琉球新報2月、2019

2019年04月14日 18:11
辺野古で土砂投入を継続 ゲート内に入る工事車両に市民ら「埋め立てをやめろ」と抗議
2019年2月1日
米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古での新基地建設で、沖縄防衛局は1日も「埋め立て区域2―1」への土砂投入を続けた。
 同日午後0時半過ぎ、米軍キャンプ・シュワブのゲート内に次々と工事車両が入り、市民らが「埋め立てをやめろ」と抗議した。
 大学の講義の一環で辺野古を訪れた西大知郎さん(19)=早稲田大2年=は「基地問題をより身近に感じた。若い人が基地問題を考えるきっかけをつくるべきだ」。海上からも土砂投入が続く新基地建設の現場を目にし「沖縄の海に感動した一方で、工事が進められることに複雑さを感じた」と話した。
全県24日投票確定 「不参加」5市が転換 辺野古移設是非問う
2019年2月2日
米軍普天間飛行場の移設に伴う沖縄県名護市辺野古の埋め立ての賛否を問う県民投票を巡り、沖縄市、宜野湾市、石垣市で1日、投開票事務を実施することが正式に決まり、県民投票は24日に全41市町村で一斉に投開票されることが確定した。
 1月29日の県議会で与野党が3択の選択肢への条例改正で歩み寄ったことを踏まえ、宮古島市、うるま市を含め事務を拒否してきた5市長がいずれも投票参加を表明した。県民投票に参加しない自治体が出る"穴あき"実施が回避された。今回の県民投票は普天間飛行場の辺野古移設を全県民に直接問う初の機会となる。

 県民投票は、辺野古埋め立てに「賛成」「反対」「どちらでもない」の選択肢から一つを選んで丸を付ける方式で行われる。全県実施の決定を受け、玉城デニー知事は「県として41市町村と密接に連携を図りながら、県民投票が適正かつ円滑に実施できるよう取り組む。自身の意思を示すことができる大変重要な機会だ。県民の皆さまにはぜひ投票所に足を運んでもらい、貴重な一票を投じるようお願いする」とのコメントを発表した。
 沖縄市の桑江朝千夫市長と石垣市の中山義隆市長は1日、それぞれ市議会臨時会に県民投票の事務に必要な関連予算案を提案した。沖縄市議会、石垣市議会ともに賛成多数で予算案を可決した。市議会での可決を受け、両市長は事務の実施準備を進めるよう選挙管理委員会に指示した。宜野湾市の松川正則市長も1日、市議会の各会派代表を集めて県民投票の事務を実施する意向を伝えた。議会への伝達後、記者会見を開き「全県実施に向けて県議会が条例を改正したことを重く受け止め評価したい」と参加を表明した。
ヘイト投稿「名誉毀損」に 沖縄・石垣区検が略式起訴 全国初適用か
2019年2月7日 1
インターネット上の匿名掲示板で、在日韓国人の自営業男性(35)=沖縄県石垣市=を「クソ朝鮮人」「在日は恐ろしい」などと誹謗(ひぼう)中傷し名誉を傷つけたとして、石垣区検が市内の男2人を名誉毀損(きそん)罪で略式起訴していたことが6日、分かった。石垣簡裁は2人にそれぞれ1月17日と同24日付で、罰金10万円の略式命令を出した。民族差別的なヘイトスピーチを含む、ネット上の匿名の誹謗中傷で侮辱罪が適用されたケースはあるが、より罰則が重い名誉毀損罪は、全国でも初めてとみられる。男性は民事訴訟提起も検討している。
 男性は匿名で投稿できるネット掲示板上で自身の実名をさらされた上で、「石垣島一の詐欺師」「在日の恥さらし」「韓国へ帰れ」などのヘイトスピーチを含む誹謗中傷を受けた。2016年2月に八重山署が被害届を受理した。同署は18年11月に被疑者不詳で書類送検。石垣区検が捜査を進め市内に住む男2人をそれぞれ19年1月15日付、同23日付で略式起訴した。
 ネット上の匿名でのヘイトスピーチを巡っては、18年12月に川崎区検が侮辱罪で60代の男を略式起訴している。ヘイトスピーチに詳しい白充弁護士は「より踏み込んで、毅然(きぜん)とした対応を取ったと言える」と評価した。ヘイトスピーチに絡む立件が続いていることには社会的な機運の盛り上がりに加え、「個人への誹謗中傷が増えているほか、ヘイトスピーチの発信者が絞られてきて特定がしやすくなっているのではないか」と分析する。その上で「捜査機関の毅然とした対応とヘイトスピーチをしてはいけないとの世論が相互に作用して、ヘイトスピーチが起こらない社会となるきっかけになってほしい」と話した。
ヘイト投稿「名誉毀損」で男ら罰金 被害男性「やっとか」、悔しさ語る
2019年2月7日

マリンレジャー業や建設設備業を営む石垣市の男性(35)はインターネットの掲示板上で約3年にわたり、実名をさらされた上で、在日韓国人である出自やいわれのないうわさによる誹謗(ひぼう)中傷を受け続けてきた。「やっとか」。仕事で訪れていた宮古島市で取材に応じた男性は6日、書き込みをしていた石垣市内の男2人に罰金が命じられたことに、複雑な表情を浮かべ、そうつぶやいた。
 男性が被害に気付いたのは2015年の冬。マリンレジャーの客に教えてもらったのがきっかけだった。同年12月には八重山署に相談した。だが、16年2月の被害届受理後もネット上での中傷はやまなかった。複数の掲示板に罵詈(ばり)雑言が書き込まれ、その影響で取引先との関係も悪化し、マリンレジャーでの事業売り上げは激減した。

 一緒に働く弟も実名をさらされて"標的"となり、当時の恋人は鬱(うつ)状態となって島を離れた。自身も鬱病と診断され、じんましんや脱毛症に悩まされた。「何度も心が折れそうになったが、負けてたまるかという思いで歯を食いしばってきた」
 略式起訴された男2人のうち1人は知人で、マリンレジャーの同業者。客の取り合いがきっかけだったと語る。「沖縄の海に魅入られ、マリンレジャーで客に夢を与えるような仕事をしているのに、こんなことが起きて残念だ」と声を落とす。失われた3年の月日。「これから民事訴訟があると思うが、金額にはできない苦しみを3年間受け続けてきた」と悔しさをあらわにする。
 在日韓国人であることを理由にしたヘイトスピーチも多く書き込まれた。「在日の立場として、今まで泣き寝入りしてた人に『もうそんな時代じゃない』という一つの形を示すことができたと思う。ささやかでも、苦しんでいる在日の人の勇気づけになってほしい」と願った。
契約用地、違法開発か 石垣陸自、来月着工 市民「工事延期を」県「指導困難」 <透視鏡>
2019年2月9日 05:00 
石垣島への陸上自衛隊配備のため防衛省は1月末に私有地約13ヘクタールの売買・賃貸借契約を結んだが、この土地は配備推進派の石垣市議が代表を務める会社が経営していたゴルフ場で、これまで都市計画法(都計法)に基づく開発許可を得ていなかった違法開発の疑いが持ち上がっている。県はゴルフ場の開発許可の申請がなかったことは確認しているものの、売却後の土地使用について国に指導するのは法的に難しいとの見解を示す。一方で、地域住民らは用地取得手続きの不透明さや拙速さを指摘し、防衛省が3月着工にこだわる造成工事の延期を訴える。
 応酬
 防衛省は1月31日、石垣市平得大俣のゴルフ場「ジュマールゴルフガーデン」の土地のうち約9ヘクタールを購入し、約4ヘクタールを賃貸する契約を結んだ。石垣島の陸自配備計画で用地確保の契約を交わしたのは初めてで、駐屯地建設を予定する約46ヘクタールの約3割に当たる。
 しかし契約に先立つ昨年末の市議会12月定例会の質疑で、同ゴルフ場が県から開発許可を得ていないことが明らかになった。都市計画法違反の可能性が浮上する中で、部隊受け入れを表明している中山義隆市長は「この件と配備については別問題だ」と答えた。
 こうした中で8日、「石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会」の共同代表らが県土木建築部を訪れ、事実確認を行い、都計法に基づく監督処分などの対応を取るよう要請した。市民連絡会によると「ジュマールゴルフガーデン」は友寄永三市議が代表を務める有限会社ジュ・マール楽園の敷地で、1995年にグラウンドゴルフ場として整備され、徐々にゴルフ場として整備されていったという。ゴルフ場の一部が掛かる市有地の無断使用も指摘されている。
 琉球新報の取材に友寄市議は「議会でこの話が出る前も後も行政から何も言われていない。資料を出せと言われて出さなかったわけでもない。違法性は全くない。防衛省との土地の売買に関しても問題はない」と答えている。

 及び腰
 これに対し、市民連絡会の要請に対応した県の嘉川陽一建築都市統括監は「都市計画法の手続きがなされていないのは事実」と説明する。一方で「違反の事実を特定するには調査にかなりの時間が必要だ」と現時点での判断は避ける。国の事業は開発許可申請の対象外となることもあり「違法だったことをもって、購入後の国の開発に指導することは法律ではできない。ゴルフ場の経営も終了している。調査を行う目的はないのかと考える」と違反の特定に及び腰だった。
 要請に同行した次呂久成崇県議(社民・社大・結)は「県は調査、把握する責任を果たさないと、開発規制逃れを許すことにもなる。国の事業だからといって一切の行政手続きが排除されている問題がある」と反発を見せた。
 沖縄防衛局は3月1日以降に駐屯地整備で0・5ヘクタールの造成工事に着手することを既に県に通知している。県環境影響評価(アセスメント)条例の改正で2018年度から20ヘクタール以上の開発に環境アセスの実施が義務付けられるが、防衛局には3月中に一部でも着手することで県条例の適用を回避したい狙いがある。
 連絡会の上原秀政共同代表は「農業用水や飲料水の水源が下流にあって環境の懸念が市民にある。それにもかかわらず防衛省はアセスを逃れるように工事を始める。個人との売買契約で、石垣市民5万人の将来が決まるのはおかしい」と県に対応を求めた。 (与那嶺松一郎、大嶺政俊)
県議会が独伊視察 沖縄の"異常"痛感 駐留米軍、運用に大きな差
2019年2月10日 06:00 
 県議会総務企画委員会(渡久地修委員長)の委員が1月下旬、日本と同じ第2次世界大戦の敗戦国であるドイツとイタリアを視察し、両国での米軍駐留の実態を元首相らから聴き取った。渡久地委員長は「在沖米軍の異常さを痛感した。改善に向け諦めずに取り組む必要がある」とする報告書を3月にもまとめ、玉城デニー知事らにも提言する意向だ。
 渡久地氏によると、視察団はまず米空軍基地があるドイツ南西部のラムシュタイン=ミーゼンバッハ市で、ラルフ・ヘヒラー市長らと面会し、米軍駐留の功罪について説明を受けた。負の面は騒音が最も大きい問題だという。住民団体代表も参加する騒音軽減委員会が存在感を持っており、一定の歯止めになっている。沖縄で問題となっている米軍関係者による事件・事故に関しては、同市では1960年代には頻発したが、現在は減少している。
 米軍駐留のメリットは経済効果という。基地外に7千~8千人の米軍関係者が住んでカネを落とすことや、産業が少ない同市にとって基地関係の雇用効果も大きい。
 米軍関連の事務所なども課税対象となっており、年間160万ユーロが納められている。日本では「思いやり予算」で負担している電気代や、基地外から供給される地熱の料金も同市では米側が支払っており、市長は「基地は財政的なメリットになる」と総括した。
 だが、ほとんど経済波及効果もなく、騒音だけがもたらされる周辺自治体には、米軍駐留に否定的な住民が多いのも事実という。
 同基地での航空機の離着陸はドイツ国内法で年間約4万回に制限している。ここ最近は年約2万回の離着陸しかない上、実態に合わせて10年ごとに見直す仕組みになっている。午後10時から翌午前6時までの飛行や、病院や学校上空の飛行も原則、認められていない。
 続いてイタリアの首都・ローマに移動した視察団はランベルト・ディーニ元首相と、レオナルド・トリカルコ元NATO第5空軍司令官とそれぞれ個別に面会した。両氏が口をそろえるのは、イタリア人のNATO軍司令官が駐留米軍の行動を掌握している点だ。元首相は「彼ら(米軍)に勝手なことはさせない。なぜなら我々の国だから」と言い、元司令官は「イタリアの基地の総司令官がゴーサインを出さなければ米軍は何もできない」。
 つまり米軍はイタリア人総司令官から、いつ、何時間訓練するのか、何機飛ぶかなど、許諾を得ないと行動できない取り決めになっているという。元司令官は米軍関係者による事件・事故にも言及し「日本の法律が採用されないのはとんでもないことだ。犯罪はその国で裁かれるはずで、誰も手を出せないのは異常だ」と話し、日本の実情に違和感を示した。
 元司令官は米軍普天間飛行場にも詳しく「ヘリコプターの窓枠が(小学校校庭に)落下したが、他の国ではあり得ない」と指摘した。普天間飛行場が住宅密集地に近接していることから、「あんな形の基地は考えられないし、日本政府が解決しようとしないのが問題だ」と政府の姿勢を疑問視した。
 この点は元首相も同じ考えで「政府や国会が沖縄県の話をまともに受け止めていない」との認識を示し「私は戦後60年以上沖縄の状況を見ているが、日本政府の沖縄に対する対応は変わっていない」と指弾した。在沖米軍の在り方や日米地位協定について元首相は「日本政府が立ち上がり、米国に要望をぶつけなければ、この先何十年もこの問題は解決できないだろう」と話した。
 渡久地氏は取材に「両国とも毅然(きぜん)と米国に主権を主張し、対等な関係を築いていた。沖縄の基地問題や日米地位協定改定も日本政府が毅然と臨めば解決できると実感した」と視察の成果を語った。
在韓、在沖米軍「撤退を」 沖縄・韓国民衆が平和討論2019年2月11日 
北東アジアの平和や軍事基地について考えるシンポジウム「沖縄・韓国民衆会議」(嘉手納ピースアクションなど主催)が10日、読谷村地域振興センターで開かれた。韓国で米軍や韓国軍基地への反対運動に参加してきた文正鉉(ムンジョンヒョン)さん(83)は「南北統一すれば在韓米軍は撤退すべきで、嘉手納基地の米軍も米国に帰るべきだ」と語った。11日には宮古島マリンターミナルでも開かれる。
 文さんは、2006年に住民の土地が強制接収された米軍平沢(ピョンテク)基地拡張工事に対する反対運動などに参加した。「ろうそく集会」を機に誕生した文在寅(ムンジェイン)政権を評価しつつ「米軍基地に関しては韓国政府は日本政府と同じように米国の言いなりで、まるで操り人形だ」と批判した。その上で「韓国の若者が辺野古の座り込みによく参加している。沖縄からも韓国と連帯し、時間がかかっても米軍を追い出そう」と呼び掛けた。
 済州島で進められた韓国海軍の基地建設への反対運動についても報告した。
 山内徳信元参院議員も登壇し、沖縄戦と戦後の米軍基地建設などについて語った。田仲康栄嘉手納町議は嘉手納基地周辺地域の被害などを述べた。宮古島ピースアクション実行委員会の清水早子代表は、宮古島で進む陸上自衛隊駐屯地建設の現状について報告した。
県民投票きょう告示 あすから期日前 辺野古、賛否問う
2019年2月14日
名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票が14日、告示される。24日に投開票する。米軍普天間飛行場の辺野古への移設について県民全体の民意を直接問うのは初めて。得票が最も多い選択肢が投票資格者総数の4分の1に達した場合、知事は日米両政府に結果を通知する。法的拘束力はないが、県民投票の結果によっては日米両政府の対応や民主主義国家としての在り方も改めて問われることになる。
 謝花喜一郎副知事は13日、各部局長でつくる県民投票実施本部会議で「辺野古埋め立てについて県民の皆さまがそれぞれの意思を示すことができる大変重要な機会だ」と述べ、全庁を挙げて広報活動に全力で取り組むよう指示した。
 県は所管施設や主催イベント、公用車へのステッカー貼り付けなどを通して投票を呼び掛ける。県から各市町村には、投票日や期日前投票に関する周知を図ってもらうよう改めて協力を依頼する。期日前投票と不在者投票は15日から実施する。
 一方、14日は政府が辺野古沿岸部に土砂の投入を始めて2カ月になる。政府は3月25日にも新たな区域で土砂投入を始める方針だ。それに向けて新たな護岸建設にも着手した。その護岸の建設予定海域には、県から移植許可が下りていないサンゴが生息しているにもかかわらず、移植しなくても工事ができると結論付けた。工事に対し自然環境の専門家や自然保護団体から批判の声が上がっている。
 辺野古沿岸部では13日も土砂の投入が確認できた。政府が埋め立てを開始した昨年12月14日から今年1月末までに投入した土砂の量は約4万1千立方メートル。土砂は名護市安和から船で運んでいる。運んだのは約58隻分で、政府が着工している区域2―1に投入する予定の土砂13万7500立方メートルの約30%に当たる。ただ、同区域は全体の埋め立て面積の4%、土砂量としては約0・7%にとどまる。
県民投票への疑問はここへ! フェイクか事実か確認も ファクトチェック取材班がツイッターに「質問箱」設置
2019年2月17日 
 琉球新報は16日、県民投票に関する疑問やSNS(会員制交流サイト)などで発信されている内容に関し、事実かどうか確認してほしいことについて読者から質問を受ける「Peing(質問箱)」を公式ツイッターのアカウントに設けました。
 24日に投開票される県民投票に向けて、これまでの琉球新報の情報の蓄積や新たな取材を基に回答します。質問や回答の一部は紙面で紹介することもあります。公式ツイッターをフォローしていただき、質問をお寄せください。公式ツイッターはQRコードから見ることができます。
琉球新報の公式ツイッターはこちらから。
地盤改良の砂量、11倍に 辺野古 軟弱層70%置き換え 県試算「費用1500億円」
2019年2月22日
米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設で、大浦湾に広がる軟弱地盤への対応について、政府が地盤改良工事で使用を想定する砂の量が650・9万立方メートルに上ることが分かった。もともと新基地建設計画で使用予定だった砂の量(58万立方メートル)の約11倍に当たる。護岸直下の軟弱地盤に砂のくいを締め固めながら打ち込む「サンドコンパクションパイル工法」で、軟弱層と砂を70%置き換える。砂ぐいの打ち込みに伴って海底面が最大で10メートルほど盛り上がるため、その上に設置する護岸用のケーソン(コンクリート製の箱)を再設計し、高さを変更する必要などが生じる。
 玉城デニー知事は21日の県議会2月定例会で、軟弱地盤の改良工事の規模が明らかになったことを受け、県として当初500億円と試算していた改良工事の費用は1500億円に達するという見立てを示した。照屋大河氏(社民・社大・結)の代表質問に答えた。
 改良工事に要する砂の量は、沖縄防衛局が地盤改良工事について検討した資料中に記載されている。埋め立て承認撤回を巡る審査請求に関連して、県が20日に国土交通省に提出した意見書で指摘した。
 地盤改良工事がなければ、新基地建設で砂を使うのは護岸用のケーソンに詰める58万立方メートルのみだった。防衛局が県に提出した埋め立て承認申請書では「沖縄島周辺から調達する」と記載されている。
 県によると、県内での砂利採取量は2014年度で約122万立方メートル、15年度で139万立方メートル、16年度で184万立方メートル。
 地盤改良に必要な650・9万立方メートルを県内だけで調達しようとすると、3年半~5年ほどかかることになる。
 大型の護岸用ケーソンは当初、幅22メートル高さ24メートル長さ52メートルという設計だったが、地盤改良工事に合わせて高さを14メートルに変更する想定だ。
揺るがぬ「ノー」 県民投票「反対」7割超 反対市民「勝利だ」 「民主主義の大きな一歩」
2019年2月25日 
沖縄の未来へ、県民の民意が示された。名護市辺野古への新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問うた24日の県民投票は「反対」が多数を占め、「賛成」「どちらでもない」を大きく上回った。基地建設に反対する県民は「民意の勝利だ」と喜びを爆発させた。「普天間の危険性除去を」「危険性を考えると辺野古も反対」など、一人一人が1票に託した思いは多様だが、沖縄の過重な基地負担の軽減を求める切実な願いは多くの県民が込めた思いだ。「ボールは日本国民に投げられた」。示された「辺野古埋め立て反対」の民意に日米両政府がどう答えるか、県民は注目している。
 午後8時。投票が締め切られると、名護市大南の新基地建設反対県民投票連絡会事務所に続々と市民が駆け付けた。「反対多数」との報道速報が流れると、市民らはグラスを高々と掲げ「辺野古は止められると肝に銘じ、明日からも頑張ろう」と誓い、歓声や指笛が割れんばかりに響いた。前名護市長で連絡会共同代表の稲嶺進さんは「辺野古のワンイシュー(単一争点)での結果だ。県民にとって大きな力になる」と喜び、民意を背に新基地建設阻止を改めて決意した。
 23日に糸満市の魂魄(こんぱく)の塔を出発し、北上していた「新基地建設反対県民投票連絡会」の若者らは24日午後7時半ごろ、辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前に到着した。1950年代に米軍に土地を奪われた伊江村民が沖縄本島を歩いて縦断し実情を訴えた「乞食(こじき)行進」をイメージし、約80キロを徒歩と自転車で進んだ。足を引きずりながら2日間歩いていた連絡会青年局長で那覇市議の翁長雄治さんは反対多数の結果に「政府はそれでも工事を進めると言うのだろうか。ボールは日本国民に投げられた」と強調した。
 那覇市古島の教育福祉会館には「辺野古」県民投票の会のメンバー50人余が集まった。「埋め立て『反対』多数確実」の速報が流れると「おー」と声が上がった。報道陣の取材に応じた元山仁士郎代表は「政党や労働組合主導ではなく、市民による運動をつくることができた。沖縄の民主主義が大きく発展する一歩になった」。かみしめるように話す姿を、署名集めからここまで共に闘った仲間たちが見守った。
 政党や労組、企業などでつくる那覇市古島の新基地建設反対県民投票連絡会事務所でも「反対多数確実」の一報が流れ、万歳三唱に沸いた。報道陣の取材に応じた同会共同代表の呉屋守将金秀グループ会長は「ニュースを見ると8割が反対しており、自民党支持者も半数以上が反対している。政府の不条理なやり方は許せないということを表している」と意義を強調した。