琉球新報11月

2017年12月30日 13:25

基地負担軽減、有名無実化に 沖縄に日本版海兵隊 政府検討、米軍移転後に

2017年11月1日

防衛省・自衛隊が来年3月に新設する陸上自衛隊の「水陸機動団」を沖縄県の米軍キャンプ・ハンセンにも配備する方向で検討していることが31日分かった。}数の関係者が明らかにした。2020年代前半に在沖縄米海兵隊約8千人がグアムなど国外に移転することをにらみ、次期中期防衛力整備計画(中期防)に盛り込むことを目指している。ハンセンに自衛隊が配備されれば、海兵隊移転による「沖縄の基地負担軽減」は有名無実化する。地元合意もなく県民の反発は必至だ。

 防衛省関係者によると、日米両政府が8月、外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)の共同発表で、南西諸島を含めた自衛隊の態勢を強化するため、基地の共同使用促進を再確認したことを受け、ハンセンなど在沖米軍基地の共同使用に向けた協議を開始した。
 日米両政府は06年5月に合意した米軍再編ロードマップ(行程表)で、ハンセンについて「陸上自衛隊の訓練に使用される」と明記。既に自衛隊による訓練数が増加しているが、在沖米海兵隊の国外移転により運用に空きができる。そのため自衛隊の使用増加が可能になるとみられている。
 水陸機動団は「日本版海兵隊」と呼ばれており、離島奪還作戦などへの対処を目的とする。オスプレイを導入することが決まっており、県内離島での訓練も見込まれている。
 来年3月に約2100人で編成し、長崎県の相浦(あいのうら)駐屯地に2個連隊が配備される。当初計画では約3千人、3個連隊を新設する予定となっており、残る1個連隊の配備先としてハンセンが検討されている。
 ただ、防衛省は3個連隊目を新設するかを決定しておらず、流動的な部分も残る。また米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設など、米軍基地建設に反対する県民感情を踏まえ「難しいのではないか」(同省関係者)との声もある。


義務確認へ追加提訴 県「許可得るべき」 辺野古新基地差し止め訴訟 国の却下主張に対抗

2017年11月3日

米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古への新基地建設工事を巡り、無許可の岩礁破砕は違法として県が国を相手に岩礁破砕の差し止めを求めた訴訟で、県は2日、沖縄防衛局は知事から岩礁破砕許可を得る義務があることの確認を求める訴えを那覇地裁に追加提起した。

 岩礁破砕差し止め請求に対し国側はこれまで、2002年の最高裁判例を基に訴訟内容が法律上、裁判所の審判対象外で不適法と主張。岩礁破砕手続きを定めた県漁業調整規則にも差し止めを請求できる規定はないなどと県が訴える権利そのものがないとしていた。

 国側の主張などを受け差し止め請求が「門前払い」される可能性もあるため県側は今回、予備的請求として法律上の義務そのものを確認する訴えを追加した。追加提訴で県側は、今年6月の名古屋高裁判決で法律に基づく義務を確認する請求が認められたことなどを根拠に、義務があるかないかを確認する訴訟自体は適法で審判の対象になると訴えている。

 県側は県漁業調整規則についても、規則に基づき岩礁破砕許可などの制度を適正・円滑に運営することは「法的に保護された県の固有の利益」であり、訴訟による法律上の義務の確認を求めることが許容されるべきだと主張した。

 県庁で会見した県側の代理人弁護士は「国は訴訟を入り口にとどめ中身の判断は避けようとしているが、{質論に入って解決してほしい」と話した。

 追加提訴したこの日は、判決まで工事を差し止めるよう求める仮処分申し立ての第3回審尋も那覇地裁で開かれ、{訴訟の期日などを確認した。14日に第2回口頭弁論、12月21日に第3回弁論が開かれる。

新基地反対で決意 辺野古で県民大行動  2017年11月4日

米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設に反対する政}や市民団体などでつくるオール沖縄会議は4日正午、同市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前で第1土曜日ゲート前県民大行動を開いた。

 県内外から約600人が参加した。稲嶺進名護市長や県選出の国会議員、県議会議員らも足を運び、辺野古での基地建設阻止に向けて強い決意を示した。

 参加者は「基地建設の阻止まで絶対に諦めない」「県民の強い思いを政{にぶつける」と声を上げた。


名護市長選  投開票まで3カ月 辺野古争点、知事選影響も 稲嶺、渡具知氏対決へ /沖縄

2017年11月4日

来年2月4日投開票の名護市長選まであと3カ月。3期目を目指す現職の稲嶺進氏(72)と、市政刷新を目指す市議の渡具知武豊氏(56)=自民推薦=が立候補を表明しており、一騎打ちの構}が固まっている。両陣営とも今後、運動を{格化させる。 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古への新基地建設が最大の争点。自民党県連(照屋守之会長)は今年4月に辺野古移設について「容認」との方針を決め、対立軸が鮮明になった。市長選の結果は辺野古の移設計画に大きな影響を与えるほか、来年11月ごろ予定される知事選を占う上でも重要な選挙となる。稲嶺氏は辺野古移設の阻止を訴え、前回は相手候補に4155票差をつけて再選した。「海にも陸にも基地は造らせない」と繰り返し強調している。翁長雄志知事を支えるオール沖縄会議の共同代表を務める。10月の衆院選で3区は「オール沖縄」が推す玉城デニー氏が当選、名護市では自民候補の比嘉奈津美氏に約3千票差をつけた。

この結果について稲嶺氏は1日の定例記者会見で「名護市民が、これだけ辺野古(移設)に対し強い反対の意思を持っていることの表れではないか。衆院選以上に市長選は、辺野古新基地問}が争点になる」と強調、辺野古問}を争点から外す動きにくぎを刺す。

稲嶺氏側は選挙事務所を拠点に、地域ごとの支部を前回選並みの12~13カ所設置し、与党市議と連携しながら浸透を}っていく予定だ。社民党県連と社大}が合同で入る「市民会議選挙対策本部」を11月中旬にも市内に開設する。共産党県委も独自の拠点を設ける予定だ。自民県連の候補者選びは難航したが、渡具知氏推薦を正式決定し、10月6日に推薦状を交付した。

渡具知氏は、稲嶺市政2期8年間について「閉塞感がある」として批判し「国とあらゆる面で協議をしていく」と強調する。医療福祉の充実や教育環境、定住条件の整備などを進めるとしている。辺野古移設について「これまで議会議員として容認してきた」とした上で「県が国を相手取り岩礁破砕の差し止め訴訟を提起している。現況の裁判を注視していくというのが基{姿勢だ」との立場を示している。

自民党県連は知事選に向けた前哨戦と位置付けて「総掛かりで行く」と全県選挙並みの応援態勢を敷く構えだ。公明党との連携を見据えるが、公明党県本は「渡具知氏の政策などを踏まえ、自民党県連から話があった段階で判断したい」と慎重な姿勢を崩していない。公明は前回の市長選に自主投票で臨んでいる。公明票の行方が一つの重要な鍵となりそうだ。

2014年1月の前回市長選は、前年12月末に仲井真弘多知事(当時)が辺野古埋め立てを承認して間もない時期に行われた。今回は、政府が辺野古の工事強行を続ける一方、県内の首長選挙で「オール沖縄」の候補が相次ぎ敗れている状況もある。これらが、どのように影響するかも注目される。


着工、大統領来日のタイミングに 辺野古新護岸 沖縄県は「印象操作」2017年11月7日

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問}で、名護市辺野古で4月に最初の護岸「K9」に着手してから半年。防衛省沖縄防衛局は新たに2カ所の護岸建設に着手した。移設に反対する沖縄県はこの間、裁判、行政指導と対抗カードを切ってきたが、国は「指摘は当たらない」などと工事を止めることなく強硬姿勢を崩していない。県は「国の既成事実化の戦略には乗らない」(幹部)と冷静さを装うが、工事は国のペースで進み、中止への決定打は見えない。

 今回、政府が護岸建設に着手した現場は、7月にオキナワハマサンゴなど絶滅危惧種の希少サンゴが見つかった区域。防衛局はサンゴを守る必要があるとして10月26日、サンゴの移植に必要な特別採補許可を県に申請した。しかし国は、県の許可を待たず工事に着手した。「審査後に着手するかと思っていたが」と県幹部も審査中の工事着手に驚きを隠さない。
◆連休前の急展開
 新たな護岸工事に着手の動きは先週末、急に加速した。三連休に入る直前の2日夕。終業時間間際に防衛局が県庁に"駆け込み"で文書を持参した。辺野古での工事に関し県が10月31日に出した質問書への回答書だ。
 これまで回答に数週間以上を要することが多かったが、今回は1週間を待たずに回答。オキナワハマサンゴを移植しないまま工事着手される可能性やその懸念を問う県に対し「予測{査を行った結果、影響はなく、生息環境は維持される」と断言。移植前の工事強行をにおわせた。
 「県への説明は尽くしたと言うための提出だったのだろう。いつも自分たちの都合だ」と県幹部はため息交じりに振り返った。護岸工事に着手を見据えた計算し尽くされた提出だった。国が矢継ぎ早に護岸工事に着手した背景には、トランプ米大統領の訪日に合わせた米側へのアピールと同時に、北朝鮮への対応で注目が集まる首脳会談に合わせて工事強行の批判を回避する思惑があった。
◆来日報道一色
 「偶然の一致だ」。米軍普天間飛行場の辺野古移設を含めた在日米軍再編の進展を改めて確認した日米首脳会談と辺野古の新たな護岸工事が重なったことに防衛省関係者はこう語り、準備が整ったために開始したと強{した。
 しかし、護岸工事に着手からわずか数時間後、東京で開かれた日米首脳会談の席上、両首脳は辺野古の工事推進を確認した。「一層の遅延が平和および安全を提供する能力に及ぼす悪影響に留意しつつ」との文言も添えられた。トランプ氏の来日に合わせ、念密に準備された工事計画だった。
 県民の多くが反発し抗議の声が上がった護岸工事に着手だったが、この日の大手メディアの報道はトランプ氏の一挙手一投足を伝える内容が大半を占めた。政府関係者は「やはり辺野古はかき消された。辺野古よりも北朝鮮、拉致が注目だろう」と語り、工事強行の矮小(わいしょう)化を狙い、タイミングを図っていたことをにじませた。
 「サンゴを守るために移植が必要だからと言って採捕許可申請を出しているのに、その一方で工事も進める。矛盾以外の何ものでもない」。県幹部は、なりふり構わぬ国の姿勢に悔しさをにじませつつも「裁判で着実に進んでいくしかない。できることは全てしている」と自らに言い聞かせるようにつぶやいた。

新護岸、石材投下続く 辺野古新基地 抗議の市民「民意無視」2017年11月8日

米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設で、沖縄防衛局は7日、新たに造成工事に着手した「N5護岸」建設予定地と「K1護岸」建設予定地の2カ所で作業を続けた。N5護岸建設予定地では砕石が海に投下され、ショベルカーが地ならしをしていた。砕石の投下で海水が白く濁っているのが確認された。K1護岸建設予定地では午前中は汚濁防止膜(オイルフェンス)を張り直す作業が行われ、午後から砕石の投下が始まった。

 市民は抗議船3隻、カヌー12艇で工事に抗議した。汚濁{査のため、両建設予定地の周辺海域8カ所で採水も行った。名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ前でも、市民約50人が集まり、建設に抗議した。沖縄市からゲート前に訪れた真喜志薫さん(71)は「強権的な政府にいらいらする。沖縄の民意が反映されていない」と工事の強行に憤った。

知事「不満で残念」 日米の「辺野古推進」を批判  2017年11月8日

 翁長雄志知事は6日の日米首脳会談で、両首脳が名護市辺野古の新基地建設工事を推進することを改めて確認したことについて「大変不満で残念だ」と両政府の姿勢を批判した。7日、宜野湾市内で記者団に答えた。 翁長知事は沖縄に米軍が駐留する根拠となっている日米安保条約について「元々、安保条約は自由、人権、民主主義などの価値観を共有するところで国の連携があるはずだ。なのにそれを支えている沖縄への配慮がない」と指摘し、沖縄への過重負担という形で安保体制が維持され続けていることに「将来大きな禍根を残すのではないかと思う」と述べた。

オスプレイの重大事故率倍増 過去1年、墜落集中  2017年11月9日

米海兵隊垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの10万飛行時間当たりのクラスA事故率(%)が9月末現在で3・27となり、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備された2012年9月末の1・65から約2倍に増えたことが8日、分かった。米側から通知を受けた防衛省が8日発表した。
 普天間所属機が名護とオーストラリアで墜落するなど、過去1年に重大事故が集中したことで事故率が上昇した。政府はこれまで、オスプレイの事故率は他機種より「低い」として安全性を主張していたが、前提が崩れた。

 普天間所属機は墜落事故の他、エンジントラブルによる緊急着陸なども相次いでいる。13年には、知事と全41市町村長が超党派で配備に反対し、安倍晋三首相に配備撤回などを求めた「建白書」を手渡している。事故率上昇で配備撤回を求める声が一層強まりそうだ。
 米側は米会計年度末となる9月末で各年度の事故率を区切っており、死亡事故や被害総額が200万ドル以上となる事故を「クラスA」としている。
 防衛省によると、オスプレイのクラスA事故は03年の起点から10件発生した。飛行時間は30万6千時間で、事故率が3・27となった。10件のうち3件が過去1年に発生した。9月末の米海兵隊航空機全体のクラスA事故率は2・72で、平均値も上回った。
 普天間飛行場所属機については、昨年12月に名護市安部で墜落、今年8月にオーストラリア沖で墜落する事故を起こしている。いずれも17米会計年度に発生しており、事故率を押し上げた。
 防衛省は事故率上昇について、米側からの聞き取りなどから、オスプレイが高度な能力があるために多くの任務に従事し、過酷な状況で飛行していることなどが理由だと説明した。機体の安全性には問}ないとして、米側には「安全面に最大限配慮するよう求めたい」とした。


山城議長、知事を批判 新基地資材海運認可で  2017年11月11日

沖縄平和運動センターの山城博治議長は10日、県が辺野古新基地の護岸工事で奥港(国頭村)からの石材運搬を認めたことに対し「これまで知事を正面から批判したことはないが、今回の件を受け、覚悟を決めて翁長県政と向き合う必要が出てくる」と翁長雄志知事の姿勢に疑問を呈した。那覇市の八汐荘で開かれた第25回定期総会のあいさつで述べた。

 法律に基づき審査した結果、不許可にできる理由が見つからないと県側が答えたことについて「あらゆる手法で建設を阻止すると知事はこれまで主張してきた。それは一体何だったのか。これでは工事を止めることはできない」と語気を強めた。大会終了後に{紙の取材に答えた。山城議長は、県側の意向を確認するため、近日中に県庁に出向く予定で日程を調整している。

 総会では特別決議として「山城博治議長らの無罪を求める決議」が採択された。来年2月の名護市長選で現職の稲嶺進市長に選挙協力することも決まった。

護岸に砕石投下作業続く 市民らカヌーで抗議 辺野古沿岸部 2017年11月13日

米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設で13日、米軍キャンプ・シュワブ沿岸部のN5護岸では造成工事が進められている。

 クレーン車が砕石を投下し、ショベルカーが地ならしをしている。K1でも同様の作業が続き、砕石投下や地ならしのたびに粉じんが上がっている。

 市民は抗議船3隻、カヌー12艇で工事に抗議している。


辺野古新基地資材、きょう海上輸送 国頭村の奥港から 区民、阻止行動へ 2017年11月13日

米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設の護岸工事で、沖縄防衛局が13日に石材の海上輸送に着手することが分かった。国頭村奥港から砂利を台船に搭載し、大浦湾に搬送する。12日午後、奥集落と奥港をダンプ数台が行き交う様子がみられた。区は13日、船での砕石輸送を阻止するため、阻止行動への参加を集落内の放送で呼び掛けた。

 沖縄防衛局の職員が7日、国頭村奥の糸満盛也区長を訪れ、海上輸送について13日に実{すると伝えた。糸満区長によると、沖縄防衛局は海上輸送とダンプカーによる資材搬入について説明した。糸満区長は「区民に説明のないままでの搬送開始は受け入れられない」と述べたが、防衛局側は「すでに業者に依頼しており日程の変更は難しい。沖縄防衛局の責任で実{する」とし、期間は11月初{から2018年3月31日までと説明を受けたという。

 奥に住む玉城壮さん(75)は「区民に何の説明もない。それが一番の問題だ」と防衛局の対応を批判した。さらに「ダンプが頻繁に来たら騒音や排ガスをまき散らす。港は学校のすぐ隣。翁長雄志知事は工事を絶対に阻止すると言ってるのになぜ許可したのか」と憤った。

 {城恵子さん(60)は「{りで煮えたぎっている。こんな静かな集落にダンプが1日何回も往復されたらたまらない。年配の人が多く、手押し車で歩いている人も多い。港までの狭い道を通るととても危険だし、許してはいけない」と強調した。

 これまで石材は{部町と国頭村から名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブまで、大型ダンプカーが陸路で運んでいた。台船1隻に搭載される石材は、陸上輸送していたダンプカー200台分以上の積載量に相当し、海上輸送で大量搬送が可能になる。

 県はK9護岸の利用が実{設計の変更に当たるとし、工事の停止を求めているが、9月には海上輸送に伴う奥港の岸壁と港湾{設用地の使用許可を出した。{部町は10月、{部港(塩川地区)の荷さばき地の使用許可を出している。


ダンプカーが砕石を積み込み 国頭村奥港の大型船へ 住民ら涙の抗議 2017年11月13日

米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡る新基地建設で13日午前9時すぎ、海上搬送のための砕石を積んだダンプカーが国頭村の奥港に到着した。

 ダンプカーは1台1台船に砕石を積み込んでいった。 

 工事に反対する奥集落の住民や村外から集まった約40人が「私たちに死ねと言ってるのか」「こんなに住みやすい土地なのにどうしてこんなことをするのか」などと涙を流しながら訴えた。

 奥に住む85歳の女性は「もう泣きたい。この静かな奥が米軍基地を造るために利用されると思ったらなんと言ったらいいか。安心して生活できてたのに。これから、何百台もダンプカーが通ったら私たちに家の外に出るなと言ってるのか。死ねと言ってるのか」と目に涙をためて訴えた。

海上搬送のための大型船入港 名護市辺野古の新基地建設 国頭村奥港で住民ら抗議  2017年11月13日

米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古への新基地建設で13日午前7時半すぎ、砂利や石材を海上搬送するための大型船が国頭村の奥港に入港した。同日午前9時すぎ、砂利などを積んだダンプカーが奥港に順次、到着している。今後、大型船に積み込み、海上搬送を始めるとみられる。

 奥の住民らは港に集まり「ここは釣りをする場所だよ」「自然破壊したらもう直らないよ」と抗議の声を上げた。

 奥に住む女性(83)は「この港は、畑の合間に釣りをしに来るみんなの憩いの場所だよ。新聞見て始めて知って驚いている。何の説明もない。もう釣りもできないさ」と肩を落とした。

 73歳の男性は「基地に賛成とか反対とか関係なく、集落みんな{らせてどうする。こんな静かな場所で、道も一{道なのに。農業するときに自由に行き来できなくなる」と憤った。

 午後8時半ごろ、砂利を積んだダンプカー数十台が、奥港に向かっているのが確認されていた。


辺野古初めて海上搬入を開始 陸上からも同時に資材搬入 奥港から台船で石材を搬送  2017年11月14日

米軍普天間飛行場の名護市辺野古への新基地建設で、沖縄防衛局は14日午前、初めて海上から石材を搬入した。米軍キャンプ・シュワブのゲートからも工事車両32台が基地内に資材を運び込んだ。

 今回初めて陸上と海上で同時に資材搬入が行われた。大量輸送で工事を加速させたい狙いがある。

雨が降る中、大浦湾に姿を現した台船が午前9時半ごろ、辺野古崎北側にあるK9護岸の先端部にロープで係留された。午前10時半ごろに接岸した。船上に積んだ砕石を重機でトラックに載せ替え、陸上部に搬入した。

運び込んだ砕石は辺野古崎南西側のK1護岸とN5護岸を造成する工事に投入する。

 海上では基地に反対する市民が抗議の声を上げた。


奥港使用許可 市民団体が撤回を要請 山城氏ら知事姿勢を批判 2017年11月16日

名護市辺野古の新基地建設工事に使用する石材搬出のために沖縄県が国頭村の奥港の使用を許可したことについて「基地の県内移設に反対する県民会議」の山城博治共同代表らが15日、県庁を訪れ、県に使用許可を撤回するよう要請した。

 謝花喜一郎知事公室長は「一つ一つの事案が、埋め立て承認の撤回につながっていく」と述べ、知事による埋め立て承認撤回という形で最終的には対応していきたいとし、理解を求めた。

 山城共同代表は「知事はあらゆる手段で新基地に反対すると言っていたが、現状は公約違反、言行不一致だ」と厳しく批判した。

 さらに、知事の言葉を引用し「知事は県民に『なまからど。まきてーないびらん(今から、ここからだ。負けてはならない)』などと言ってきたが、このままでは『話くわっちー(話のごちそう)』は知事の方だと、言葉をそのままお返しせざるを得ない」と皮肉を交え、「知事には『もうおしゃべりはやめて、やることやって』と言いたい」などと述べ、政治判断による早期撤回を重ねて求めた。


辺野古新基地、奥港使用許可撤回も 知事「新たな事態」  2017年11月16日

 米軍普天間飛行場の移設に伴う辺野古新基地建設の護岸工事で資材の海上搬入のために出した国頭村奥港の使用許可について県が、港を往来するダンプカーの粉じんや騒音など環境問題を「新たな事態」と位置付け、奥港の使用許可の撤回も視野に検討を進めていることが15日分かった。同日付で、奥港を使用した海上搬入を停止し変更承認の手続きを取るよう沖縄防衛局に文書で求めた。同日夕に会見した翁長雄志知事は「道路をあれだけの粉じんを上げながらダンプが通っていくことについての認識を奥の区民に伝えられなかった。港湾法との関係でどうなるのか、新たな事態が出てきているので、対処をしっかりやっていきたい」と述べた。

 県は9月に奥港の岸壁と港湾{設用地の使用許可を出した後、11月7日付で新たに「港湾{設使用許可に係る審査基準等」を設定した。新基準の中に「環境を悪化させる恐れがないこと」を盛り込んだ。この規定を適用して更新申請を認めないことなども含め許可の撤回を検討しているとみられる。

 海上搬送開始に対して翁長知事は「県との協議が調うまでは実{しないよう行政指導していたが、県の行政指導に従うことなく、拙速に海上搬入したことは極めて残念」と批判した。

 あらゆる手法を使って新基地を阻止するとしながら奥港の使用許可を出したことに、新基地に反対する市民から反発が高まっていることには「県民からの声は私自身がその声の気持ちと全く一緒。私自身もじくじたるものがある。公約違反ではないかというのも当然率直な気持ちとして出てくるのは否めない」と批判を受け止める姿勢を示した。

 埋め立て承認の撤回の時期について翁長知事は「私の責任でやる。明日か1カ月後かは、国家権力の大きなものと対峙(たいじ)しているときに時期まで明示しながらやるのは今考えていない」と述べるにとどめた。

「海を壊すな」「違法工事やめろ」 辺野古新基地反対で60人座り込み 87台が資材搬入  2017年11月22日

米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設で、米軍キャンプ・シュワブのゲート前では、雨の中、市民約60人が座り込み「美(ちゅ)ら海を壊すな」「違法工事をやめろ」などと訴えた。

 午前9時ごろ、県警が座り込む市民を強制排除し、約1時間かけて工事車両87台が基地内に資材を搬入した。

 新基地に反対する市民は集会で「国は工事が進んでいるとアピールしているが、子や孫のため、絶対諦めずに闘おう」などと呼び掛けた。

 県警は座り込む一人一人を抱え上げて排除し、そばの歩道上に囲い込んで一時拘束した。砕石、クレーン車、掘削用機材などを載せた工事車両やコンクリートミキサー車が次々にゲートから中に入った。

 市民によると、国頭村の採石場付近で抗議行動をしていた1人が県警に拘束された。


<社説>辺野古弾薬庫再開発 計画の白紙撤回を求める 2017年11月23日

名護市辺野古の新基地建設は、隣接する辺野古弾薬庫の再開発を含む基地機能の再編・強化であることが改めて明らかになった。

 米海兵隊が2014年に作成した内部文書「自然資源・文化資源統合管理計画」によると、普天間飛行場の県内移設計画に伴い「新たな任務に対応できるよう、キャンプ・シュワブおよび辺野古弾薬庫を再設計・拡張する」と明記している。この文書は米国の非政{組織(NGO)「生物多様性センター」が入手した。

 計画は5年ごとの更新で、現在も維持されているとみられる。実{されると1996年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告で合意した基地の整理縮小に逆行する。米軍に計画の白紙撤回を強く求める。

 辺野古弾薬庫はかつて核兵器が貯蔵されていた。今回の計画案はキャンプ・シュワブと辺野古弾薬庫の再配置の必要性に言及し「13の弾薬庫を取り壊し、12の新たな弾薬庫と武器の組み立て区画を設けることが含まれている。この計画には大規模な土木工事と未開発の土地の造成を伴う」としている。自然環境に負荷がかかることは間違いない。

 米軍は過去にも名護市辺野古のキャンプ・シュワブ周辺に基地機能の整備を計画していた。1966年、ハワイの米太平洋軍総司令部が、キャンプ・シュワブ沖に計画された海兵隊の飛行場と海軍の軍港建設、大浦湾北沿岸への陸軍の大弾薬庫の建設計画を推進する必要性を示す年次報告をまとめている。

 この計画はベトナム戦争の泥沼化による戦費負担などから見送られたとみられる。だが、普天間飛行場の移設に名を借りて計画がよみがえったのではないか。辺野古の新基地はV字滑走路、強襲揚陸艦が接岸できる岸壁が整備され、辺野古弾薬庫の再開発を加えると、過去の計画と酷似するからだ。

 隣接する北部訓練場の過半を返還する代わりに、政{は東村高江の集落を囲むように六つのヘリパッド建設を強行した。垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの墜落、訓練に伴う騒音被害、大型輸送ヘリコプターCH53Eの不時着、炎上事故も起きている。

 米国NGOが入手した今回の内部文書は、米軍北部訓練場の過半返還後の訓練の影響について、これまでと同等の訓練がより狭い地域で実{されるため、環境への負荷が増大する可能性があると指摘している。

 北部訓練場の過半返還は「負担軽減」だと米軍や日{政{は強調してきたが、米軍は環境面では負担増となることを認めていることになる。

 普天間飛行場の県内移設や弾薬庫再開発、北部訓練場の新ヘリパッドの目的は、米軍側にとって老朽化した{設の更新と、オスプレイの運用を軸とした訓練環境の新設に他ならない。基地の「整理縮小」はまやかしである。


国際人権法学会 在沖基地巡り討議 政{と県 国連審査を双方報告 2017年11月27日

国際人権法学会(申恵丰(シンヘ{ン)理事長)の第29回研究大会が26日、那覇市のタイムスホールで2日間の会期を終えた。名護市辺野古での新基地建設工事の差し止めを求めた訴訟など、沖縄の米軍基地を巡る訴訟と国際人権法の関わりについて全国の弁護士や研究者が討議した。国連人権理事会で開かれた日{政{対象の普遍的定期審査(UPR)に関しても報告があった。

 訴訟に関する討議で、亘理格(わたりただす)中央大教授は辺野古訴訟について「埋め立て事業で損なわれる環境の価値などの軽重について、一審も上告審も踏み込まずに結論を出した」と指摘した。

 第3次嘉手納爆音訴訟弁護団の高木吉朗弁護士は、裁判所が米軍機の飛行差し止めを退ける源流に1959年の「砂川事件」最高裁判決があることを挙げた。その上で「一審は(米軍駐留を)違憲としたが最高裁は統治行為論で排斥した。駐留米軍は憲法9条に反しないと付け加えている。大きな判断もできるということだ」と述べ、判断を避ける裁判所を批判した。

 国連UPRについては沖縄側と国側の双方が意見を述べた。

 外務省総合外交政策局人権人道課の杉浦正俊課長は、国連から沖縄の人々の先住民族としての権利を守るよう勧告されたことに関連し「政{として先住民族と認識しているのは今の時点でアイヌの方々だ。権利は憲法で等しく保障されている」と応えた。

 沖縄国際人権法研究会の島袋純共同代表(琉球大教授)は、UPRに向けて沖縄の研究者らが四つの報告書を提出したことを説明。その上で「ペルーは沖縄の固有名詞を出して人権状況の改善を勧告した。これまでにない大きな成果だ」と強調した。


 星野英一共同代表(琉球大教授)は、米軍基地建設に反対する市民が逮捕された事例を挙げ「表現の自由が侵害されている」と説明。同研究会として声明文を出し、国連に働き掛けたことを報告した。


辺野古・新護岸着工3週間 防止膜内 海水濁る  2017年11月28日

米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、新たな護岸工事が始まってから27日で3週間となった。辺野古崎南西側2カ所のうち、「N5」護岸は約100メートル、「K1」護岸は約50メートル造成されていることが確認された。実{計画では「N5」護岸が273メートル、「K1」護岸は216・6メートルまで延ばす。 後略


18年度沖縄県経済成長、2.6%の見通し 観光や雇用、好調維持 おきぎん研 2017年11月29日

おきぎん経済研究所(東川平信雄社長)は28日、2018年度の沖縄県経済の見通し推計を発表した。県内の観光業が好調を維持することや、企業活動や雇用環境の改善などを反映して、18年度の実質県内総生産は約4兆5860億円で、17年度と比較してプラス2・6%程度の成長率になると見通した。

 内閣{が7月に発表した年央試算では、18年度の実質国内総生産成長率を前年度比プラス1・4%程度と見込んでいる。同研究所の推計では、全国と比較して県内で高い水準で景気の拡大傾向が続くとみている。

 項目別では個人消費などを含む「民間最終消費支出」は、人口の増加や観光が好調を維持すると見込んで約2兆7550億円で成長率は17年度比プラス0・8%。企業の設備投資などを含む「民間総固定資{形成」は、不動産価格の上昇などから約7890億円で同プラス5・5%だった。

 那覇空港の第2滑走路建設やモノレールの延長など、インフラ整備も活発なことから、公共事業を含む「公的総固定資{形成」は約3850億円で同プラス2・0%となった。


「新基地建設阻止で連携を」 ジュゴン訴訟米側弁護団が県と協働確認 2017年11月29日

米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設工事の現状を把握するため、来沖している米ジュゴン訴訟米国側原告団ら7人は29日、県庁に富川盛武副知事を訪ねた。

 生物多様性センター(CBD)のピーター・ガルビンさんは「県やジュゴンにとって極めて厳しい状況」ではあるが、来年5月の差し戻し審理に期待を寄せた上で「新基地建設の阻止に向け、連携して闘い抜こう」と呼び掛けた。富川副知事も「皆さんの活動は非常に心強い」と述べ、協働を確認した。

 10月にジュゴン訴訟は連邦地裁での差し戻し審理が確定したことを受け、今回、CBDのメンバーや人権弁護士らが来沖した。辺野古の現状を把握し、{国の弁護士らに最新情報を共有することで次の裁判に備える構えだ。

 ガルビンさんは一行の中には米国先住民で、自決権を巡る諸問題に熱心な活動家も含まれていることを紹介し、沖縄県民と先住民が直面する問題の類似点の多さを指摘した。