琉球新報12-1月

2017年01月15日 14:12

「制御できずに墜落」 新たな構造欠陥指摘 オスプレイの元主任分析官のリボロ氏  2016年12月15日

「オスプレイ飛行再開許さず」 900人、辺野古で抗議集会  2016年12月18日

名護市安部に米軍垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが墜落した事故を受けて、17日午後、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前で「オスプレイ墜落事故糾弾! 飛行停止と撤収、海兵隊の撤退を求める緊急集会」(基地の県内移設に反対する県民会議主催)が開かれた。約900人(主催者発表)が参加し、オスプレイの配備撤回、辺野古への新基地建設反対、海兵隊の撤退などに向け、決意を新たにした。・・後略

県が公式に「墜落」と分類 オスプレイ事故 知事、飛行再開に「とんでもない」  2016年12月18日

 県は18日までに、オスプレイ墜落事故について、県の公式記録でも事故を「墜落」として分類した。政府は米軍の発表に沿って、機体は「不時着水」したとして「墜落」を否定している。翁長雄志知事が同日午後、名護市安部の事故現場を視察後、記者団の取材に明らかにした。・・後略

米軍が機体を解体 オスプレイ墜落現場  2016年12月18日

<社説>オスプレイ飛行再開 欠陥機には許されない  2016年12月18日

民間航空機事故では決してあり得ないことが、米軍機には許されていいはずがない。墜落事故を受けて飛行が停止されている垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを、19日にも米軍が飛行させる考えを日本政府に伝えた。
 今回の墜落で明らかになったのは、オスプレイが欠陥機であるということである。
 国防研究所(IDA)でオスプレイの主任分析官を務めたレックス・リボロ氏は、米軍が説明する「不時着」ではなく「墜落」と断定している。「ヘリモードで補給することができないという事実は、予期されなかった航空機の欠陥である」と述べ、オスプレイの新たな構造的欠陥であると指摘する。同じような墜落事故が再び発生するとも強調している。
 沖縄の上空で欠陥機の飛行を再開させれば、人命に関わる重大事故が起きかねない。飛行再開に強く抗議するとともに、沖縄からオスプレイの早配備撤回を求める。この欠陥機を運用する在沖米海兵隊の全面撤退、欠陥機が使用する辺野古新基地建設断念と北部訓練場に整備された六つのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の使用を禁止すべきだ。 日本政府は情報提供と再発防止、安全が確認されるまでの飛行停止を米国に求めているが、それでは生ぬるい。米側に配備撤回を求めるべきである。・・中略・・ 1972年の日本復帰後、県内での米軍機墜落事故は48件目だ。1年に1回以上落ちる計算になる。沖縄の空は安全・安心とは言い難い。米国や他府県で事故原因や再発防止策を示さないまま飛行再開が許されるだろうか。・・後略

オスプレイが全面飛行再開 普天間から沖縄の反発押し切る  2016年12月19日

 13日夜に名護市安部の海岸で墜落して以降、飛行を停止していた米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが19日午後1時58分、宜野湾市の普天間飛行場を離陸し、飛行を再開した。伊江島の補助飛行場からも午後2時32分、駐機していた1機が離陸した。 後略

「米軍を優先、県民不在」 翁長沖縄知事、日米政府を批判  2016年12月19日

 沖縄県民集会に翁長知事出席へ オスプレイ墜落に抗議 「取り消し」は来週にも  2016年12月20

沖縄県の翁長雄志知事は20日夜、同県名護市辺野古の埋め立て承認取り消しを巡る裁判で最高裁が県敗訴の判決を言い渡したことを受けて県庁で記者会見し、承認取り消しの「取り消し」について「速やかに手続きを進めたい」と述べた。来週にも取り消す方針。

訓練に自民県連「冗談じゃない」 防衛局長呼び出し抗議 2016年12月20日

沖縄防衛局の中嶋浩一郎局長(右)を呼び出しオスプレイ訓練再開に抗議する自民党県連の照屋守之会長=19日、那覇市の自由民主会館

 「あなたたちが県民の声を中央に伝え、駄目だと言い切らないといけないんだよ」。オスプレイの飛行再開を受け、自民党県連(照屋守之会長)は19日、那覇市の県連事務所に沖縄防衛局の中嶋浩一郎局長を呼び、強く抗議した。政権与党の自民県連が政府機関を呼び出すのは異例だ。・・後略

年内に工事再開へ 辺野古訴訟で沖縄敗訴 最高裁、「唯一の解決策」は認めず 県は26日にも「取り消し」

2016年12月21日

沖縄県の翁長雄志知事による名護市辺野古の埋め立て承認取り消しを巡り、国が県を相手に提起した不作為の違法確認訴訟で、最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)は20日、県の上告を棄却した。承認取り消しは違法だとした福岡高裁那覇支部の県敗訴の判決が確定した。・・後略

知事「踏ん張りどころ」 最高裁の沖縄県敗訴 岩礁破砕で再び法廷闘争も  2016年12月21日

<社説>辺野古訴訟県敗訴 不当判決に屈しない 国策追従、司法の堕落だ  2016年12月21日

 司法の国策追従は目を覆わんばかりだ。国の主張を丸飲みして正義に背をそむけ、環境保護行政をも揺るがす不当判決である。最高裁は翁長雄志知事の名護市辺野古埋め立て承認取り消し処分を違法とする判断を下した。行政法、憲法など多くの学者が誤りを指摘する福岡高裁那覇支部判決を無批判に踏襲する内容だ。
 政府が強行する辺野古新基地建設の埋め立て工事に司法がお墨付きを与えた。法治主義、地方自治を否定し、司法の公平性に背いて基地建設の国策を優先した。司法が担う国民の生命、人権、環境保護の役割を放棄したに等しい。
環境保全は不可能
 問題の核心は仲井真弘多前知事による辺野古埋め立て承認の当否である。
 公有水面埋立法は埋め立て承認に「適正合理的な国土利用」とともに「環境保全の十分な配慮」を義務付ける。高度成長期の乱開発、公害に歯止めをかける環境保護の理念が貫かれ、要件を満たさない埋め立て承認は「なす事を得ず」と厳格に禁じてさえいる。
 ジュゴンやサンゴなど貴重生物の宝庫の海域は埋め立てで消失する。「環境保全の十分な配慮」をなし得ないのは自明の理だ。
 前知事も県内部の検討を踏まえ「生活、自然環境の保全は不可能」と明言していたが豹変(ひょうへん)し、埋め立て承認に転じた。
 これに対し翁長知事は、環境や法律の専門家の第三者委員会が「承認は法的瑕疵(かし)がある」とした判断に基づき、前知事の埋め立て承認を取り消した。これが埋め立て承認と取り消しの経緯である。
 行政法の学者は埋立法の要件を極めて緩やかに解する高裁判決の同法違反を指摘する。また「普天間飛行場の危険性除去には辺野古新基地建設以外にない」などとする暴論を、行政の政策判断に踏み込む「司法権の逸脱」と批判し、国側主張を丸写しした「コピペ」との批判を浴びせている。
 最高裁判決は問題の多い高裁判決を全面踏襲した。「辺野古新基地の面積は米軍普天間飛行場の面積より縮小する」などとして新基地建設を妥当と判断した。県が主張した新たな基地負担増の指摘は一顧だにされていない。
 海域の環境保全策も「現段階で採り得る工法、保全措置が講じられている」として高裁判断を踏襲した。乱開発を防ぐ公有水面埋立法の理念からかけ離れた判断だ。
 普天間飛行場を辺野古に移設する妥当性、海域埋め立ての公有水面埋立法との整合性など慎重な審理が求められたが、最高裁は口頭弁論も開かずに県の主張を一蹴した。
最高裁が新基地に加担
 最高裁判決の根底にあるのは国策への追従姿勢だ。日米安保条約、不平等な地位協定に基づく沖縄への基地集中、負担強化の国策をただす姿勢のない司法の自殺行為、堕落と言うしかない。・・後略 

新基地建設、国が知事権限封じ検討 工法変更の申請回避  2016年12月22日

名護市辺野古の新基地建設を巡り、政府が翁長雄志知事の承認が必要となる埋め立て計画の設計概要の変更申請を避けることを検討していることが21日までに分かった。知事権限で工事が足止めされるのを避ける目的で、政府は既に技術的な検討を防衛省に指示した。  後略

名護市の久志13区長が抗議決議 「オスプレイ配備撤回を」 辺野古、豊原も  2016年12月22日

名護市安部区へのオスプレイ墜落に関し、同市の久辺3区と二見以北10区の計13区でつくる久志支部区長会(会長・比嘉徳幸三原区長)は21日に同市久志支所で開いた区長会で、オスプレイの配備撤回へ速やかに取り組むよう要請する抗議決議を全会一致で可決した。後略

知事は欠席、オスプレイに抗議 北部訓練場の過半返還で式典 「復帰後最大」も依然7割集中2016年12月22日

沖縄県の東村と国頭村に広がる米軍北部訓練場の過半の返還を記念した式典が22日午後4時、同県名護市の万国津梁館で始まった。日本側から菅義偉官房長官や稲田朋美防衛相、米側からはケネディ駐日米大使やマルティネス在日米軍司令官らが参加している。 後略

オスプレイ撤去を 名護抗議集会4200人、知事と決意  2016年12月23日

名護市安部海岸への米軍垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ墜落事故を受けた「欠陥機オスプレイ撤去を求める緊急抗議集会」(オール沖縄会議主催)が22日、名護市の21世紀の森屋内運動場で開かれ、約4200人(主催者発表)の県民が駆け付けた。集会では「翁長雄志知事と共に、次代に禍根を残さないために島ぐるみ、県民総ぐるみでオスプレイの撤去、普天間基地の閉鎖・撤去、辺野古新基地建設断念を成し遂げるまで奮闘し闘い抜く」などとするアピールを採択した。

 集会で翁長知事は一部、しまくとぅばであいさつし「新辺野古基地を造らせなければオスプレイも配備撤回できる。必ず造らせないよう頑張ろう」と呼び掛けた。米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設についても触れ、「オスプレイが東村高江に近い着陸帯で運用されるのは極めて問題だ。政府の返還式典強行は県民に寄り添う姿勢が全く見えない」と強く批判した。
 稲嶺進名護市長もしまくとうばで「辺野古の新基地、高江のヘリパッド。駄目なものは駄目だ」と述べ、米軍北部訓練場のヘリパッド建設についても反対の声を上げた。さらに墜落事故に関して米軍の説明をそのまま繰り返す沖縄防衛局に対して「当事者能力ゼロだ。いない方がいい」と痛烈に批判した。
 主催したオール沖縄会議の高里鈴代共同代表は「日本政府は厳しい追及をせず、飛行再開を許した。この事故は日本政府によって起こされたと言ってもいい」と指摘した。
 その他の登壇者からは「保守も革新も一体となって辺野古新基地建設、オスプレイの飛行を止めよう」「県民の怒りは飽和状態で、我慢の限界だ。総ぐるみの力を結集して日米両政府に対峙(たいじ)していこう」「基地がある限り、闘い続ける」など、オスプレイの配備撤回や名護市辺野古の新基地建設阻止に向けた今後の闘いへの決意が示された。集会には国政野党の県選出国会議員6氏も参加した。
 集会は名護市の万国津梁館で開かれた「北部訓練場返還式典」の開催に合わせて企画された。

「寄り添う姿勢見えず」 翁長知事、式典開催の政府を批判  2016年12月23日

 前略・・ 中止を求めていた北部訓練場過半返還の政府式典については「政府が式典を強行したのは県民に寄り添う姿勢が全く見えず、沖縄県は出席を取りやめた」と政府の姿勢を批判した。
 墜落事故に抗議した安慶田光男副知事に対しニコルソン在沖米四軍調整官が「操縦士に感謝すべき」と応じたことに言及し「これは良き隣人というわけにはいかない」と在沖米軍の在り方も厳しく非難した。
 北部訓練場の返還式で菅義偉官房長官が沖縄の負担軽減に資するとしたことについて、集会後の取材で「4千ヘクタール返ってくることで沖縄の基地問題が前に進んだと誤解を生じているのではないか。面積だけで物事を考えている。これはやはり機能強化とも考えられ、予定でなかったオスプレイが飛ぶことも考えられる」と反論した。
 今後の政府への取り組みについて集会後に「(政府と)話し合いは必要だろう」と述べ、政府との協議の場を早期に開きたい意向を示した。
 あいさつでは最高裁判決にも言及し「前知事の埋め立て承認の判断を最大限尊重しているが、逆に言えば、私の今後のさまざまな知事権限の行使について幅広い裁量権限を認めたことを意味している。法令にのっとり厳正に審査し、承認変更等の要件を判断していく」と今後の知事権限の行使に改めて意欲を示した。

軍転協「オスプレイ撤回を」 墜落事故で防衛省に 宜野湾市長は単独要請  2016年12月27日

名護市安部の海岸でオスプレイが墜落した事故を受け、県や基地所在市町村で構成する県軍用地転用促進・基地問題協議会(軍転協、会長・翁長雄志知事)は27日、防衛省に小林鷹之防衛政務官を訪ね、県民が配備に反対してきたオスプレイの事故に「怒りを禁じ得ず、直ちに飛行中止と配備撤回を強く要請する」と抗議した。 後略

普天間地下水から化学物質 米軍基地由来か、高濃度「PFOS」  2016年12月27日

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の地下水3カ所から、法律で使用が原則禁じられている化学物質、有機フッ素化合物「PFOS」(ピーフォス)が高濃度で検出されたことが26日、分かった。 上流側で検出された濃度と比較して下流側が突出して高い数値となっており、調査を実施した沖縄県環境部は「普天間飛行場から流入した可能性が極めて高い」との見解を示した。
 県企業局が今年1月に実施した調査で嘉手納基地周辺の河川からPFOSが高濃度で検出されたことを受け、県環境部は8月と9月に同局が測定している水道水源を除く河川や地下水35地点を調査した。
 その結果、宜野湾市の喜友名や大山の「チュンナガー」で1リットル当たり1200ナノグラム、ヒヤカーガーで180ナノグラム、「メンダカリヒージャーガー」で680ナノグラムがそれぞれ検出された。
 国内での基準値はないが、いずれも米国の飲料水中の生涯健康勧告値である1リットル当たり70ナノグラムを大幅に超えていた。那覇空港や浦添市の牧港補給地区周辺など他の河川からは検出されなかった。
 ヒヤカーガーとメンダカリヒージャーガーについては一部農業用水として使われているが、農作物からは検出されず、影響がないことが確認されている。県は来年1月に冬季調査を行い季節的な変動の有無を確認するほか、次年度以降も継続的なモニタリング調査を実施する。また、沖縄防衛局を通じて米軍側に実態を問い合わせる方針。後略

阻止へ「強硬的に」 知事、対抗手段を強調 辺野古工事  2016年12月28日

翁長雄志知事は27日午前、菅義偉官房長官と面談し、米軍普天間飛行場の辺野古移設問題を巡り、工事再開前に事前協議を開くよう求めた。一方で、国は菅氏との会談の数時間後に新基地建設工事を再開。知事は「強行だ」と批判し「そう簡単に物事は進まない。(対抗措置を)いろんな形でやっていきたい。絶対に辺野古新基地は造らせない」「(阻止へ)強硬的にならざるを得ない」と述べ、あらゆる手段で新基地建設断念に向けた対抗手段を取る考えを改めて示した。

 知事によると、会談で菅氏は「話し合いも必要だろうし、政府の方針もあることはあるので」などと早期の工事再開を示唆。翁長知事は「沖縄は沖縄の立場がある。立場がお互いあって、話し合いができないと、これは大変なことになるので、ぜひ話し合いはしていただきたい」と述べた。
 知事は午後2時ごろ、工事再開後にも記者団の取材に応じ、全国の米軍専用施設が沖縄に集中していることを挙げ「70年以上も(基地を)置いて、これからも置こうとするのか。この調子だと、あと70年は置くんじゃないか。こんなことが同じ国民として許されるのか」と怒りを表した。
 その上で、米軍の北部訓練場について、日米特別行動委員会(SACO)で返還合意された時点ではオスプレイの訓練は予定になく、環境影響評価調査も「ほごにされた」ことを例に挙げ、「(事前協議のない)今回もそういう形になった」とし、「強行」だとの認識を示した。

山城議長拘束、刑法学者41人が疑義 釈放求め声明  2016年12月29日

名護市辺野古への新基地建設や東村高江へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設への反対運動に絡み逮捕・起訴され、70日以上身体拘束が続く沖縄平和運動センターの山城博治議長の釈放を求めて、全国の刑事法研究者41人が28日、緊急声明を発表した。刑事法研究者が個別事案について声明を出すのは異例。「正当な理由のない拘禁であり、速やかに釈放されねばならない」とした。

 山城議長の長期勾留について「従来から問題視されてきた日本の『人質司法』が、在日米軍基地を巡る政府と県の対立の深まる中で、政治的に問題化したとみられる非常に憂慮すべき事態だ」とした。
 山城議長が起訴された3件の事案が「政治的表現行為として行われたことは明らかだ」とし、「政治的表現行為の自由は最大限尊重されなければならない」と説明。その上で事案について「偶発的、不可避的に発生した可能性が高く、違法性の程度の極めて低いものばかりだ」と指摘した。
 また検察が必要な捜査を終えており、証拠を隠滅する可能性はないなどとして、「山城氏を勾留する相当の理由は認められない」とした。
 加えて、山城議長が健康上の問題を抱えており、また勾留は表現行為への萎縮効果を持つとして「これ以上の勾留は『不当に長い拘禁』であると解されねばならない」とした。
 声明は森川恭剛琉球大教授ら刑事法研究者4人が呼び掛け人となった。森川教授は「刑事法研究者として何もしないわけにはいかなかった。政府と県の関係の中で起きている問題を注視していることを形で示したかった」と述べた。今後も賛同者を募るとしている。
 山城議長は10月17日に器物損壊容疑で現行犯逮捕されて以来、身柄拘束が続いている。

辺野古新基地 沖縄県、埋め立て撤回視野 法的根拠積み上げ  2016年12月29日

翁長雄志知事は最高裁判決を受けて自ら行った名護市辺野古の埋め立て承認取り消しを取り消したことに関連し、辺野古新基地建設を阻止する次の手として、承認の「撤回」に踏み切ることを視野に、その法的根拠を積み上げる作業に着手した。県は最初の段階として28日、沖縄防衛局に対し、工事に着手する前に実施設計や環境対策に関する事前協議を求める意見書を送付した。防衛局は昨年10月、協議は終了したとの認識を一方的に県に通告している。防衛局が要求に応じず本格工事に踏み切った場合、県側は「意見書」から段階を高め、「行政処分」を知事名で出す方針。

 「取り消し」処分は埋め立て承認を審査した段階にさかのぼり、違法な瑕疵(かし)があれば承認の効力を失わせるものだが、承認「撤回」は承認の事後に生じた事由に基づき行うもの。
 事前協議の実施は、前知事が辺野古埋め立てを承認した際に県が条件とした「留意事項」に盛り込まれている。
 また翁長知事は承認取り消しを巡る県敗訴の判決を受けて、知事公室、土木建築部、農林水産部、環境部などの関係部局に対し、工事阻止のために行使できる権限をゼロベースで洗い出すことを指示した。
 これまでの検討作業で県は承認「撤回」処分に加え、工事の進展に大きな影響を与え得る3権限、影響を与え得る6権限を特定している。
 一方、最高裁での敗訴を踏まえ、他にも工事に影響する知事権限がないか再検証する。年明けから洗い出し作業を本格化する。 後略

<社説>知事権限封じ検討 愚策やめて辺野古断念せよ  2016年12月30日

名護市辺野古の新基地建設で、政府が翁長雄志知事の承認が必要となる埋め立て計画の変更申請を避けることを検討している。知事権限での工事中断回避が目的だ。果たしてそんなことが可能なのか。

 大型の埋め立て工事の場合、複数回の変更申請をするのが通例だ。防衛省は米軍岩国基地の滑走路沖合移設事業で8回の変更申請を山口県に提出した。中部国際空港(愛知)の埋め立て事業の変更申請も14件だ。
 防衛省の地方協力局長は2014年の衆院安全保障委員会で辺野古の埋め立てについて「工事促進に資する工法への変更、環境保全の観点などから変更を申請することはあり得る」と述べている。ところが政府は知事の権限を封じるため、変更申請をしない方針へと舵(かじ)を切った。「なりふり構わぬ」とはこういう姿勢を指す。
 ちょっと待ってほしい。沖縄防衛局は2件の作業方針を決めずに棚上げしているではないか。美謝川の水路と埋め立て土砂の運搬方法だ。美謝川は埋め立てで河口部をふさぐため、地下水路を整備する必要がある。当初の申請はキャンプ・シュワブの外に流れる切り替え案を示していた。これだと名護市との協議が必要となる。市は移設に反対しており、協議がまとまる見通しは立たない。
 このため防衛局は市の権限の及ばないシュワブ内を通る水路に見直し、承認を許可した仲井真前県政に変更申請を出した。しかし水路の長さは当初計画の4倍以上に当たる1022メートルまで延び、仲井真県政も難色を示したため、防衛局は申請を取り下げた。
 土砂運搬も当初はベルトコンベヤーを設置して実施するはずだった。辺野古ダムをまたぐため、市との協議が必要となり、市の同意が必要ない国道329号の上に工事橋を設置する方法に変えた。これも県に変更申請を出したものの、理解を得られず取り下げた。
 どちらを選んでも2件の作業は市もしくは県の同意が必要となる。それとも美謝川は河口部をふさいだまま放置するのか。北部訓練場のヘリパッド建設のように、ヘリコプターで土砂を空輸するとでもいうのか。
 政府関係者は「いくらかかってもそのまま造る」と言っている。愚策としか言いようがない。すでに工事は破綻している。往生際の悪いことなどせず、辺野古移設そのものを断念すべきだ。 

翁長知事、今月下旬にも訪米 辺野古の民意、次期政権に訴え  2017年1月3日

翁長雄志知事は名護市辺野古の新基地建設を阻止する意思を直接示すため、今月下旬にも訪米する方向で調整に入った。20日にはトランプ次期米政権が発足するため、米国防総省、米国務省の次官補級担当幹部の指名など、対外基地政策の体制固めをする前に県側の立場を伝え、米軍普天間飛行場返還・移設問題で「辺野古が唯一」とする日米両政府の姿勢を転換させたい考え。後略

 「日本における沖縄の立場」 40代「単独州」 50代「連邦」 琉球新報県民意識調査 2017年1月1日

琉球新報の県民意識調査で「今後の日本における沖縄の立場」の質問を年代別に見ると、「現行通り」が半数を超えたのは20代と30代で、40代以上は全年代で半数以下だった。「単独州など」を支持した人は40代で最も多く23・7%、「連邦制」支持は50代が22・7%だった。「現行通り」は30代が最多で55・8%だった。40~60代の中年層で自立志向が強く、若年層と70代以上は「現行通り」「分からない」が多かった。・・中略・・
 米軍基地に関しては「縮小すべきだ」が最も多く40・5%(前回比0・9ポイント増)、「撤去すべきだ」が20・0%(同6・3ポイント減)だった。「維持」は14・2%(同3・2ポイント増)、「強化」は1・6%(同0・5ポイント増)だった。「縮小」「撤去」の合計は、年代別では70代以上が最も多く72・4%、20代が最も少なく38・7%だった。
 自衛隊基地は「現状規模のまま」45・5%(前回比4・0ポイント増)、「拡大すべきだ」7・3%(同1・9ポイント増)の合計が52・8%で初めて半数を超えた。「縮小すべきだ」は19・9%(同2・2ポイント減)、「撤去すべきだ」は7・4%(同1・8ポイント減)だった。「現状」「拡大」の合計を地域別に見ると、最も多いのは中部で66・2%だった。「拡大」が最も多いのは八重山で16・9%だった。

自治権強化35%望む 「現行通り」半数割る 琉球新報県民意識調査  2017年1月1日

沖縄の県民像やその変化を探るため、琉球新報は昨年10~11月、県民意識調査を実施した。調査は2001年、06年、11年に続き4回目。「今後の日本における沖縄の立場をどうすべきか」という質問に「現行通り、日本の一地域(県)のまま」と答えた人が前回から15・7ポイント減って半数を割り、46・1%となった。一方で独立を含め、内政、外交面で沖縄の権限を現状より強化すべきだと考える人が計34・5%に上った。沖縄の自治に関する権限を現状より強化すべきだと考える層が3分の1を超え、現状を支持する層に迫った背景には、基地問題で沖縄の民意が政府に聞き入れられないことへの不満があるとみられる。

オイルフェンスを再設置 海上作業再開の辺野古、7カ月ぶり  2017年1月4日

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設計画に伴う名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局は4日午後、辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部に約200メートルの汚濁防止網(オイルフェンス)を設置した。・・中略・・4日は市民らは抗議船4隻とカヌー10艇で抗議をしていた。カヌーで抗議していた市民ら10人中8人が海上保安庁に拘束され、残った2艇と作業船も付近の海域から排除された。

翁長知事「県民不在、強い憤り」 オスプレイ空中給油再開 2017年1月5日

政府、原因特定せず「安心」 オスプレイ空中給油再開  2017年1月6日

墜落事故を受けて空中給油訓練が停止されている米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイについて、防衛省は5日午前、米軍が6日以降に同訓練を再開すると発表した。稲田朋美防衛相は「(事故)原因を完全に特定するには至っていない」としたものの、米軍の「安全対策は有効」との説明を受け訓練再開を容認した。「オスプレイが空中給油する能力を維持することは防衛や緊急時の対応の点から重要だ」とも述べた。詳細な事故原因が不明なまま、1カ月もたたずに全面的な飛行再開となる。県内からは「日本政府は米軍の言いなりだ」などと批判の声が上がっている。・・後略