琉球新報11月

2019年01月14日 10:32

知事、工事前の会談要求 辺野古、政府はきょう再開方針 国、来週会談で調整

2018年11月1日

【東京】上京中の玉城デニー知事は31日、東京都内で会見し、辺野古新基地建設の埋め立て承認撤回に対する国土交通相の執行停止決定を受け、工事の再開前に政府との対話を求めて31日に安倍晋三首相と菅義偉官房長官に会談を申し入れたことを明らかにした。国会日程などを理由に会談は実現しなかったが、政府側は前向きで、早ければ来週にも会談する方向で調整する見通し。ただ政府は1日に工事を再開する方針で、玉城知事がひとまず対抗措置を取らずに対話を求めている中で工事を強行するかどうかが焦点となる。

 玉城知事は「(県が対抗措置を取って)このまま司法の場に移るのがいいのか、他に何らかの手だてがあるのか対話をしたい」と述べ、政府の姿勢を見極めてから県として対抗措置を判断する姿勢を示した。対抗措置の手段については「国地方係争処理委員会で対応したい」と、同委員会に申し立てることを明言した。

 玉城知事からの会談要請について西村康稔官房副長官は31日の会見で「国会もあり日程の都合がつかなかったことなどから、31日は会う予定はないと聞いている。双方の調整がつけば会うことになる」と述べ、首相、官房長官ともに会談する方向であることを明らかにした。来週は都内で全国知事会が予定されているため、会談は来週に行う方向で調整される見通しだ。

 玉城知事は、国交相の執行停止決定について「非常に短期間で判断したことは、多くの県民が政府に非常に強い憤りと失望を抱いている。このような形で工事を強行するのはまかりならない。対話を閉ざすかのような行為を政府が取るのは非常に問題だ」と批判した。その上で「対話を求めているので、すぐ工事に入るなどという暴挙に出ることがないようしっかり見ておきたい」と強調した。

玉城知事、3者協議要請 辺野古移設 米は返答せず

2018年11月16日

米首都ワシントンを訪問中の玉城デニー知事は14日(日本時間15日)、国務省のマーク・ナッパー副次官補代行、国防総省のポール・ヴォスティ日本部長代行の両者と国務省で会談した。玉城知事は米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設に反対の意向を伝え、県と日米両政府の3者協議を開催するよう要請した。米側は「辺野古が唯一の解決策」と従来の見解を繰り返し、3者協議についても明確な返答はなかった。会談後、国務省は「普天間飛行場の代替施設建設は揺るぎないコミットメント(約束)」と声明を出し、玉城知事と米政府関係者との初会談は平行線に終わった。 中略

  玉城知事は31日、日本記者クラブでも会見し、国交相の執行停止理由に挙げた外交防衛上の不利益について「一国民がそういうふうに申し立てることができるのかを考えると、執行停止決定もはなはだ茶番劇でしかない」と批判した。
 このほか在日米大使館でハガティ駐日米大使と会談し、検討している訪米への協力を要請した。

 一方、辺野古埋め立て承認撤回の効力を失わせる執行停止の決定通知書が10月31日午前、埋め立て工事主体の沖縄防衛局に到達し、撤回により停止していた工事が再開できる状況となった。防衛局は11月1日に資機材の搬入や海上のフロート(浮具)の設置など埋め立て工事の準備を再開させる方針だ。県にも同日午前、国土交通省から執行停止の通知が届いた。

辺野古土砂搬出 防衛相が誤認発言 「県指導で本部港使えず」 県、町が否定

2018年11月3日

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の埋め立てに使う土砂搬出に関し、本部町が本部港塩川地区の岸壁の使用許可申請を受理しなかったことを巡り、岩屋毅防衛相は2日の会見で「(本部町は)沖縄県から新たな申請は受けないようにと指導されている」と述べた。これに対して県も町も取材に「指導はなかった」と否定しており、防衛相が事実誤認で発言していたことが明らかになった。後略

「民意無視は許せない」 辺野古ゲート前、県民大行動に1000人(主催者発表)集結

2018年11月3日

 【辺野古問題取材班】米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設に反対するオール沖縄会議の県民大行動が3日、米軍キャンプ・シュワブのゲート前で開かれた。 県の埋め立て承認撤回の効力を止める国土交通相による執行停止を受け、1日に国が工事を再開してから初めての大行動に1000人(主催者発表)の市民が駆け付けた。市民は「民意を無視した工事強行は許せない」と訴え、新基地建設中止を強く求めた。

雨が降る中、市民は互いに手を取り合いガンバロー三唱し、建設阻止を改めて誓った。

 辺野古新基地建設を巡り、翁長雄志前県政は8月31日に埋め立て承認を撤回し、法的根拠を失った国は工事を中断した。その間、実施された県知事選挙では移設反対を訴える玉城デニー氏が当選した。玉城氏が対話を求めている中で政府は工事を再開した。

知事、官房長官と会談 政府、新基地工事止めず 県との集中協議には合意 県、係争委手続きを伝達 2018年11月7日

県民投票 2月で調整 辺野古新基地 市町村議会予算審議へ

2018年11月10日

県は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の賛否を問う県民投票を、来年2月に実施する方向で最終調整に入った。複数の県関係者が9日、明らかにした。移設阻止に向けた有効な対抗手段が乏しい中、玉城デニー知事は県民投票で反対の民意を明確にした上で、政府に移設断念を迫る考えだ。後略

 「沖縄の未来を破壊するな」 辺野古ゲート前で市民ら抗議 16日の再開以降、連日100台が資材搬入

2018年11月22日

米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設工事で、沖縄防衛局は22日、陸路での資材搬入を続けた。16日に搬入を再開して以来、連日100台を超える工事車両が砕石などを米軍キャンプ・シュワブ内へと運び入れている。

 市民は早朝からゲート前での座り込み行動を始めた。「新基地建設は沖縄の未来を破壊する行為だ」などと、拳を突き上げて新基地建設を強行する政府を批判した。
 午前9時、ゲート前に大型トラックやコンクリートミキサー車が並ぶと、県警の機動隊員が市民を強制的に移動させた。工事車両39台がゲート内に資材を搬入した。

沖縄県、19日に弁明書送付へ 辺野古の審査請求、国交相に却下求める

2018年11月17日

「新基地阻止 連帯を」 アイルランド国際会議2日目 沖縄から訴え

2018年11月19日 0

 アイルランドの首都ダブリンで開催されている「全世界から米軍基地とNATO基地の撤退を求める国際会議」2日目は現地時間の17日、沖縄平和運動センターの山城博治議長と共に辺野古での抗議行動の先頭に立つ稲葉博さんが登壇した。稲葉さんは「世界の人たちと手を取り合えば、必ずこの闘いに勝てると信じている。皆さんの力が必要だ」と新基地建設阻止への連帯を呼び掛けた。

 稲葉さんは、健康状態の懸念で欠席した山城議長のあいさつ文を代読し、抗議行動による威力業務妨害罪などで起訴され、現在も控訴中であることを報告した。「米軍基地や自衛隊基地の拡張、戦争策動に反対して運動することは大変な困難を伴うが、軍事基地のない、戦争のない、平和な世界のために共に頑張っていこう」と訴えた。
 質疑応答ではドイツ人男性から、「沖縄にこれだけ多くの米軍基地が集中しているのは、台湾や中国との地理的な近さが影響しているのか」との質問があった。退役軍人らによる国際平和団体「ベテランズ・フォー・ピース(VFP)」メンバーのタラック・カウフさんが「中国脅威論は為政者が米軍基地の存在を肯定するためにつくり出したものだ」と解説し、「武力で国際関係の改善などできないことを訴え続けなければいけない」と述べた。
 会議2日目は、アジア、ヨーロッパなど地域ごとに米軍基地による水質汚染や騒音被害などの報告があった。
 最終日の18日はワークショップ形式で、全世界からの米軍基地、NATO基地の撤去に向けて具体的な取り組みを話し合う。また、米軍撤退を求めるデモ行進もある。

審査請求で県が弁明書 辺野古埋め立て承認撤回「適法」

2018年11月20日

米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う埋め立ての承認を県が撤回したことに関し、県は19日、沖縄防衛局による撤回取り消しの審査請求に対して意見を述べる弁明書を国土交通相に送付した。県の撤回を巡り、防衛局が「取り消されるべきだ」と主張しているのに対し、県は「撤回は適法だ」と反論した。国が行政不服審査制度に基づいて審査請求することはできないとも指摘し、防衛局の主張を却下するよう国交相に求めている。後略

警備隊発足へ作業急ピッチ 宮古島陸自配備 着工1年 強まる「南西シフト」

2018年11月20日

宮古島市の陸上自衛隊配備計画を巡り、昨年11月に市上野野原のゴルフ場跡地で駐屯地の造成工事が始まってから20日で1年となる。現場では本年度末の警備隊発足に向けて隊舎建設などが急ピッチで進み、ならされた土地に徐々に駐屯地の姿が見え始めている。一方、市城辺保良では弾薬庫の整備に向け年度内にも防衛省が用地取得に着手する予定だ。同省が南西諸島で進める陸自配備計画は節目を迎えようとしている。

 宮古島市ではゴルフ場だった「千代田カントリークラブ」跡地(市上野野原、約22ヘクタール」が警備隊の建設予定地に決まり、昨年11月に造成工事が始まった。本年度末に380人規模の「宮古警備隊(仮称)」が発足する予定で、地対艦、地対空ミサイルの各部隊も2019年度以降に順次編成される計画だ。合わせて700~800人規模の部隊となる。

 建設地に隣接する野原部落会や千代田部落会は反対決議を採択していたが、工事が進むにつれ諦めの声が広がり、いずれも決議撤回や事実上容認の立場に転じている。
 一方、防衛省は今年1月、ミサイルを保管する弾薬庫や小銃の射撃訓練場の配置先として市城辺の保良鉱山を選定した。本年度内の用地取得を目指し、19年度予算の概算要求には射撃場建設の関連経費など約42億5100万円を盛り込んでいる。鉱山に隣接する保良部落会や七又部落会は建設に対し反対決議を採択しており、今も集落として反対の意思を示す。ただ、保良では地域活性化を条件に配備に賛同する組織も発足しており、隊員の家族宿舎などの誘致を求める署名を市に提出する動きも出ている。

 南西諸島への陸上自衛隊配備は、10年に改定された「防衛計画の大綱」(防衛大綱)で掲げられた。南西諸島を「自衛隊配備の空白地域」と位置付けるとともに部隊配備の必要性が打ち出され、13年改定の防衛大綱にも引き継がれた。

 「空白」を埋める作業は地元の反発を引き起こしながらも着々と進む。防衛省は16年3月に与那国町に陸自の沿岸監視隊を配備したほか、本年度末には奄美大島にもミサイル部隊など500人規模の陸自部隊が編成される予定だ。作業が遅れていた石垣市でも年度内に陸自駐屯地の着工が見込まれる。
 今月10日、沖縄入りし玉城デニー知事と会談した岩屋毅防衛相は「日本の防衛の最前線はこの南西地域にある」と述べ、抑止力維持の観点から配備を進める必要性を強調した。
 政府は年末までに、新たな防衛大綱と今後5年間に必要な防衛装備品や費用を示す「中期防衛力整備計画」を決定する見通し。南西諸島の防衛力強化に関する新たな強化方針が打ち出されて「南西シフト」が一層鮮明になる可能性もある。 (當山幸都)


普天間移設の意見書、めど立たず 小金井市議会 賛成市議ら12月議会へ意見調整 

2018年11月22日

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設について全国で議論することを求めて東京都小金井市議会に出された陳情を考える「当事者意識で考える沖縄の基地問題」が20日、小金井市市民会館で開かれた。陳情に賛成した市議有志の主催で、賛成会派の代表らが経緯を説明した。陳情採択後、陳情が求めた意見書の採決は見送られたままで、市議会12月定例会での採決に向けて調整を進めていることも報告された。ただ、採決の行方は見通せないのが現状だ。

 意見書の採決を巡っては、9月の議会で陳情に賛成した共産党市議団が、10月の意見書採決の段階で態度を翻したため、意見書採決は見送られた。

 この日は共産党市議団の水上洋志市議も参加し、翻意した経緯を説明した上で「12月議会で何らかの方向性を示せるよう私たちも努力していきたい」と述べた。

 会の前半は、陳情を提出した、新しい提案実行委員会メンバーの米須清真さんが、普天間飛行場の移設が沖縄の問題ではなく全国の問題で、国民が当事者として議論することなど提案の意図を説明した。移設することになった場合も「国政での特別法制定と住民投票による承認が必須条件だとするのが『新しい提案』の考え方だ」と強調した。

新基地建設・辺野古区に個別補償せず 区民「納得いかない」 自民 「要望受け入れ、後々大変」

2018年11月23日

【名護】米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古への新基地建設で、地元の辺野古区が受け入れ条件として求める個別補償の問題が宙に浮いている。沖縄防衛局は8月、区に対し個別補償は「実施できない」と伝達。個別補償などについて区は自民党本部などに「直談判」を試みたが、期待した議論はできなかった。受け入れを明確にしていない渡具知武豊名護市長も補償に関して「市としてできることはない」との姿勢だ。政府は個別補償の代替策として再編交付金での地域振興を検討しているが、区の行政委員の一部からは「到底納得がいかない」との不満が漏れ、区が代替策を受け入れるか見通しは立っていない。

県、係争委へ審査申し出 辺野古埋め立て 撤回停止に不服

2018年11月30日

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡り、玉城デニー知事は29日、県の埋め立て承認撤回の効力を一時停止させた国土交通相の決定を不服として、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」(係争委)へ審査を申し出る文書を送付した。審査申出書で県は執行停止決定を取り消すよう国交相への勧告を係争委に求めた。係争委は90日以内に判断を示す。県庁で会見した玉城知事は、12月中旬に辺野古に土砂投入する政府の方針に対し「対話でいい結果に導いていけると思っていたが、非常に残念だ」と反発した。後略