9護岸工事を止めろ』環境破壊を許さない県民集会」(オール沖縄会議主催)には本島中南部や県外から市民2000人(主催者発表)が参加した。集会の最後、市民は手をつなぎ合い、シュワブの基地に向かってガンバロー三唱をして、新基地阻止をあらためて誓った。
 安次富浩ヘリ基地反対協共同代表は、米軍がグアムへの海兵隊移転計画を再検討していることに触れ「(県外、海外では)移転先の意見が反映されるが、沖縄では反映されない。沖縄を植民地と見ているからだ。日本政府も加担している。本当の独立国家なら(辺野古移設を)即刻中止すべきだ」と強調した。
 稲嶺進名護市長のメッセージも読み上げられた。稲嶺市長は「移設を強行する政府は行政努力を放棄している」と指摘し「護岸工事を強行し、止められないのだと県民をあきらめさせようとしている。私たちは絶対阻止すると、心を一つにしよう」などと呼び掛けた。
 オール沖縄会議の高里鈴代共同代表は、閉会あいさつで「シュワブは米軍基地として、ベトナムやアフガンなどさまざまな戦争とつながってきた。そこに新たな基地をつくることを認めることはできない。私たちの結束が新基地をはね返す」と呼び掛けた。

 

辺野古への土砂搬出反対で連携 北九州で全国18団体が確認  2017528

市民団体などでつくる辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会の第4回総会が27日、福岡県北九州市で開かれた。協議会は、米軍普天間飛行場の移設に伴う沖縄県名護市辺野古の新基地建設の埋め立て用土砂の搬出元とされる鹿児島県や福岡県など8県の団体など計18団体で構成。総会では、2015年に沖縄県が制定した県外土砂・石材の搬入を規制する条例の実効性を高めるため、今後、沖縄県に働き掛けを行うことなどを確認した。

 全国連絡協の大津幸夫共同代表は「奄美大島の採石場は、現在でも雨が降ると土砂や石が流れ出し、周辺海域のサンゴが死滅している」と話し、さらなる悪化に懸念を示した。

 山口県の「辺野古に土砂を送らせない!」山口のこえ代表の大谷正穂氏は「長崎県の担当課は沖縄県からの要望があれば(外来種の調査・確認など)協力すると言っている。各地の搬出元自治体でも、沖縄の土砂規制条例にどう対応するのか行政に確認していこう」と呼び掛けた。

 総会後に学習会も開かれ、桜井国俊・沖縄大名誉教授、湯浅一郎・土砂搬出反対全国協顧問らが講演し約270人が来場した。

 桜井氏は、沖縄の世界自然遺産登録と辺野古新基地建設について「国は矛盾した二つのことをやろうとしている」と指摘。今夏に国際自然保護連合(IUCN)の調査が予定されていることを踏まえ「調査団に沖縄で起きている問題を知ってもらうことが重要だ」と語った。

 湯浅氏は、政府が12年に「生物多様性国家戦略」を閣議決定していることに触れ「都道府県では国家戦略に基づき『地域戦略』が作成されている。地元の『地域戦略』を推進するという視点から土砂搬出問題を考えることが重要だ」と訴えた。

ゲート前で120人抗議、沿岸では護岸工事進む  2017531

米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古への新基地建設で、キャンプ・シュワブのゲート前では31日午前、糸満市や大宜味村、東京都など、県内外の各地から来た市民ら約120人が座り込み、新基地建設に抗議の意思を示した。市民らは、ギターの伴奏で「沖縄を返せ」を歌ったり「国にしっかり抗議していこう。そうすれば工事を止められる」などと呼び掛けたりした。工事車両による機材や砕石の搬入はなかった。
 キャンプ・シュワブ沿岸部の「K9護岸」工事現場では、クレーンで砕石を海中に投下し、重機でならす作業が繰り返された。砂浜から海上に向けて石を積み上げた土台の上で作業が続いた。抗議船3隻とカヌー14艇が抗議行動を繰り広げ「違法工事をやめろ」「海を壊すな」などと訴えた。
 カヌー8艇が午前9時すぎ、浮具(フロート)を越えて護岸工事の現場に接近し、海上保安庁のボートに確保された。抗議の市民8人が一時的に拘束された。

「政府、過度な権力行使」 山城議長逮捕に 国連報告  2017531

ジュネーブの国連人権高等弁務官事務所は30日、昨年4月に日本を調査した言論と表現の自由に関する特別報告者デービッド・ケイ氏による対日調査報告書を公開した。米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設や、北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設などに抗議した市民が逮捕されたことを挙げ「政府が過度な権力を行使している」と指摘し、懸念を表明した。報告書は6月12日の人権理事会本会議でケイ氏が発表する。表現の自由に関する正式な報告書で沖縄に言及するのは初めて。

 沖縄平和運動センターの山城博治議長が抗議行動を巡って逮捕され、長期勾留されたことを踏まえ、日本政府に対して「抗議行動に不釣り合いな制限が加えられている」「裁判なしに5カ月間拘束したのは不適切で、表現の自由に対する萎縮効果を懸念する」とした。

 記者の取材を警察が妨害したことにも触れ、「過度の制限を回避するため(規制の適用に至る)経緯を慎重に見直さなければならない」と指摘した。

 沖縄の状況については「表現と抗議に対し、継続的に規制が加えられている」と指摘。その上で「全国の人々が反対意見や沖縄に関する情報に接する機会を確保することについて、懸念を表明する」とした。

 自民党の改憲草案に対しては「日本の人権保護を弱体化する恐れがある」と批判したほか、女性差別を含めた広範な差別禁止法の制定も求めた。

 第35回人権理事会は6月6~23日にスイス・ジュネーブの国連欧州本部で開かれる。沖縄国際人権法研究会など複数の非政府組織(NGO)は15日ごろ、山城博治氏を本会議に登壇させ、沖縄の基地問題と人権状況について訴える。同研究会などは、国連欧州本部でシンポジウムも開き、沖縄で表現の自由が侵害されている状況を伝える。

機動隊の排除で市民2人救急搬送 キャンプ・シュワブゲート前  201762

米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古での新基地建設で2日午前、キャンプ・シュワブゲート前では機動隊が市民を排除する中、市民2人が負傷して救急搬送された。
 救急搬送された2人は男性と女性。目撃者によると負傷した女性は機動隊にごぼう抜きされ、機動隊車両と機動隊員で挟み込む形で閉じ込められた。その後、別の隊員が連れてきて閉じ込めた市民にぶつかり後ろに転倒した。その際に後頭部を地面に打ちつけ、切り傷を負い、出血した。午前10時30分、救急搬送された。

搬送された男性は機動隊に閉じ込められた際、気分が悪いと訴えたが聞き入れられず、拘束解除後に脈が弱いとして、10時ごろに救急搬送された。
 ゲート前では市民約50人が雨の降る中、抗議の声を上げた。砂利を積んだダンプや工事用の足場のような鉄製品を積んだトレーラーなど61台がゲート内に入った。
 9時すぎに1回目の機動隊による市民排除が実施された後、9時15分に工事車両約14台がゲート内に入った。その後も続々と工事車両が基地内に入った。

 

「全員無罪」へ気勢 山城議長裁判報告に250    201764

「妻は安定している。沖縄の人と心一つ」 負傷した女性の夫がマイク握る  201763

名護市辺野古の新基地建設に反対する市民ら約140人は3日午前、米軍キャンプ・シュワブゲート前で座り込みを続けた。2日に抗議行動中に転倒して頭蓋骨骨折などで入院している女性の夫も座り込みに参加し「(妻の)容態は安定している。これからも沖縄の人たちと心を一つにやっていきたい」とあいさつした。正午の時点で工事車両の進入はない。
 キャンプ・シュワブ沿岸部の「K9護岸」工事現場では、クレーンで砕石を海中に投下する作業が繰り返された。クレーンは砂浜から海上に向けて石を積み重ねた土台の上で作業した。抗議船4隻とカヌー12艇が抗議活動を展開し「違法工事をやめろ」「この海は沖縄県民の宝だ」と声を上げた。
 カヌー6艇が午前9時ごろ、浮具(フロート)を越えて護岸工事現場に接近し、8人が一時、海上保安庁のボートに拘束された。

 

機動隊排除に市民「暴力的」 辺野古新基地建設  201765

米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、移設に反対する市民ら約50人が5日午前、米軍キャンプ・シュワブゲート前に座り込んだ。コンクリートミキサー車を含む工事車両44台がゲート内に入った。その際、機動隊約30人が市民らを排除した。体の不調のため、機動隊による排除を避けようと道向かいに移動した市議も排除されたため、市民らから「越権だ」「機動隊が暴力的になっている」などの声が相次いだ。
 午前9時35分に機動隊による排除が始まり、10時22分まで排除された市民らは行動の自由を制限された。大城敬人名護市議(76)は排除を避けるために、自らの足でゲートの道向かいに移動した。その後にマイクを握って「機動隊は排除をやめろ」と発言していると、機動隊に腕をつかまれ、また道向かいに引き戻され、排除された。

 大城市議は「心臓が悪いからやめろ」と主張したが、機動隊3人によって移動させられた。
 大城市議は2015年9月に機動隊から排除された際に意識を失った経験を持つ。大城市議は「道向かいに移動したのに、何で排除されないといけないのか。こんなことは初めてだ。機動隊の排除が暴力的になっている」と抗議した。「先週から機動隊の指揮棒を持つ人が変わったことで、排除もより強力になった。指揮棒を持つ人の裁量でこれだけ変わっていいのか」と疑問を呈した。
 一方、海上では新基地建設に反対する市民らが抗議船3隻とカヌー12艇で抗議している。午前9時37分、沖縄防衛局がシュワブ内の工事現場「K9護岸」で大浦湾への砕石投下の作業を開始した。カヌー8艇が浮具(フロート)を乗り越えたため、海上保安庁によって一時拘束された。

知事が辺野古工事差し止め訴訟提起を発表 7月14日以降速やかに 201767

翁長雄志知事は7日夕、県庁で会見し、名護市辺野古の新基地建設で沖縄防衛局が県の岩礁破砕許可を受けずに護岸工事を続けている事態を踏まえ、国を相手に工事の差し止め訴訟を起こす方針を明らかにした。併せて工事の停止を求める仮処分も申し立てる。県議会6月定例会に関連議案を提起し、7月にも提訴する方針も示した。

 翁長知事は「今後、防衛局が岩礁破砕等行為を行うことは確実な状況にあることから、県としては法的措置を求める必要があると判断した」と述べた。その上で埋め立て承認の撤回については「必ずやれると思ってやっている」と述べたが、時期は明示しなかった。

 政府が工事を強行する姿勢について翁長知事は「政府はなりふり構わず埋め立て工事の着手という既成事実をつくろうと躍起になっているが、未来の世代にとってもかけがえのない財産の辺野古・大浦湾の海を埋め立て、県民の手が届かない国有地に耐用年数200年ともいわれる基地を建設することは到底容認できない」と厳しく批判した。

<金口木舌>一般自衛官へのエール  201768 06:00

 「私は自衛官として自衛隊の沖縄派兵を断固阻止する」。沖縄の日本復帰を間近に控えた1972年4月28日、東京都内の集会で、制服姿の自衛官5人が訴えた

▼5人は自衛隊法で定めた「隊員たるにふさわしくない行為」に当たるとして懲戒免職処分を受けた。うち4人は裁判闘争を繰り広げたが、いずれも訴えは退けられた
▼いわゆる「反戦自衛官懲戒免職事件」である。自衛官は、表現の自由を保障した憲法に違反するなどと訴えたが、主張は認められなかった
▼憲法9条への自衛隊明記は「一自衛官としてありがたい」。防衛省制服組トップの統合幕僚長が安倍晋三首相の改憲案を歓迎する発言をしたことに批判が集まっている。野党は憲法の尊重擁護義務のある自衛官として不適切だと反発した
▼政治的行為を禁ずる自衛隊法61条違反との見方もある。だが菅義偉官房長官は会見で「個人の見解だ。全く問題ない」と擁護した。自衛官であっても「自衛官個人の見解」と言えば、政治に踏み込んでも許されるかのようだ
▼「トップこそ、そんな発言を禁ずるべきだ」。45年前に懲戒免職された元自衛官、小多基実夫さん(67)はこう主張する。一方で「好機」とも言い、一般自衛官にエールを送る。「一自衛官の意見として自分の命を守るため戦場派遣など嫌なら嫌と言おう。反戦も叫ぼう」。その言葉が今一層、重く響く。

「共謀罪廃案を」 辺野古集会に市民1800人    2017610

米軍普天間飛行場移転に伴う新基地建設に反対する市民が集う「辺野古新基地建設阻止!共謀罪廃案!6・10国会包囲行動と連帯する辺野古現地集会(共謀罪NO!沖縄実行委員会主催)」が10日午前11時、名護市辺野古のキャンプ・シュワブゲート前で開催された。約1800人(主催者発表)が参加し、市民は「監視社会許さない」「人権を脅かす共謀罪廃案を」などと訴えた。集会の最後には拳を高く突き上げて「頑張ろう」を三唱し、あらためて新基地反対運動の継続を誓った。
 辺野古現地集会は午後2時に東京で開かれる辺野古移設阻止を求める国会包囲行動に連携して開かれた。主催者を代表し、高良鉄美実行委員長(琉球大大学院教授)が「私たちは主権者だ。主権者を監視し、人権を侵す共謀罪を廃案に追い込むために、全国の市民と共に闘っていこう」と訴えて連帯を呼び掛けた。
 新基地建設を巡る反対運動中に傷害罪などで逮捕・起訴された沖縄平和運動センターの山城博治議長も登壇した。山城議長は共謀罪になぞらえ「市民運動を暴力で弾圧する安倍政権こそ〝凶暴罪〟に当たる」と訴え「われわれは不当な弾圧には決して負けない。しなやかに、したたかに闘い続けよう」と呼び掛けた。
 元沖縄弁護士会会長の三宅俊司弁護士は「安倍政権は戦争できる体制に突き進んでいる。マイナンバーや秘密保護法などがすでに成立し、共謀罪は国民監視社会の総決算だ。市民の自由な権利を権力が許す範囲でしか認められない社会になってしまう。止めなければ日本は戦争へと向かってしまう」と強調した。

辺野古差し止め提訴 政府、印象操作か 別裁判持ち出し「和解不履行」  2017612

名護市辺野古の新基地建設で翁長雄志知事が国を相手に工事の差し止め訴訟を起こす方針を表明したことに関連して政府側からは、2016年12月の県敗訴の最高裁判決などを引き合いに、翁長知事が判決に従っていないという印象を与える発言が出ている。約束した義務を履行しない知事という"印象操作"に躍起になっているようにも映る。論点をすり替えるように異なる裁判の和解内容を持ち出す政府の論法に、法律の専門家からも「拡大解釈ではないか」と疑問の声が上がる。

 菅義偉官房長官は8日の会見で、辺野古埋め立て承認取り消しを巡る最高裁判決が出た違法確認訴訟より前の代執行訴訟における和解を持ち出した。「知事も裁判の過程で行政の長として裁判所の判断には従うと明言してきた。和解条項でも、判決の主文およびその理由の趣旨に従って互いに協力して誠実に対応するという合意があるにもかかわらず、翁長知事はこういう行動に出て極めて残念」と強調してみせた。
 菅官房長官が和解条項を持ち出すのは今回が初めてではない。翁長知事が辺野古埋め立て工事を止める姿勢を示すたびに持ち出し、知事が和解で定めた内容に従わず約束違反しているとの印象を繰り返し発信してきた。
 辺野古新基地を巡る県と国との訴訟は、翁長知事による埋め立て承認取り消しを受けて国が15年11月に県を相手に代執行訴訟を提起。16年3月に代執行訴訟での和解が成立した。その後、国は、県への「是正の指示」を巡って16年7月に、指示に従わない不作為の違法確認訴訟を新たに提起した。16年12月の最高裁判決は、和解を結んだ「代執行訴訟」ではなく「違法確認訴訟」に関するものだ。
 菅官房長官の発言はあえて訴訟の違いには触れず、別の訴訟で交わした和解内容を順守していないという点を現在においても強調している。
 一方で翁長知事は、提訴方針を発表した7日の会見で「判決に従うのは(埋め立てが承認された)原点に戻るという意味だ。この件はそれで全て終わりで、今後どういう工事のやり方をしても、もうなにも県の了解は要らないということでは全くない。最高裁で判決が下されたから自由にやれるということではない」と政府姿勢をけん制した。
 知事会見に同席した県弁護団の松永和宏弁護士は、今回の提訴が漁業権の有無に伴う岩礁破砕許可の確認であると強調した。「那覇空港もそうだが、公有水面埋め立て承認を得て、岩礁破砕の許可申請をして許可している。日本は法治国家で当然法律は守らなければならないという話。もう和解とは何の関係もない。(菅官房長官の指摘は)全く非論理的な話だ」と批判した。
 菅官房長官が示した国と県の和解で、「判決に従う」とした判決とは「是正の指示の取り消し訴訟判決」と明示している。裁判官も務めた経験がある法曹関係者は、一般的に和解内容はその中で合意した内容に拘束されると解説する。その上で「官房長官のコメントはずいぶん拡大的な解釈をしているようだ。(辺野古の工事の)物事を一切従えという口ぶりだ」と指摘した。

大田昌秀氏が死去 沖縄県知事、参院議員など歴任   2017612

集会の司会 県警「違法」 広範囲排除で見解 2017610

名護市辺野古の新基地建設に反対する市民の抗議行動に対し、機動隊が米軍キャンプ・シュワブのゲート前で座り込んでいる市民だけでなく、道向かいの歩道で集会の司会者まで拘束・排除の対象を広げた件で、県警は9日までに「扇動しているリーダーも同じように違法行為をやっている人と見なしている」と本紙の取材に答えた。県警は違法行為として道路交通法違反、威力業務妨害、公務執行妨害を挙げ「前から違法行為があった。激しい抵抗もある中で、より早く沈静化するためにやっている」と回答した。機動隊は9日も、工事車両を阻止するためゲート前で座り込む市民を排除する際、道向かいの歩道で、集会の司会をしていた県統一連の瀬長和男事務局長(53)を3回にわたって排除した。