琉球新報3-4月

2017年06月12日 23:52

ヘリパッド閉鎖を要求 金武町と宜野座村 2017年3月13日

金武町中川区と宜野座村城原区に隣接するキャンプ・ハンセン内のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)、通称"ファルコン"で、米軍機UH1ヘリがつり下げていた複数のタイヤが落下した事故で、金武町と宜野座村は13日午後、沖縄防衛局に中嶋浩一郎局長を訪ね、ヘリパッドの閉鎖と事故の原因究明などを求めた。 後略

陸自配備で宮古・石垣住民が要請 防衛局が質問に回答 「ほとんど答えられていない」 2017年3月13日
自衛隊配備が計画されている石垣島と宮古島の住民有志と県選出国会議員らは13日午前、嘉手納町の沖縄防衛局を訪れ、要請行動をした。住民有志らは沖縄防衛局に自衛隊配備計画に関する質問25項目を事前に提出していた。防衛局は要請の場で回答したが、出席した住民からは「ほとんど答えられていない。今後も反対運動を進める」との声が上がった。

 沖縄防衛局は中嶋浩一郎局長や伊藤晋哉企画部長らが対応した。中嶋局長は「南西諸島の防衛体制の充実は極めて重要な課題であると考えているので、この点を理解してほしい」と語った。

 伊藤部長からはそれぞれの質問に対する回答があった。住民からの「有事の際の抑止力というが、宮古島で想定する有事とはどういう事態か」という問いに「周辺情勢が厳しさを増す中で、陸上自衛隊配備の空白地帯となっている宮古島への配備を進めることで抑止力を強化したい」と回答した。






工事車両約20台入る 名護市辺野古の新基地建設 機動隊、市民30人を排除 2017年3月13日

 

 

「人権が侵害されている」 辺野古新基地建設で神奈川の学生  2017年3月23日

米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設問題で、米軍キャンプ・シュワブゲート前には約80人が座り込み、時折雨が降る中、抗議行動を続けている。
 参加者がマイクを握り、21日に閣議決定された「共謀罪」法案が抗議活動に影響するのではないかとの懸念の声が上がった。沖縄と同じく米軍基地を抱える神奈川県から8人の若者たちが駆け付けた。若者の1人は、辺野古で起きていることについて「人権が侵害されていると痛感した。共に頑張りましょう」と呼び掛けた。
 午前9時半ごろには、機動隊が確認できるだけで4台のビデオカメラを回しながら市民を強制排除した。「沖縄を返せ」などの歌声と「市民を守れ」の怒声が飛び交う中、32台の工事関係車両が基地内に次々と入った。
 一方、大浦湾では午前9時20分時点まで工事作業の様子は確認されていない。悪天不良のため、抗議市民の抗議船やカヌーは出ていない。

翁長知事「承認撤回必ず」 辺野古集会に初参加 3500人、新基地反対訴え  2017年3月26日

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に伴う新基地建設計画に反対する「違法な埋め立て工事の即時中止・辺野古新基地建設断念を求める県民集会」(辺野古に新基地を造らせないオール沖縄会議主催)が25日、米軍キャンプ・シュワブのゲート前で開かれ、3500人超(主催者発表)が集まった。翁長雄志知事は、名護市辺野古の新基地建設で辺野古沖の埋め立て承認に関し「撤回を力強く、必ずやる」と初めて明言した。翁長知事の辺野古での集会参加は就任以来初めて。 

 従来「撤回」について翁長知事は「常に視野に入っている」「しっかり見据えてやる」などと述べていたが、この日の発言で「必ずやる」と踏み込んだ。撤回の時期については明言しなかった。
 翁長知事が明言した「撤回」は承認後の事情の変化を理由に行使が可能で、承認前の事情を理由とする「取り消し」と同様の効果があるという。政府は対抗措置として代執行や行政事件訴訟法に基づく執行停止を検討している。
 翁長知事は「沖縄の新しい闘いがまたこれから始まるということで私も参加した。われわれは心を一つにし、新辺野古基地は絶対に造らせない」と語った。
 集会の決議文は「沖縄県民と全国の多くの仲間の総意として『違法な埋立工事の即時中止と辺野古新基地建設の断念』を強く日米両政府に求める」と強調した。
 米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設に反対する抗議行動中に逮捕され、約5カ月の勾留を経て18日に保釈された沖縄平和運動センターの山城博治議長も集会前にゲート前を訪れた。
 山城議長は長期間勾留されたことに触れた上で「抑圧される者が、差別と犠牲を強いられる者が、くじけないで頑張り続ける姿を私たちは発信しよう」と参加者らに力強く訴えた。
 大規模な県民集会は昨年12月22日の名護市安部区へのオスプレイ墜落に抗議する集会以来。辺野古移設阻止やオスプレイ配備撤回などを求めた建白書の実現を訴え、新基地建設反対の県民世論が高まっていることを改めて県内外に訴えた。

品格なき民主主義 新基地建設を批判 沖縄問題シンポ  2017年3月26日

東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会は25日、東京都の青山学院大学で「沖縄問題とは何か」をテーマに第5回公開シンポジウムを開いた=写真。基調講演した白井聡京都精華大学専任講師は、行政や財界など日本全体が総じて「ネトウヨのような筋が通らない右傾化が進んでいる」と指摘。翁長雄志知事が辺野古新基地問題で「日本の民主主義の品格が問われている」と言ったことを挙げ「(それに対する)答えは品格がないということだ」と強調した。

 白井氏は「保守を名乗る人の間で、反米なのか、親米なのかよく分からない状態があるが、彼らのそんな精神状態の分裂が統一する時はアジア諸国民をヘイトする時だ。『自分たちはあなたたちと違う、欧米並みの国なんだ』と。そのヘイトが中国、韓国・朝鮮人だけでなく、沖縄にも向けられている。今後それが活発化するのを大変危惧している」と語った。
 このほか、作家の佐藤優氏が「沖縄アイデンティティーと日本」と題して話した。松島泰勝龍谷大教授はアジアや西洋の国際関係の中で琉球独立論を位置付けた。高良鉄美琉球大教授は憲法の視点から東アジアの中の「琉球」について報告した。
 約130人が会場に詰め掛け、熱心に話を聞いた。

辺野古、承認撤回の時期焦点 翁長知事、求心力の回復狙う  2017年3月26日

 沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前で開かれた県民集会で、翁長雄志知事が辺野古の埋め立て承認を「撤回する」と初めて明言した。最高裁で勝訴した政府は辺野古新基地建設を「終わった問題」(政府高官)と主張し、工事を着々と続けてきた。県民に諦め感や息切れ感、次の権限行使に踏み切らない知事への不信感も一部でくすぶり始めていた中、知事本人が「工事の入り口」(県幹部)である基地ゲート前で、改めて承認撤回という強い権限行使を表明したことで、新基地建設阻止に向けた求心力の回復を狙った形だ。

 就任後初めて基地ゲート前の集会に参加した翁長知事。撤回表明は集会を主催した「オール沖縄会議」側にも事前に知らされておらず、同団体幹部は「県民の思いに応えてくれた。よく言ってくれた」と驚いた。
 工事車両の出入りなどに対峙(たいじ)してきた抗議運動の"舞台"を訪れることには一定の混乱も予想された。知事の参加に当たって県は主催者と協議し、集会は「整然と行う」点を確認。翁長知事が「行政の長」として集会に参加できる状況を整えた。
◆「政治家・翁長」
 知事周辺は「新基地建設が佳境を迎える中、多くの県民は今、行政の長だけではなく、政治家・翁長雄志を求めている」と話す。県幹部は集会前、「知事は諦めない、今後も権限行使を続けると県内外に伝える。それを力強く発信するのに、ゲートを背にすることが重要だ」と力を込めていた。
 政府が進める工事に対し、知事は今月末に期限を迎える岩礁破砕許可の更新に応じないことで再び工事を止めることも視野に入れていた。だが政府は名護漁協に、工事に伴う漁業補償を支払ったことで現場海域の漁業権は消滅したと主張し、これにより知事への岩礁破砕許可申請は必要ないと主張する「新見解」を突如示す手段に出た。
 「知事権限封じ」を図ることで、新基地建設阻止を掲げる知事を飛び越え、工事強行を図ろうとする政府。そうした状況への県民のいらだちを察知した知事は、ゲート前の集会で撤回を表明することで「座視していない」とのメッセージを込めたとみられる。
◆政府と神経戦
 とはいえ県が行政機関である以上、実際に撤回に踏み切るには法的に妥当な根拠に基づくことが必要条件だ。この日のあいさつで、政府による岩礁破砕許可の不申請などの行為が「一つ一つ貯金として入っている」と知事が表現したことはその象徴と言える。県は一定の積み重ねを経て「違法性」に基づく撤回に踏み切る算段を描く。
 今後の焦点となるのは、知事がどのタイミングで撤回に踏み切るかだ。
 政府は知事が埋め立てを阻止する次の有力手段として「撤回」に踏み切ることを"織り込み済み"とみて、代執行や執行停止などの法的対抗策を検討している。
 一方、政府は4月中にも辺野古の埋め立て工事を本格開始する見込みで、知事サイドはその"節目"の日程をにらむ必要もある。
 防衛省関係者は、知事が埋め立て承認の「留意事項違反」だけを理由に早期に埋め立て承認の撤回に踏み切れば、それを正当化する法的な「材料」は乏しいとみて、裁判になれば「圧勝」し、県に損害賠償を求める根拠にもなるとみる。そのため国は、県が「材料不足」の状態で撤回するのを待ち構えているとも言え、神経戦が予想される。
 昨年12月の承認取り消しを巡る最高裁判決で勝訴したことから、政府関係者は知事の撤回表明に「支持者向けのパフォーマンスだろう。裁判に負けることはない」と自信を見せる。
 ただ岩礁破砕への対抗措置や撤回などのタイミング次第で、工事の遅れや名護市長選の人選作業などにも影響するとみて、県の動向を見極めながら対抗策を最終決定する考えで「後は知事がいつ撤回するかだ」と警戒感をにじませた。

自民沖縄県連が辺野古「容認」 普天間の早期返還へ政策変更  2017年3月26日

移設問題に対する県連の政策について、現状の「辺野古移設を含むあらゆる可能性を追求」するとの内容から「辺野古移設を容認し、(普天間の)早期返還の実現を図る」とする内容へと変更する方針を固めた。4月8日の県連大会で正式に決定する。

 翁長雄志知事が仲井真弘多前知事の埋め立て承認を撤回する考えを表明し政府との対決姿勢を強める中で、県連が県政との対立軸を鮮明にし「辺野古が唯一の解決策」とする政府方針に沿った立場を明確に打ち出す格好だ。
 これまでの政策で県連は、普天間飛行場の危険性除去や早期返還実現に向け「辺野古移設を含むあらゆる可能性を追求し米軍普天間飛行場の固定化阻止に全力で取り組む」と掲げ、辺野古移設を認めつつ、それ以外の選択肢についても含みを持たせる表現にしていた。
 だが2016年12月に国が県を訴えた違法確認訴訟の最高裁判決で県が敗訴したことなどを受け、県連内でも方針を明確に打ち出すよう求める声が上がり、変更するに至った。

 

 

 

県が辺野古作業警戒 取締船で現場確認 破砕許可期限切れ問題  2017年4月2日

名護市辺野古の新基地建設を巡って、仲井真弘多前知事が国に出した岩礁破砕許可が3月31日で期限が切れたことを受け、県は1日、辺野古周辺海域に漁業取締船「はやて」を出し、新基地建設作業や岩礁破砕が疑われる行為が行われていないかなどの現場確認に当たった。
 1日はコンクリートブロックの投入など、岩礁破砕が疑われる作業は確認されなかった。県は防衛局が工事を実施すると見られる3日も、取締船を出すことを予定しており、警戒を続ける。
 県によると、陸上からも午前11時前から正午すぎにかけて約1時間、県職員が確認作業を実施したが、どちらからも海上作業は確認されなかった。

辺野古沖で掘削継続 座り込み排除し資材搬入 2017年4月4日

米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設工事で、沖縄防衛局は4日午前も沖合で海底の掘削(ボーリング)作業を継続した。やぐらを載せた台船が掘削作業に使う棒を海中に下ろしているのが確認された。キャンプ・シュワブの浜辺では、重機が鉄板を置く作業が確認された。護岸工事に向けた仮設道整備作業とみられる。

 県の岩礁破砕許可は3月31日に切れている。
 シュワブのゲート前では新基地建設に反対して座り込んだ市民約40人を機動隊が排除し、午前9時すぎに砕石やプレハブなどを積んだ工事用車両22台が基地内に入った。

 

漁協の権利放棄で二重基準 辺野古は漁業権「消滅」、那覇空港沖は「存在」 国、岩礁破砕許可切れ巡り 

2017年4月4日 06

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設計画に伴う名護市辺野古沿岸部の岩礁破砕許可を巡り沖縄防衛局は、「名護漁協の漁業権放棄決議によって許可の前提となる漁業権が存在しなくなったために許可を取得する必要はない」と主張し、4月以降、県の許可を得ずに新基地建設工事を続けている。

 県は「漁業権の変更(一部放棄)は知事の承認を得ない限り成立しない」として、漁業権はなお存在し、許可申請は必要だとしている。一方、那覇空港の第2滑走路建設では、国の機関である沖縄総合事務局は地元漁協が漁業権放棄を決議して以降も漁業権は存在するとの認識で、県に岩礁破砕許可を申請している。

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<社説>「辺野古」無許可掘削 「あらゆる手段」行使の時だ  2017年4月5日

安倍政権の反「法治主義」は目を覆うばかりだ。民意も、許可制度も無視する恥ずべき行為に強く抗議する。

 沖縄防衛局は辺野古新基地建設に向け、海底の掘削(ボーリング)調査を続けている。県の岩礁破砕許可は3月末で切れた。国が無許可で掘削を強行しているのだ。
 県の「岩礁破砕取り扱い方針」によれば、県との協議を経て知事が掘削調査の許可を「要しない」と判断すれば、許可申請は必要ない。だが、防衛局は県と協議していない。このため、許可を「要しない」との判断も出ていない。国の掘削調査は明らかに不当である。
 国は岩礁破砕許可を得る必要がないため、協議も行う義務はないとしている。名護漁業協同組合が工事区域だけでなく、周辺の臨時制限区域の漁業権放棄を決議したことで、岩礁破砕許可の前提となる漁業権は自然消滅したというのが理由である。あまりに乱暴だ。
 1985年の政府答弁書は「漁協の総会で『共同漁業権の一部放棄』が議決されたとしても、そのことにより漁業権が当然に変更されるものではない」としている。国自身が漁協の議決による漁業権の自然消滅を否定しているのだ。
 国は辺野古新基地建設を巡り「行政の継続性」を挙げて建設の妥当性を強調している。ならば、「行政の継続性」の観点から85年答弁書に沿って対応すべきだ。
 国の一貫性のない対応はまだある。辺野古新基地と同じく漁協が漁業権放棄を決議した那覇空港第2滑走路建設工事で、沖縄総合事務局は岩礁破砕許可の更新を申請している。漁業権は存続しているということだ。
 防衛省は2015年、翁長雄志知事の海底作業停止指示の執行停止などを求めた申立書で「他事業との公平性」を理由に挙げた。漁業権が那覇空港滑走路工事で存続し、辺野古新基地建設では消滅するのでは「公平性」に反する。
 ルールをねじ曲げてでも辺野古新基地建設を強行する国の姿勢は、異常としか言いようがない。さまざまな理由を並び立てても、作業強行を正当化できるものは何一つない。
 正当性は県にある。国が行政指導に応じる可能性は低く、一刻の猶予も許されない。県は国の横暴を早急に止めるため、埋め立て承認撤回など、「あらゆる手段」を行使する時だ。

 

沖縄県、防衛局を行政指導 期限切れ後の辺野古掘削作業で 2017年4月5日

名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局が3月末で県の岩礁破砕許可が期限切れを迎えて以降も海底掘削(ボーリング)作業を継続している問題で、県は5日、防衛局に行政指導した。県の担当者が同日夕、防衛局で文書を手交した。指導文書は翁長雄志知事名。海底地形を改変する工事を行うには、岩礁破砕許可を取得するよう改めて求めた。

 また県がこの日提出した別の文書は、県の岩礁破砕許可に関する取り扱い方針で、掘削行為を岩礁破砕許可の対象外の扱いとするには、県との協議が必要だと指摘。掘削作業を続けるには、県と協議するよう求めた。

 

 

県、国へ行政指導 辺野古、破砕許可再申請を要求

2017年4月6日

名護市辺野古の新基地建設工事を巡り、県は5日、岩礁破砕許可が3月末に期限が切れた後も工事が続けられていることに対し、沖縄防衛局に許可を再申請するよう求める行政指導をした。県との事前協議なしに実施されている海底掘削(ボーリング)調査についても事前協議をするよう求めた。行政指導に強制力はないが、国が指導に従わずに工事を続行した場合、県は警告や告発のほか、工事差し止め訴訟などさらなる対抗措置を検討する見通しだ。

 県は今回の行政指導通知で、国との見解の分かれる漁業権について「漁業権免許関係事務は自治事務である」とし「県には漁業権の適切な解釈を持って当該事務を行う責務がある」と強調。知事による変更許可が行われない限り漁業権は存在し、岩礁破砕を伴う工事には岩礁破砕許可が必要だとした。沖縄防衛局は、工事海域には漁業権は存在しないと主張しており、岩礁破砕許可は不要との立場を堅持している。
 さらに行政指導の一環として工事の進捗(しんちょく)を尋ねる資料提出の「依頼」も合わせて出した。ボーリング調査や、汚濁防止膜設置用コンクリートブロックの設置場所等の最新状況をまとめた資料を提出するよう求めている。提供期限は19日。
 5日夕、県水産課の担当者が沖縄防衛局を訪ね文書を手渡した。県によると、沖縄防衛局の担当者は、漁業権は存在しないとの立場であるとし「本来は文書は受け取る立場にない」とした上で文書を受け取り、岩礁破砕許可申請についても「申請する予定はない」と述べた。

 

<社説>「辺野古」行政指導 協議終了まで工事止めよ  2017年4月7日

 

菅義偉官房長官は、ことあるごとに「わが国は法治国家だ」と強調する。そうであるなら法に基づいた行動をしてもらいたい。名護市辺野古の埋め立て工事に関する限り、政府は法、あるいは法の趣旨をねじ曲げ、一方的な解釈を沖縄に押し付けようとするからだ。

 県は辺野古の岩礁破砕許可が期限切れとなった後も工事が続けられていることに対し、沖縄防衛局に許可を再申請するよう行政指導した。事前協議なしに実施されている海底掘削(ボーリング)調査についても、事前協議をするよう求めた。
 沖縄防衛局は指導に対して「本来は文書を受け取る立場にない」として、岩礁破砕許可も「申請する予定はない」と突っぱねている。
 これが法治国家のあるべき姿だろうか。県は当該海域に漁業権が存在し、岩礁破砕を伴う工事を実行するには許可が必要だと主張している。漁業法22条で、漁業権を変更するには「都道府県知事に申請してその免許を受けなければならない」とする条文が根拠だ。
 これに対し、国は名護漁協が漁業権を放棄したことで岩礁破砕許可は不要との立場を取る。国は漁業権消滅の根拠に漁業法31条(組合員の同意)、水産業協同組合法50条(特別決議事項)を挙げる。だが二つの条文を読む限りでは、いずれも漁協内の手続きの在り方を示したにすぎない。
 いずれも正当性があるとする県と国の主張が平行線であるならば、協議する必要がある。意見が対立する場面で話し合う姿勢すら見せず、一方的な解釈を押し付けるのでは、法治国家という以前の問題だ。少なくとも政府が辺野古埋め立て工事に臨む態度は、民主国家とは言い難い。
 県は沖縄防衛局が指導に従わなければ、警告や告発、埋め立て承認の撤回、工事差し止め訴訟などの措置を検討するという。
 県の方針をけん制して、菅官房長官は、これまで辺野古代執行訴訟の福岡高裁那覇支部判決を持ち出し「(判決の)主文の趣旨に基づいてお互い尊重する」と主張してきた。
 福岡高裁那覇支部や国地方係争処理委員会が県と国に求めたのは、解決に向け双方が「真摯(しんし)に協議」することだ。一方的な解釈の押し付けや民意を無視した工事強行のはずがない。政府は県と協議のテーブルに着いて話し合う必要がある。それまで工事は止めるべきだ。

生コンミキサー車などが基地に入る 辺野古新基地建設  2017年4月7日

 

辺野古の護岸着手、4月下旬か 波高く作業遅れ 2017年4月8日

辺野古移設を容認 自民県連、大会で承認 2017年4月8日

自民党県連は8日、那覇市のロワジールホテル那覇で第48回県連大会を開き、名護市辺野古への新基地建設を「容認」することを決めた。県連はこれまで「辺野古移設を含むあらゆる可能性を追求する」としていたが、大会では「普天間飛行場の危険性の除去・早期返還を実現するには、最高裁判決に従い辺野古の代替施設への移設を容認する以外に具体的かつ現実的な方策は見いだせない」とした。
 さらに普天間飛行場の5年以内の運用停止については「辺野古の代替施設への移設作業が順調に進んでいることが前提にあったことは十分に推測できる」とした上で「5年以内の運用停止の実現の見通しはなく、全ては翁長知事の協力のなさからくるものである」として翁長知事を批判した。
 大会ではこのほか、照屋守之会長や中川京貴幹事長、又吉清義総務会長、島袋大政調会長などを再任する役員人事案を承認した。産業の振興や雇用の創出、鉄軌道の導入を含めた公共交通網の構築、地域福祉医療体制の拡充強化などを掲げた7項目の県連政策案を決定した。
 照屋会長はあいさつで「今の沖縄は異常だ。国は親であり、県は子どもだ。今、国と県が対立しているわけではない、子どもが一方的に親、国を批判して対決しており、信頼関係は完全に失われている。それを打開して、まっとうな政治を沖縄につくりたい」と決意表明した。

翁長知事、中国へ出発 政府要人と面談予定 2017年4月9日

翁長雄志知事は9日午後、日本国際貿易促進協会(国貿促)の訪中代表団に参加して北京を訪れるため、那覇空港を出発した。中国政府要人と会談する。訪中は3年連続3回目。翁長知事は空港で「もう3回目で一つ一つ前に来ている。改めて経済交流、自治体交流を進めていきたい」と抱負を語った。12日帰任する。

 今年が沖縄県と福建省の友好省県20周年で記念行事も予定していることから、双方の交流活発化への協力を求める。観光振興の観点から中国からの来沖観光客拡大も要請する。
 昨年の訪中では汪洋副首相(商務担当)や、日本の経済産業相に当たる高虎城商務相らと会談した。県産品や国産品の輸出で、中国での通関・検疫の簡素化や迅速化も要請した。
 県は昨年12月には福建省と(MOU経済連携の覚書)を締結し、今年1月から中国への輸出実証実験も始めた。翁長知事は「まだ入り口に入ったばかりなので、さらに前進させていきたい」と述べた。

「沖縄今こそ立ち上がろう」 辺野古新基地建設 抗議の座り込みで熱唱  2017年4月12日

米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設で12日午前、雨の降る中、建設に反対する市民約250人が米軍キャンプ・シュワブゲート前に座り込み抗議の声を上げた。建築資材の搬入はなかった。
 辺野古を毎月訪れているシンガー・ソングライターの川口真由美さん(41)=京都府=が「沖縄今こそ立ち上がろう」を歌い、市民は体や傘を揺らし、ともに歌った。
 琉球大学の高良鉄美教授が「期限切れの岩礁破砕許可の再申請をせず、辺野古新基地建設工事を強行する日本政府に抗議する」とする抗議声明文を読み上げた。
 海上では沖縄防衛局が大浦湾の海底掘削(ボーリング)作業を実施した。汚濁防止膜設置のため、大型クレーン船による防止膜つり上げの様子も確認された。市民は抗議船やカヌー16隻で海上抗議活動を続けた。

「3回訪中の成果に厚み」 翁長知事が帰任 2017年4月12日

日本国際貿易促進協会(会長・河野洋平元衆院議長)の一員として10日から中国・北京を訪問していた翁長雄志知事は12日午後、帰任した。那覇空港に到着した翁長知事は2015年末から運休している那覇―福州線の早期再開や沖縄への投資などを中国側に要請したことを説明し「3回連続の訪中成果は厚みが生じた」と期待感を示した。知事は10日に中国政府の李克強(りこくきょう)首相、国有企業の中国中信集団(CITIC)の常振明(きょうしんめい)総裁と面談し、翌11日には日本経済産業省に当たる商務部の銭克明(せんこくめい)副部長と面談した。

辺野古、17日にも護岸着工 汚濁防止膜の配置完了 普天間問題、重大局面へ  2017年4月15日

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設計画に伴う名護市辺野古の新基地建設工事で、政府が早ければ17日にも本体埋め立て工事に着手することが分かった。第一段階として「K9護岸」を建設する。海上警備体制や天候などを考慮し、最終的には官邸が日程を判断する。護岸工事は、大量の石材などを海底に積み上げるもので、着手されると海の環境の原状回復は困難となる。1996年の日米合意後、多くの県民が県内移設に反対し続ける中、米軍普天間飛行場移設問題は重大な局面を迎える。

 沖縄防衛局は14日までに、土砂などが海中へ拡散するのを抑える汚濁防止膜を予定地に配置する作業を終えた。膜(カーテン)を海中に広げる作業を残すのみとみられる。
 作業が順調に進めば17日にも護岸の着工が可能となる。護岸は、埋め立て区域の外枠となるもので、石や消波ブロックを海中に投入し壁を作る。一定程度護岸ができたら、土砂を海中に投入し区域を埋め立てていく。
 防衛省の武田博史報道官は14日の記者会見で「汚濁防止膜の設置を終え、現在護岸工事に必要な資機材の準備などを進めている。防衛省として一日も早い普天間飛行場の移設返還のため、工事を着実かつ早期に進めていきたい」と述べた。