琉球新報2月

2018年07月01日 17:39

「普天間飛行場の飛行停止を」署名10万筆超 落下物被害の緑ヶ丘保育園父母会に賛同

2018年2月1日

米軍機からの部品落下を受け、緑ヶ丘保育園(沖縄県宜野湾市野嵩)の父母会が募った園上空の米軍機飛行禁止などを求める署名が1月31日までに10万456筆に上った。父母会は同日で締め切り、集計した。署名期間は52日間。2月13、14の両日に上京し、関係省庁に手渡す。署名は落下の原因究明や原因究明までの米軍機の飛行停止も要求している。署名開始当初は1万筆が目標だった。

 集計作業は午後2時ごろから夜まで続いた。保護者約20人が仕事の合間を縫って参加。10万筆に達したことが分かった瞬間、集まっていた保護者たちは歓声を上げた。作業中も米軍機が保育園上空を飛行していた。宮城智子父母会長(48)は「署名を始めた当初、こんなに集まるとは思わなかった。署名用紙や手紙が毎日届き、全国で頑張って集めてくれている方々の思いに胸が熱くなった」と感謝した。 東京行動では防衛省や外務省、内閣府に署名を提出するほか、衆院で国会議員らを招いた院内集会や日本外国特派員協会で記者会見を開きたい考え。保護者たちは個人で国会議員らに連絡し、院内集会への出席を求めている。

 署名活動を提案した父母会書記の与那城千恵美さん(44)は「皆さんの思いを持って東京へ行く。子どもたちを守ってと伝えたい」と意気込んだ。

沖縄観光客ハワイ超え 昨年939万人、外国人が大幅増 2018年2月2日

ハワイ州観光局が1日に発表した2017年のハワイ入域観光客は938万2986人で、沖縄が約1万3千人差で初めてハワイを上回った。17年の県内入域観光客は939万6200人だった。 -中略

  1968年に県内のホテル業者がハワイを視察して以降、県内ではハワイを手本にビーチやホテルの環境整備を始め、官民一体で「リゾート地・沖縄」形成へ向けたイメージ戦略を図ってきた。

首相発言は「理不尽」 知事「政治的理由を示唆」 基地負担軽減「本土の理解得られない」2018年2月4日

翁長雄志知事は3日夜、安倍晋三首相が2日の衆院予算委員会で沖縄の基地負担軽減を「本土の理解が得られない」と述べたことについて、米軍普天間飛行場の移設を巡る発言だとの理解を表した上で「県民をないがしろにしていたことを示す理不尽なものだ」と述べた。その上で改めて「辺野古が唯一な解決策だとは決して言えない」と述べ、県民の多くの民意に反して新基地建設を強行する政府姿勢を批判した。後略

国、辺野古推進と歓迎 名護市長選・渡具知氏初当選 2018年2月5日

米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設が最大争点となった4日投開票の名護市長選で、移設を推進する政府与党に支援を受けた渡具知武豊氏(56)が移設阻止を掲げた稲嶺進氏(72)を下し、初当選した。政府は2017年4月に護岸工事に着手して以降、工事を推し進めている。渡具知氏が当選したことで政府は工事をさらに加速させそうだ。

 辺野古新基地建設を推進する政府の支援を受けた渡具知武豊氏が当選したことで、国は「名護市民は新基地を容認した」とけん伝し、工事を一層加速させてくると思われる。これまで、地元の民意を根拠に辺野古新基地建設阻止の方針を掲げていた翁長県政は厳しい状況に追い込まれる。衆院選など各種全県選挙で辺野古新基地建設反対の民意が示されていることから、知事は引き続き辺野古新基地ノーを堅持する見通しだが、その実現への戦略は見直しを迫られそうだ。県知事選への翁長氏自身の動向も注目される。
 渡具知氏は選挙期間中、辺野古の新基地建設の是非の明言は避け「(県と国の)裁判の行方を注視する」と述べるにとどめてきた。しかし、基地受け入れが条件とされる再編交付金については「特段断る理由はない」などとし、受け取る意向を示している。
 再編交付金の受け取りと新基地建設反対が両立し得ないことを考えると、渡具知氏が近く辺野古新基地「容認」の姿勢を示す可能性が高い。名護市長は美謝川の水路切り替えなど工事を進める上での許認可を有しており、市長判断が基地建設の進展に大きな影響を与える。
 県は今後、これまでの全県レベルでの選挙で新基地建設ノーを掲げる候補が当選しているという事実や護岸工事着手に際し、度重なる県の行政指導を無視し工事を進める国の対応などを根拠に新基地建設反対の理論武装をしていくとみられる。埋め立て承認の撤回やそれに関連する県民投票、秋の知事選など重大局面が続く。

名護市長選「市民の選択の結果」 稲嶺さん、声絞り出す 2018年2月5日

「残念ながら、辺野古が争点とならなかった」。2期8年の実績と辺野古の新基地阻止を訴えた稲嶺進さんは、約3500票差で3選に届かなかった。午後10時28分、渡具知武豊さんの当選確実がテレビで流れると、市大中の選挙事務所は沈黙に包まれ、カメラのシャッター音だけが響いた。稲嶺さんは報道陣のインタビューに「市民の選択の結果だ。真摯(しんし)に受け止めないといけない」と言葉少なに話した。

 米軍キャンプ・シュワブ沖での護岸工事が進む中、今回の市長選は過去2回と比べものにならないほど厳しかった。新基地建設の是非に触れず、経済振興を前面に押し出す相手候補。選挙期間中、稲嶺さんは「基地で栄えても、裏には人の犠牲がある」「市民の良識を信じている」と強調し、建設阻止を懸命に訴えた。
ー中略ー
 インタビューで「工事はまだ予定の1%にも満たない。止めることはできる。諦める必要はない」と強調すると、支持者は「そうだ」と声を上げ、拍手と指笛で応えた。

建設反対の民意「生きている」 翁長知事、改めて移設阻止を強調 2018年2月6日

沖縄県の翁長雄志知事は5日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を進める安倍政権が支援した新人が勝利した名護市長選の結果について語った。辺野古の新基地建設問題への今後の対応について「3年前の知事選で(自身が辺野古反対を)公約に掲げ10万票差で当選した。各種選挙でも(辺野古移設)の民意は示されている。私がこれ(辺野古反対)をベースにやっていくことに何ら変わりない」と述べ、引き続き建設阻止の公約を堅持していくとした。県庁で記者団の質問に答えた。  埋め立て承認の撤回方針についても堅持する考えを示したが、撤回時期については「法的な意味合いを考えながら検討していきたい」と述べるにとどめた。
 政府が支援した渡具知武豊氏の当選を受け安倍晋三首相が5日「名護市民に感謝したい」などと発言したことに知事は「国は沖縄が最初に出した民意を尊重してきたのか」と疑問を呈した。
 その上で「知事選、衆院選、参院選で(辺野古反対の)民意は出たが政府はそれを一顧だにしなかった」と指摘。「民意のとらえ方は、首相が胸を張って言えるようなものではない」と述べ、政府与党支援の候補者の勝った選挙結果が出た時のみ、地元の意向を尊重する姿勢を示す国を批判した。

辺野古 護岸工事進む 砕石投下、抗議市民怒り 2018年2月7日

米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で6日、米軍キャンプ・シュワブの「K2」護岸で工事が進められるのが確認された。海上では寒風が吹く中、市民らがカヌー9艇、抗議船2隻を繰り出し「新基地建設は沖縄の未来を破壊する自殺行為だ」と抗議の声を上げた。後略

「稲嶺さん、ありがとう」 名護市長退任 市民ら胴上げ2018年2月8日

任期満了を迎えた稲嶺進名護市長の退任式が2月7日、市役所で開かれた。退任あいさつで稲嶺さんは「一つだけ心残りと懸念が心の重しとしてのしかかっている。それが辺野古移設問題だ。新基地建設は百害あって一利なしとの判断に立ち、子の未来のためにも、名護市のためにも新基地建設は許してはならないとの思いは全く変わらない」と語り、今後も一人の市民として同問題に関わっていくことを誓った。

 市役所には2期8年の最後を見届けようと400人を超える市民が駆け付け、花道を作った。市民は涙で目を真っ赤にし、稲嶺さんに「ありがとう。ご苦労さま」と言葉を掛けた。花道の最後には市民による胴上げも行われ、稲嶺さんは4度、高らかに空を舞い、笑顔で市役所を後にした。山里将雄副市長と座間味法子教育長も同日付で退任した。

 稲嶺さんは、基地問題について「20年にわたり国策の下で市民は翻弄(ほんろう)されてきた。なぜ、こんなに小さな町で国策の判断を市民が求められるのか。いつまで続くんだろうと思うと心が痛い」と時折、言葉を詰まらせながら苦悩の日々を語った。

 退任式に駆け付けた市民は市役所の外にまであふれた。涙交じりに「ありがとう」と口にしながら花道を進む稲嶺さんに次々と駆け寄り、「進さんのおかげで安心して暮らせた」「ご苦労さまでした。あなたを忘れません」などと感謝やねぎらいの言葉を掛けたり、花束を贈ったりしていた。

 市長選で稲嶺さんに投票したという学生の金城彩花さん(29)は、今後も一市民として基地建設阻止を訴えていくという稲嶺さんの姿勢に「これからも頑張ってほしい」と期待を込めた。

沖縄タイムス辺野古・高江取材班

2月8日午前10時ごろ、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ​ゲート前に、前日に退任した前名護市長の稲嶺進さんが姿を見せま​した。市民から次々と握手を求められ、「あきらめないことですね​」と笑顔で話しました。

オスプレイ機体一部落下 伊計島海岸に13キロエンジン吸気口 米軍、8日発生も通報せず  2018年2月10日

 沖縄県うるま市伊計島の大泊ビーチで9日午前9時ごろ、普天間飛行場所属MV22オスプレイのエンジンの空気取り入れ口が流れ着いているのが見つかった。在沖海兵隊は8日に海上飛行中、機体の一部を落下させたことを認めた。海兵隊は9日、防衛局からの問い合わせを受けて初めて機体の一部落下があったことを明らかにした。けが人はいない。伊計島では昨年1月と今年1月にも米軍ヘリの不時着があり、相次ぐ事故に住民の不安と怒りが高まっている。県は9日夕、在沖米海兵隊に事故原因究明と実効性ある再発防止策を執るまでの間、オスプレイの飛行停止を求めた。

翁長雄志知事は「いつしか人命に関わる重大な事故につながりかねない」と指摘した。 中略
 翁長知事は今回、米軍が部品落下、紛失の事実を沖縄防衛局に連絡しなかったことに「事故そのものを隠ぺいしようとする意図があったとすれば言語道断だ」と強く批判した。

 海兵隊は9日、本紙取材に「8日の訓練後、普天間飛行場に帰還した際に右側の空気取り入れ口がなくなっており、乗員から部品は海上に落下したとの報告を受けた」と回答した。

オスプレイ機体一部落下 沖縄県、きょう国に抗議 2018年2月13日

米軍普天間飛行場所属の輸送機MV22オスプレイが8日に沖縄県うるま市伊計島海岸に機体の一部を落下させた問題で、沖縄県は13日、県庁に川田司外務省沖縄担当大使と中嶋浩一郎沖縄防衛局長を呼んで抗議する。富川盛武副知事が対応する予定で、落下させたオスプレイを直ちに飛行停止し、点検するよう求める。米軍も呼び出しているが、12日時点で応答はない。

 抗議要請で県は、以前から繰り返し求めている全機種の緊急点検とその間の飛行停止も求める姿勢は崩していないが、特に今回落下させたオスプレイについての飛行停止と点検を求める構えだ。

 翁長雄志知事は落下事故を受けて9日に「日本政府は当事者能力がない、全て米軍の言う通りだ」と日本政府の主体性のなさを批判していた。

 米軍普天間飛行場では12日、オスプレイの飛行はなかったが、整備要員とみられる兵士らが駐機場でオスプレイの機体を点検する様子が確認された。

 午後3時頃には、部品を落下させたとみられる機体で要員らがエンジン周辺を点検していた。駐機している他の機体でも順次、エンジン周辺や落下した空気取り入れ口などを確認する様子が見られた。

石垣市長選 3日連続で総決起大会  八重山毎日

·        2018年02月11日

 革新系前市議の宮良操(61)=白保=、保守系現職の中山義隆(50)=登野城=、自民党県議の砂川利勝(54)=桃里・星野=の3氏が出馬を予定している石垣市長選(3月4日告示、同11日投開票)は、21日から3日連続で総決起大会が開催される。3陣営とも最大動員を図り、告示に向けて勢いをつける考え。関係者は「同じ時期に総決起大会が開催されるので、支持者の集まり具合や会場の雰囲気をみれば各陣営の情勢が分かるだろう」と注目している。

 宮良氏は21日、中山氏は22日、砂川氏は23日。いずれも午後7時から市民会館大ホールで。総決起大会が同会場で立て続けに行われるのは過去に例がない。いずれも平日となっており、1010人収容の大ホールにどれだけ人が集まるのか、支持の広がりをみるバロメーターとなりそうだ。

 3陣営はこれまで集会や懇談会などを開催して支持固めを行っており、宮良陣営は10日夜、青年・女性総決起集会を開いた。中山陣営は11日に女性部大会、15日に青年部大会を予定。砂川陣営は総決起大会一点に集中させる。

 決起大会に先立ち、3陣営とも近く政策を発表する。現職が新たな政策を打ち出すのか、新人2氏が現職との違いを鮮明にできるかがポイントとなる。

 宮良氏は「市民の力」をキャッチフレーズに「市政は市民のもの」「島内どこに住んでも安心」「島の未来は市民が決める」、中山氏は「日本一幸せあふれるまちづくり」をテーマに「夢や希望を抱ける石垣市」「市民目線で市民とともに歩む市政」、砂川氏は「対話で創る島づくり」をキャッチフレーズに「平得大俣白紙」「新庁舎設計見直し」「島の均衡ある発展」を掲げており、これに沿った具体的な政策を最終調整している。

 告示以降の組織体制も固まっており、選挙を仕切る選対本部長には、それぞれ次呂久成崇県議、知念辰憲市議、箕底用一市議が就任する。

宮古島・保良鉱山「陸自弾薬庫断念を」 住民ら80人集会 2018年2月19日

宮古島市城辺の保良鉱山に陸上自衛隊弾薬庫を配備する計画に対し、地元住民でつくる「ミサイル・弾薬庫配備反対住民の会」は18日、住民集会とデモ行進を市城辺で開催した。保良公民館で開かれた集会には保良住民を中心に約80人が参加し、計画の断念へ向けて気勢を上げた。午前中にはデモ行進も行われ、鉱山前などで「弾薬庫配備反対」などと声を上げた。

 集会では、元自衛官や市民でつくる「ベテランズ・フォー・ピース・ジャパン」の井筒高雄代表と保良出身の垣花豊順琉球大名誉教授が講演した。
 元陸自レンジャー隊員の井筒代表は、鉱山と集落が約200メートルしか離れていないことを引き合いに「有事の際、周辺住民はどこに逃げるのか。市長も含めて、避難方法や補償の問題などを防衛省と交渉するべきだ」と指摘した。
 「-住民の会」の下地博盛共同代表は「個人には安心安全な生活を生きる権利がある。これからの生活もそうであってほしいので、弾薬庫反対だ」と強調した。

本土反対で負担増 沖縄の現状、2氏講演 基地引き取り東京公開集会

2018年2月25日

沖縄の基地を引き取る会・東京(飯島信運営委員長)は24日、会の設立1周年を記念した公開集会「沖縄の犠牲を見過ごさないために私たちに出来ることは何か」を、東京都の早稲田奉仕園で開いた。東京の立川で砂川闘争に参加した土屋源太郎さんと、関西沖縄文庫主宰の金城馨さんが講演した。土屋さんは砂川での反基地闘争により「沖縄にいろんな負担を負わせてしまった」と謝意を示した上で「本土の人はあまりにも沖縄の現状と犠牲を知らない。その意味で、この(基地引き取り)運動を通し、それを知る意義は大きい」と強調した。 

 土屋さんは1950年代の砂川闘争で、立川の米軍基地拡張に反対し、基地内に入ったとして逮捕された。裁判で「米軍は憲法9条違反」を訴え、一審で無罪判決(伊達判決)を勝ち取ったが、最高裁は事実上「合憲」とし、2千円の罰金が確定した。

 土屋さんは「裁判で米軍は違憲と主張してきたので、本土にも沖縄にも米軍基地は要らないという立場だ。その意味で基地引き取り運動に参加はできないが、あまりにも本土の人は沖縄の基地問題に無関心だ。沖縄への関心を喚起する意味で、この運動を大いに応援したい」と話した。

 金城さんは、大阪で反基地運動の活動をしている人々と付き合ううちに疑問を抱くようになった。「沖縄の基地が減っていけばいいが、日本復帰後も、むしろ増えていった」と説明。「沖縄と連帯したいと言われても、沖縄に基地を押し付けていることに向き合っていないことが問題だ。その発想には主体性がないので、運動は続かないのではないかと思ったら、やはり弱まっていった」と話した。その上で、真の「連帯」は沖縄に基地を押し付けることをやめることによって「出会い直すことだ」と強調した。

辺野古2護岸で工事続く ゲート前でも抗議 2018年2月27日

米軍普天間飛行場の移設に伴う沖縄県名護市辺野古の新基地建設工事で27日、沖縄防衛局は辺野古崎南側で進めている「K2護岸」や「K4護岸」の建設工事を進めた。 米軍キャンプ・シュワブのゲート前では早朝から座り込む市民約20人を県警機動隊が排除し、大型ダンプカーが建築資材を搬入した。

 

着々と埋め立て工事が進む米軍キャンプ・シュワブ沿岸部=27日午前10時50分、名護市辺野古(小型無人機で撮影)

 大浦湾海上では、市民がカヌーや船で「違法工事やめろ」などと抗議の声を上げる中、「K2護岸」では護岸を保護するための被覆ブロックを大型クレーンで設置し、「K4護岸」では砕石を次々と海中に投下した。【琉球新報電子版】

 

「K4護岸」建設のため大浦湾に投下される砕石=27日午前9時半ごろ、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部

沖縄本島に地対艦ミサイル、陸自新部隊を検討 中国けん制、石垣にも

2018年2月28日

沖縄本島と宮古島間の海域を中国海軍の艦艇が頻繁に通過しているとして、陸上自衛隊が運用する12式地対艦誘導弾(SSM)の新たな部隊を沖縄本島に配備する方向で検討していることが27日、関係者への取材で分かった。防衛省は射程を伸ばす研究開発を進めている12式改良型を石垣島など沖縄に配備することも検討している。過重な米軍基地負担に加え、自衛隊の基地機能強化が進んでおり「基地負担軽減」に逆行する。

 宮古島には既にSSM部隊の配備が進められ、12式の配備が予定されているが、防衛省は中国をけん制するために沖縄本島にも配備する必要があると判断した。年末までに策定される防衛大綱や中期防衛力整備計画(中期防)への記載を想定している。

 12式は射程約200キロで、沖縄本島と宮古島の間約300キロをカバーできないとして、両島に配備する計画だ。防衛省は宮古島のほか石垣島と鹿児島県の奄美大島にもSSM部隊と地対空誘導弾(SAM)部隊、警備部隊の配備を既に決定している。沖縄本島に管理部隊も設置する方針だ。

 一方、12式改良型は射程が約300キロに伸び、沖縄本島と宮古島の間をカバー可能となる。研究開発中で試作段階に進んでおり、2023年度までに開発終了し装備化を予定している。

 防衛省関係者は「沖縄に配備される可能性は高い」と沖縄配備を有力視している。SSM部隊の配備時期が決定していない石垣島には12式改良型が配備される可能性があるという。

 安倍政権は数多くある「最重要課題」の一つとして沖縄の「基地負担軽減」を挙げているが、米軍専用施設の7割が依然として沖縄に集中しており、自衛隊の機能も強化されることになる。