琉球新報2015年12-1月短縮版

2016年01月28日 12:00

辺野古基金 2015.08.12現在の金額  420,140,436円   振込件数:54,252

2015.10.14現在の金額  463,349,907円   振込件数:70,614

2015.12.09現在の金額    500,999,638      振込件数:76,647

2016.01.07現在の金額    526,138,959       振込件数:80,687

島尻沖縄相、予算への影響示唆 知事と政府の対立  2015年12月16日

島尻安伊子沖縄担当相は15日午前の記者会見で、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設計画で、政府と対立している翁長雄志知事の姿勢が来年度の沖縄関係予算の確保に影響するか問われ「予算確保に全く影響がないというものではない」と、知事の政治姿勢が予算に影響する可能性を示唆した。・・後略

辺野古沖で作業継続 ゲート前でも混乱続く  2015年12月18日

・・前略・・米軍キャンプ・シュワブゲート前では新基地建設に反対する市民ら約100人が抗議の声を上げた。午前7時40分ごろ、ゲートの向かい側の歩道にテントを張ろうとした市民を機動隊が制止し、隊員約60人で歩道の一部を占拠した。午前11時現在、機動隊車両3台と鉄柵、隊員数人で占拠を続けている。
 午前7時ごろ、機動隊が市民らを排除する中、コンクリートブロックなどを積んだ工事用のトラック9台が基地内に入った。午前9時すぎには抗議集会中に、機動隊員が市民の間を通ってゲート内に入ろうとしたため、市民らが「集会妨害だ」と反発し、市民と機動隊が一時衝突した。

抗告訴訟へ県議会可決 県、年明け国提訴 辺野古埋め立て  2015年12月19日

 県議会11月定例会最終本会議は18日、翁長雄志知事による名護市辺野古の埋め立て承認取り消しを執行停止した国土交通相を相手取り県が起こす抗告訴訟の議案を賛成多数で可決した。・・中略・・ 県側は抗告訴訟で国交相による執行停止は違法だと主張すると同時に、判決までの間、暫定的に執行停止の効力を止める措置を裁判所に求める。これにより埋め立て承認取り消しの効力を再び復活させ、国側との一連の法廷闘争の間、建設作業を止めることを主な目的に提訴する。
 抗告訴訟の議決議案では与党5会派や中立の維新の会など26人が賛成し、野党自民党13人と無所属1人の計14人が反対した。中立の公明県民無所属の4人は「国と県が訴訟合戦に発展していくことは好ましい状態ではない」などと意思表示を示して退席し、ほかの無所属2人は意思表示しないまま離席した。・・後略

<社説>思いやり予算増加 思考停止の病弊が表れた  2015年12月19日

 こと米国に関する限り、この国の外交は機能まひに陥り、腰砕けを連発する。安全保障が絡むと、途端に思考停止する。この二大病弊がくっきりと表れたのが今回の在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)交渉であろう。2016~20年度の5年間の駐留経費負担を現行より増やす特別協定について日米が合意した。
 毎年度平均1893億円、5年で9465億円の大盤振る舞いである。こんな合意は断じて容認できない。国会は承認を拒否し、交渉の抜本的な仕切り直しを求めるべきだ。・・中略・・ しかも米軍のための支出はこれだけではない。土地・施設の借り上げ、米軍再編や訓練移転の経費も含めれば年7250億円に上る。
 この予算があれば、例えば貧困家庭の子の進学をどれだけ無償化できるだろう。防衛費も初めて5兆円を突破する公算という。この国は財政の優先度を間違えている。

「普天間」解決手法に違い 宜野湾市長選立候補予定者が初論戦 2015年12月20日

来年1月17日告示、24日投開票の宜野湾市長選で琉球新報社は19日、現職の佐喜真淳氏(51)=自民、公明推薦=と翁長県政与党の支援を受ける新人の志村恵一郎氏(63)による立候補予定者座談会を宜野湾市野嵩のジュビランスで開催した。両氏が論戦を交わすのは初めて。米軍普天間飛行場返還・移設問題について佐喜真氏は「原点は危険性除去と基地負担軽減のための一日も早い返還だ」、志村氏は「危険性除去の観点からも辺野古移設は認めない」と訴え、問題の解決手法について違いが浮き彫りになった。・・後略

 全国5議会、辺野古「容認」意見書可決 名護市民ら反発  2015年12月20日

 長崎県佐世保市議会は、19日までに「米軍普天間飛行場代替施設の早期実現を求める意見書」を賛成多数で可決した。意見書では沖縄を「国益を守る上で地政学的に不可欠の存在」と位置付け、現在名護市辺野古沖で計画が進む新基地計画を容認する内容となっている。佐世保のほか東京都豊島区、新潟県糸魚川市、佐賀県多久市、石垣市の少なくとも5自治体が意見書を可決した。名護市民らから批判が上がっている。専門家も「過重な沖縄の基地負担の現実をきちんと理解した上で、意見書を可決したのか疑問だ」と指摘している。 佐世保市議会は、名護市議会野党会派の礎之会(岸本直也会長)とあけみおの会(吉元義彦会長)が全国の地方議会議長宛てに送付した陳情を受け、18日に採択した。
 意見書は「普天間飛行場の危険性を一刻も早く除去することと、基地負担の軽減が原点だ」と強調し、日本政府の従来の見解に沿っている。・・後略

「基地必要論」理論で抵抗 識者、負担に異議 宜野湾でシンポ  2015年12月19日

 シンポジウム「宜野湾から沖縄の未来を考える-基地・経済・地方自治」(新外交イニシアティブ主催)が18日、宜野湾市民会館で開かれた。沖縄の過重な基地負担への向き合い方や、基地経済をめぐる誤解の払拭(ふっしょく)、「抑止力論」によって沖縄への基地集中を正当化する言説に対し、沖縄側から理論的で明確なメッセージを発していく必要性などで意見を交わした。基調講演と討論で登壇した古賀茂明氏(元経済産業省官僚)は、日米安全保障条約は日本が米側を守る義務がなく「片務的」だと言われることについて「沖縄の負担を完全に忘れた議論だ。沖縄には騒音、事故、犯罪もあり、県民の意思を踏みにじられる屈辱を負っている」と指摘した。「米国はいざという時に助けるというが、尖閣諸島の近くにいる中国船を追い払いもしていない。むしろ逆の意味で片務的だ」と強調した。
 呉屋守将金秀グループ会長は自身が昨年の県内主要選挙で米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する候補を応援したことに触れ「これは政治運動ではなくウチナーンチュの人権を守る運動だ。経済を大事にするからこそ平和と民主主義が大事だ」と強調した。
 當山智士かりゆし社長は「基地問題で沖縄は差別されていると言われるが、観光で沖縄を訪れる人は誇り高く生きる沖縄に憧れている。平和ツーリズムとして辺野古にバスが10、20台連なるようになっていいのではないか」と提案した。
 石川達也沖縄タイムス編集局次長は「森本敏元防衛相は『沖縄に米海兵隊を置くのは政治的な理由』と言っている。9割近くの国民が日米安保を容認する中、米軍基地が来るのは嫌だと言う。果たしてそれでいいのかと沖縄側から声を大にしてものを言っていかないといけない」と提言した。

辺野古・豊原に2300万決定 久志は盛り込まず 直接補助金防衛省計画 2015年12月19日

防衛省は18日、2015年度の第4回補助金実施計画を発表し、米軍普天間飛行場の移設先となる名護市キャンプ・シュワブ周辺の辺野古、豊原の両区に対して合計約2300万円を直接交付することを決めた。同省によると、早ければ年内にも交付する。久志区は補助金の受け取りの是非をめぐって区内で賛否が分かれ、防衛省に事業計画書が提出されていないため、今回の計画には盛り込まれていない。

反安保の支援組織結成 野党共闘求め、シールズら  2015年12月20日

政府、沖縄振興減額へ調整 普天間問題の対立反映  2015年12月20日

県、辺野古承認瑕疵認める 取り消し住民訴訟  2015年12月20日

仲井真弘多前知事の名護市辺野古埋め立て承認を受けて、2014年1月に承認に反対する県民が承認の取り消しを求めて県を提訴した訴訟で、被告の県が承認に瑕疵(かし)があると認める主張方針を記した書面を那覇地裁に提出していたことが19日、分かった。

警視庁機動隊が一時帰任 年明け再派遣 辺野古警備  2015年12月22日

・・前略・・複数の関係者によると、年明け以降は、警視庁を含め県外の機動隊員が再度派遣されるという。・・後略

沖縄予算3350億円 前年度当初比10億増 2年連続要求届かず  2015年12月22日

辺野古最善は「侮辱」 米識者70人、ケネディ氏発言に抗議声明  2015年12月24日

映画監督オリバー・ストーン氏や言語学者ノーム・チョムスキー氏ら米国の文化人や識者ら70人は22日、ケネディ駐日米大使が17日の日本記者クラブでの記者会見で米軍普天間飛行場移設に関して、名護市辺野古への移設が最善だとの考えを示したことに抗議する緊急声明を発表した。声明は大使の発言について「(辺野古移設計画に)激しく反対してきた沖縄の圧倒的多数の人々に対する脅威、侮辱、挑戦であり、同時に法律、環境、選挙結果を軽視する行為だ」と批判した。・・後略

米ケンブリッジ市議会で辺野古反対決議 米で2例目   2015年12月24日

・・前略・・ ケンブリッジ市議会が可決した決議は「沖縄では1945年の戦争で市民の4分の1が命を落とした」とした上で「戦後は米国が沖縄に強大な軍事駐留をした。日本に対する軍事占領が終了した後も日本政府は米軍による沖縄統治を認めた」と説明した。
 決議は県民の多数や翁長雄志知事が辺野古移設計画に反対していることや、大浦湾の貴重な生態系を挙げ「沖縄の人々と連帯し、米政府に以下の行動を取るよう求める」とし、米連邦議会での新基地建設に関する公聴会開催などの手続きを経るまで、建設作業を止めることを求めた。・・後略

県「アジア戦略課」設置へ 知事が明言 承認撤回は状況で判断  2015年12月23日

翁長雄志知事は22日、県庁で報道各社のインタビューに応じた。翁長県政が9月に策定した県アジア経済戦略構想に関連し、「アジア経済戦略課を4月に設置し、構想を具体化し、民間とも連携して進めたい」と述べ、来年度に県庁に専門の担当課を立ち上げることを明らかにした。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題について、埋め立て承認の取り消しに続き、承認撤回も行うかとの質問には「(取り消しをめぐる)代執行裁判が入り口に入った。国地方係争処理委員会も開かれている。こういったことを見ながら判断したい」と述べ、検討していることを認め、裁判や国地方係争処理委の審議状況を踏まえて判断する意向を示した。翁長知事は2015年度の沖縄への入域観光客数について当初目標の760万人を「割合大幅に突破するのは間違いない」と分析した。15年度の実績を精査した上で、観光推進ロードマップで示した16年度目標800万人の上方修正を示唆した。・・後略

辺野古ゲート前で350人が抗議   2015年12月23日

 名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前には23日、午前6時ごろから米軍普天間飛行場の移設に伴う新基地建設計画に反対する市民らが駆け付けた。同7時ごろから旧ゲート前で集会が始まり、「大浦湾を守るぞ」と埋め立て工事阻止に向け抗議の声を上げた。同10時ごろまでに海上工事に関連する車両の進入はなかった。市民らは「作業を止めた」とし、座り込む全員でラインダンスやカチャーシーを踊った。ゲート前には午前8時半までに350人ほどが集結した。休日ということもあり親子連れの姿もあった。その中で市民らを前に、地元名護市内の中学校に通う渡具知和紀さん(13)、和奏さんの双子の姉妹が自作の詩と手話で平和への願いを伝えた。
 「あなたにとって平和って何ですか。幸せって何ですか。考えてみよう命のありがたさを、笑いあえる時間の大切さを」などと和奏さんが思いを言葉にし、それに合わせ表情豊かに和紀さんが手話を披露した。「これからも頑張っていきましょう」とあいさつする二人に、市民らから大きな拍手が送られた。
 一方、新基地建設に向け、沖縄防衛局が作業を行う大浦湾海上では、市民らが抗議船を出し、作業中止を求める抗議や作業状況の確認などを行っている。

係争委、県申し出却下 辺野古効力停止「審査対象該当せず」  2015年12月25日

米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設計画をめぐり、辺野古埋め立て承認取り消しの効力を停止した石井啓一国土交通相の執行停止の適否を審査する第三者機関の国地方係争処理委員会は24日夕、第3回会合を総務省で開き、委員間の多数決により、県の申し出を却下した。国の関与から地方自治体を保護するために設置された係争処理委がその役割を果たさなかった格好だ。県はこの決定を不服として司法機関の審査を求め、地方自治法に基づき、国交相を高裁に訴えることを検討している。・・後略

県、国を提訴 辺野古埋め立て 承認取り消し復活求め  2015年12月25日

米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、翁長雄志知事による埋め立て承認取り消しを国土交通相が執行停止したことについて、翁長知事は25日午後2時すぎ、この決定の無効化を求める「抗告訴訟」を那覇地裁に提起した。判決までの間、暫定的に執行停止決定の効力を止める措置も申し立てた。・後略

辺野古訪れ新基地「いらない」 全国の高校生ら70人平和集会  2015年12月28日

名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前では27日早朝から、米軍普天間飛行場移設に伴う辺野古への新基地建設に反対する市民らが座り込み、抗議した。東京や広島など沖縄を含む12都道府県から集まった「全国高校生平和集会in沖縄」(同実行委員会など主催)の高校生40人や退職教員ら計約70人もゲート前を訪れ、沖縄に横たわる米軍基地の現状や抗議の様子を肌で感じ取った。

 平和集会は、県外の高校生が普天間高校の生徒と共に本島南部の戦跡や辺野古を回りながら、交流を深める内容。沖縄での開催は1996年から始まり、今回で5度目。高校生らは、大城悟沖縄平和運動センター事務局長や、ゲート前に抗議の激励で駆け付けた稲嶺進名護市長の話に熱心に耳を傾けた。
 笠原樂(がく)君(16)=高1、東京都=は「米軍基地は騒音被害や自然破壊、オスプレイの危険性などにつながり、どこにもあってはいけない」と強調し「海を埋め立てて基地を造ることが果たして利益になるのか」と疑問視した。
 初めて辺野古を訪れた本村恵玲奈さん(18)=普天間高3年、宜野湾市=は「騒音で授業が途切れることもあり、普天間飛行場がなくなるのはいいことだ。でも移設先が県内となると話は別だ。基地が沖縄に押し付けられているとしか思えない」と語った。・・後略

辺野古 カヌーの市民14人一時拘束  2015年12月28日

新基地阻止、新年へ決意 辺野古抗議、年内は終了  2015年12月29日

・・前略 ・・ 沖縄平和運動センターの大城悟事務局長(52)は、ことし1年を振り返り「政府が強行する工事の予定を遅らせることができた」と話した。その上で「『新基地を絶対に作らせない』という決意を新たに、来年も頑張りたい」と意気込んだ。

新基地強行「琉球処分以上だ」  半藤一利氏、政府を批判 2015年12月30日

「日本のいちばん長い日」などの著書があり、近現代日本史研究で知られる作家の半藤一利氏(85)はこのほど、富田詢一琉球新報社長と対談した。半藤氏は、政府による名護市辺野古新基地建設計画の強行について「昔の『琉球処分』以上のことをしている。戦後民主主義は民意が第一だ。辺野古は翁長(雄志)さんが勝った瞬間に保留、考え直すのが当たり前だ」と強く批判した。・・後略

辺野古の浜で初日の出 名護市長「前進する年に」  2016年1月1日

米軍普天間飛行場の移設に伴う新基地建設が予定されている名護市辺野古の松田ヌ浜には1日、初日の出を見ようと市内外から約300人が訪れた。初日の出を拝んだ稲嶺進市長は「ひるむことなく前進する年にしたい」と意気込みを語った。・・後略

ヘリ基地反対協がグラスボート導入 サンゴ群落確認 2016年1月1日

米軍普天間飛行場の移設に伴う埋め立てが予定されている名護市大浦湾の自然を多くの人に知らせようと、ヘリ基地反対協議会がグラスボート「ゆがふ世(ゆ)」を導入した。1日には稲嶺進名護市長も船に乗り、大浦湾に広がるサンゴ群落を観賞した。

 グラスボートは辺野古基金で購入した。ヘリ基地反対協議会の所有で、名護市東海岸地域でエコツーリズムなどの活動をする団体でつくる「名護市東海岸エコツーリズム推進協議会」がグラスボートの管理とボートを活用したガイドなどを行う。
 ボートからは、テーブルサンゴやアオサンゴ、熱帯魚やクラゲが泳ぐ姿が見えた。一方、大型の浮標灯(ブイ)などを固定するために沖縄防衛局が設置したコンクリートブロックも確認された。
 稲嶺市長は海中をのぞき込み、「この自然をつぶしてはいけない。多くの人に生の姿を見てほしい」と呼び掛けた。

<社説>自決権回復へ 沖縄は強くなった 分断統治をはね返そう  2016年1月3日

 ここ数年ほど「自己決定権」が関心事になったことは過去にないだろう。裏を返せば、今ほど露骨に沖縄の自決権がないがしろにされた時期もないということだ。
 知事選、衆院選、名護市長選で示した民意に反し、政府は辺野古新基地建設の作業を強行した。翁長雄志知事を裁判に訴えもした。
 だが知事は国連で演説し、日本政府が沖縄の自決権や人権をないがしろにしていると述べた。県民の厚い支持を背景に、法廷闘争も受けて立つ構えだ。政府の強権も露骨なら、毅然(きぜん)としてはね返す県民の姿もまたかつてないものである。沖縄は確実に強くなった。

 明確な国際法違反

 知事が国連で演説したように、米軍は第2次大戦後、基地を強制的に接収した。われわれが自らの意思で土地を提供したことはない。占領軍による私有財産没収を禁じたハーグ陸戦条約(戦時国際法)は1907年の改定だから、当時ですら明確に国際法違反だ。
 「全ての人民は自決権を有する」と第1条でうたう国際人権規約に、日本も79年に批准した。選挙結果に反して基地建設を強行する政府は、従って自ら批准した国際法にも違反している。
 このような国際法も無視した沖縄の自決権侵害は「琉球処分」(強制併合)、施政権分離、日本復帰でも繰り返されてきたものだ。陸戦条約違反の米軍基地の合法化を図った「沖縄における公用地暫定使用法」は、沖縄返還前に制定された。特定地域にのみ適用される法律は憲法95条で住民投票が義務付けられているのに、沖縄の名を冠したこの法律は沖縄の意思を問うことなく決定したのである。差別的扱いを法律に組み込むのだから、まさに構造的差別だ。
 このような扱いを沖縄以外でできるだろうか。オスプレイ配備は沖縄で強行されたが、佐賀への暫定配備は地元の反対であっさり撤回した。沖縄との違いは明白だ。
 かくのごとき差別を許していれば、将来どうなるかは容易に想像できる。原発を推進する政府は、核のごみを2万年埋蔵する場所を探さねばならないが、手を挙げる自治体はない。政府は立候補を待つ方式から国が「適地」を選び、説得する方針に転じた。
 佐藤学沖国大教授が指摘するように、他県では絶対に受け入れない海兵隊を何としても沖縄に押し込めるという強権が、核のごみで使われない保証はどこにもない。今、辺野古新基地をはね返し、自決権を取り戻さなければ、われわれは子孫を守れないのである。

 着実に広がる共感
 確かにこと米軍基地に関する限り、この国の司法は政府を追認するのが常だから、法廷闘争を楽観視できる状況にはない。だが憲法は、安保や基地に関する法律は例外だなどと1行も書いていない。国が地方に常に優越するとも書いていない。法理に照らせば、自治を真っ向から否定する政府が不利だとの見方も十分あり得る。
 悲観するには及ばない。こうした沖縄側の訴えは着実に共感を広げてもいる。全国メディアの全国世論調査でも、国の対応が「不適切」とするのは過半数に及ぶ。民意を完全に踏みにじる強権を許せば、次はわが身だと警鐘を鳴らす言説も出始めている。むしろ地方の民意で政府を包囲したい。
 知事の国連演説の際には日本政府代表も演説した。だが「自決権」にまともに反論せず、「振興策をしてきた」と訴えるだけだった。植民地支配に厳しく対峙(たいじ)してきた国連である。人権に金を対置する論理は反感を買ったはずだ。国際世論を味方にする作業も一定の効果を挙げているとみていい。
 注意したいのは分断統治だ。沖縄の分断を図る意図をもはや政府は隠していない。長く保革で争ってきた政治風土があるから容易ではないが、構造的差別を次世代に引き継ぐか否かの瀬戸際だ。全首長や経済・市民団体も署名した建白書を思い起こし、寛容の精神でもう一度総意をまとめ上げたい。

辺野古、工事車両20台搬入 警視庁機動隊が市民排除開始 2016年1月7日

米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設で、沖縄防衛局は7日、ことし初めて米軍キャンプ・シュワブ内に擁壁用コンクリート資材や砕石、重機などを搬入した。5日に沖縄に再配置された警視庁機動隊は7日早朝から県警とともに市民らを排除した。 この日、うるま市を中心とした市民ら約100人がシュワブのゲート前に集まり、雨よけのテントを設置し座り込んだ。午前6時50分ごろから排除の準備を始めた警視庁機動隊に対しては「東京に帰れ」と訴えた。県警には「県民の立場になって」と訴えた。・・後略

普天間で立場に違い 宜野湾市長選立候補予定者が公開討論会  2016年1月8日