琉球新報 10月

2017年11月10日 19:21
沖縄県、辺野古工事停止の行政指導 希少種サンゴ発見報告遅れ受け
2017年10月2日
 名護市辺野古の新基地建設を巡り沖縄県は2日、事業主の沖縄防衛局に対して公有水面埋立法に関連し、工事停止の行政指導を行った。2日に県庁で会見した翁長雄志沖縄県知事は、建設予定海域で希少種サンゴ群体が見つかっていたにもかかわらず、それまでの県の照会に報告してこなかったことなどを挙げ「不適切かつ不誠実。環境保全の視点を欠き、工事進捗(しんちょく)を優先する防衛局の姿勢は大変遺憾だ」と批判した。指導では工事を停止した上で、県の立ち入り調査に応じることなどを求めた。
 見つかった希少種サンゴについて、今後予定される防衛局の特別採捕許可申請については「厳正、かつ適切に対応していく考え」と述べた。


「オスプレイ配備認めぬ」 辺野古ゲート前、緊急着陸や墜落受け
2017年10月2日
米軍普天間飛行場に伴う名護市辺野古への新基地工事で、米軍キャンプ・シュワブのゲート前には2日午前、新基地に反対する市民約40人が座り込んだ。ヘリ基地反対協議会の安次富浩共同代表は、オスプレイの緊急着陸や墜落が相次いだことに触れ「欠陥機のオスプレイが、新基地ができると100機も配備される。とんでもないことだ。辺野古に新しい基地は造らせない」と訴えた。

 午前9時ごろ、県警機動隊が座り込む市民を強制排除し、歩道上に囲い込んだ。砕石や砂利を積んだ大型トラックや生コンリート車など工事車両68台が基地内に入った。

 座り込む女性に、女性警察官で対応することを引き続き求めていこうとの呼び掛けもあった。スカートで座り込む女性もいた。

仮設道路建設予定地で作業を進める重機と新基地建設に抗議するカヌー隊=2日午前、名護市の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部
 辺野古崎西側の「N5護岸」建設予定地付近では、仮設道路工事現場に大型トラックが土砂を下ろし、重機でならす作業が行われた。海上では、新基地に反対する市民がカヌーで抗議行動を展開した。


「工事止めサンゴ調査を」 新基地建設で名護市長 衆院選、辺野古への無関心懸念
2017年10月3日
名護市の稲嶺進市長は3日午前の定例記者会見で、辺野古の新基地工事を停止してサンゴ類の保全対策を県と協議するよう県が沖縄防衛局に行政指導したことについて「工事を中止して影響を確認する調査をすべきだ」と述べ、沖縄防衛局が県の指導に従うよう求めた。

 見つかった希少サンゴの大半が死滅していたことに「工事を止めてなぜこうなったのか説明すべきだ」と述べた。工事によるサンゴへの影響については「工事の影響が明らかに想定できると思う」と指摘した。

 衆院選で全国的には、辺野古新基地の問題が主要な争点になっていないことについて、「日本全国民が等しく負担を分かち合うべきだと言ってきた。意図的な排除ではないか。無関心が広がるのを懸念する」と述べた。


「工事進める考え変わりなし」 防衛相が県に反論 名護市辺野古の新基地建設工事続行を明言
2017年10月3日
小野寺五典防衛相は3日の閣議後会見で、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、県が絶滅危惧サンゴの報告遅れなどが「不適切」だとして工事を停止するよう沖縄防衛局を行政指導したことに対し、「不適切かつ、不誠実な対応であるとの沖縄県側のご指摘は当たらない」と反論した。

 その上で「工事を進めていく考えには変わりはない」と工事を続行すると明言した。

 防衛省は絶滅危惧サンゴを移植する手続きとして、翁長雄志知事に特別採捕許可申請を予定している。

 一方、県側は特別採捕許可を工事停止の知事権限の一つとみており、慎重に対応する考えをみせている。

 小野寺氏は工事は埋め立て承認願書に付された留意事項に沿って、環境監視等委員会の指導、助言も受けて「県側と協議を行うなど適切に進めてきた」と正当性を主張した。


「欠陥機が頭上を飛ぶ」 ゲート前に50人座り込み オスプレイ危険性指摘相次ぐ 海上、資材搬入路建設作業進む
2017年10月5日

米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設に反対する市民ら約50人が5日午前、米軍シュワブ・ゲート前に座り込み、基地建設阻止を訴える抗議集会を開いた。午前11時までに工事車両による資機材などの搬入は行われていない。
 【辺野古問題取材班】米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設に反対する市民ら約50人が5日午前、米軍シュワブ・ゲート前に座り込み、基地建設阻止を訴える抗議集会を開いた。午前11時までに工事車両による資機材などの搬入は行われていない。
 集会では、普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが9月29日に石垣空港に緊急着陸して駐機を6日間続けた上で、10月4日夜に普天間飛行場へ戻ったことに触れる発言が多く聞かれた。

 トラブルが相次いでも十分な説明もないままオスプレイの飛行が続くことに抗議の声が上がった。普天間飛行場が所在する宜野湾市に住む屋良朝敏さん(68)は「いつ落ちてもおかしくない欠陥機が頭の上を飛んでいる」と訴えた。
 大浦湾海上の辺野古新基地建設現場では、シュワブ沿岸部の「K1護岸」と「N5護岸」建設に使う資材搬入用道路の設置に向けた動きとみられる作業が続いている。5日午前には、シュワブ内の道路のガードレールの一部を外したり、重機でオイルフェンス(汚濁防止膜)を浜辺に並べたりする作業が確認された。新基地建設に反対する市民らは抗議船2隻とカヌー10艇で抗議した。【琉球新報電子版】


事実上、仲里、西銘氏の争い 衆院選・沖縄4区
• 2017年10月08日 八重山毎日
自衛隊配備が最大争点
10日公示、3氏立候補へ
 22日投開票の衆院選は10日公示され、沖縄4区には無所属前職の仲里利信氏(80)、自民党前職の西銘恒三郎氏(63)、幸福実現党の新人富川泰全氏(38)が立候補する。仲里氏が選挙区を死守するか、前回選挙区で敗れ比例で復活した西銘氏が雪辱を果たすか、事実上、前職同士の一騎打ちの争い。先島では自衛隊配備問題が最大の争点。仲里氏は反対、西銘氏と富川氏は推進と違いが鮮明になっており、民意がどう反映されるか注目される。
 公示日は、仲里陣営が午前9時から、気象台西通り北方の3号線沿いの事務所で出発式を行う。仲里氏は13日に来島、大川公民館で午後7時から行われる総決起大会に臨む。
 西銘陣営は午前9時から、みつわ産業向かいの事務所で出陣式。西銘氏は、15日午後2時から市健康福祉センターで行われる合同総決起大会に、比例九州・沖縄ブロックに立候補する公明党前職の遠山清彦氏(48)と臨む。
 富川氏は公示日に石垣島に入り、午後0時50分ごろから730交差点で街頭演説を行い、ユーグレナモールを練り歩いた後、宮古島に渡る。
 先島での最大の争点となる自衛隊配備問題について仲里氏は「軍隊のいるところが直接攻撃を受ける。自衛隊に土地を売れば永代まで国の防波堤になる」、西銘氏は「規模や中身について議論があるにせよ、平和を維持するためには必要。南西諸島に存在することは当然だ」との立場。
 憲法改正については仲里氏は「憲法9条を生かし平和的外交による話し合いで解決する」、西銘氏は「自民党結党以来の党是。自衛軍か国防軍として位置付けるべきだ」としている。
 富川氏は「先島への自衛隊配備を早め、島を守る抑止力を高める」「憲法9条を改正し、『自分の国は自分で守る』防衛体制を築く」と主張している。


東村高江で米軍ヘリ炎上 大型輸送ヘリCH53、民間地で大破
2017年10月12日
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属のCH53E大型輸送ヘリコプターが11日午後5時20分ごろ、米軍北部訓練場に近い沖縄県東村高江の車地区の牧草地に不時着し、炎上した。機体は大破した。
 国頭地区行政事務組合消防本部などによると、11日午後5時35分ごろ「高江で米軍機が墜落炎上した」との通報が近隣の住民からあった。在沖米海兵隊は「訓練飛行中に出火したため、緊急着陸した」と発表した。周辺住民、乗組員7人ともにけがはなかった。炎上現場は県道70号に近い民間地、最も近い民家から約200メートルの距離だった。

 米軍ヘリが墜落現場上空を旋回して消火活動を実施し、国頭消防も放水した。約3時間後の午後8時17分に鎮火を確認した。


集落騒然、あわや大惨事 高江の米軍ヘリ炎上、何度も爆発音 「もう少しで死んでいた」
2017年10月12日 
11日夕方、沖縄本島北部の米軍北部訓練場に近い沖縄県東村高江で米海兵隊のCH53大型輸送ヘリが不時着・炎上した事故。地元の住民が日ごろ抱いていた不安が現実となり、衝撃が広がった。昨年12月の名護市安部に米軍輸送機オスプレイが墜落し1年もたたないうちに、再び事故が起こった。
 「もう少しで死んでいた」「ボンボンと何回も燃えた」。東村高江の住民は声を震わせながら言った。満天の星空が広がる集落上空にはヘリコプターが飛び交い、救急車とパトカーのサイレン音が響いた。現場周辺には、消防や警察、米軍車両が行き来し、赤色灯とライトに照らされ、現場付近は油が燃える臭いが充満し、人口約130人の小さな集落は騒然となった。

 11日午後5時半ごろ、炎上現場から200メートルほど離れたところに住む西銘美恵子さん(63)が庭の草刈りをしている時だった。車で戻ってきた義父・清さん(87)が美恵子さんに「臭いがするけど」と言った。清さんは現場から100メートルの豚舎にいた。美恵子さんと清さんが庭のタンクに登ってみると、牧草地から黒煙が上がり、赤々と炎が燃えているのが見えた。

 黒煙の中からはヘリの前方部分が見えた。爆発音が上がると同時に2、3回大きな火柱が上がった。美恵子さんは、燃え上がる米軍ヘリの残骸を見ながら「どこに落ちていたか分からない。もう少しで死んでいた」と思わずつぶやいた。

 清さんから電話を受けた美恵子さんの夫の晃さん(64)は畑から急いで自宅に戻った。操縦席のある前方部分が燃えているのを確認。晃さんは炎上現場に向かおうとしたが、男性の米兵が6人、女性の兵士が1人、ヘリの方向から晃さんの方に向かって来た。

 女性の米兵が英語で「不時着したから逃げてきた。危ないから離れて」と伝えた。清さんは「ボンボン何回も爆発音がした。何かに引火するような爆発音だった。爆発音が大きいのも小さいものもあった」と語った。

 米軍ヘリが炎上した現場は晃さんの牧草地だ。西銘さん一家は牛やヤギのえさになる乾燥した草を売って生計を立てている。

 今は草の収穫時期のピークを迎えている。晃さんは「牧草地のど真ん中に落ちている。機体を片付けるためにどれだけ時間がかかるか分からない」とうつむきながら言った。「もう飼料用としては使えない。もうあきらめるしかない。仕事は完全になくなった」。語る言葉は怒りに震えていた。


「基地撤去しかない」 県民会議など緊急集会 2017年10月13日 
米軍CH53が沖縄県東村高江の民間地で不時着し、炎上したことを受け、「基地の県内移設に反対する県民会議」と普天間爆音訴訟団は12日、北中城村の米軍キャンプ瑞慶覧石平ゲート前で緊急抗議集会を開いた。200人を超える市民が集まり、事故に対して怒りの拳を突き上げた。
 集会には仕事を終えたばかりの市民らが集まり、繰り返される米軍の事故に抗議の意を示した。高江ヘリパッド建設反対現地行動連絡会の仲村渠政彦共同代表は「高江の住民はずっと不安を抱えながら暮らしている。昨日の事故も起こるべくして起きた。力を合わせて頑張ろう」と訴えた。

 県民会議の山城博治共同代表は「とんでもない事故が起きた。未来や子どものために、怒りの声を発信していこう」と呼び掛けた。

 普天間爆音訴訟団の島田善次原告団長は「もう許してはならない。どういう世界を子どもたちに残せるか。もっと真剣に、力を入れなければならない」とげきを飛ばした。

 比嘉努さん(52)=那覇市=は「もう我慢できない。米軍の事件事故を無くすためには、無条件で基地を撤去するしかない」と語気を強めた。


高江ヘリ炎上に200人抗議 全基地撤去訴え東村で集会  2017年10月15日
米軍普天間飛行場所属のCH53Eヘリが不時着し炎上したことに対する抗議集会が15日正午から、事故現場に近い東村高江の米軍北部訓練場メーンゲート前で開かれた。ヘリパッドいらない住民の会とヘリパッド建設反対現地行動連絡会の主催。約200人(主催者発表)が参加し「基地があるゆえの事故。全基地を撤去させよう」と訴えた。
 抗議声明では「命を守るため、二度と同じようなことが起きないよう、米軍と国に抗議する」と強調し、北部訓練場の全面返還などを求めた。
 参加者は肩を組んで「沖縄を返せ」などを歌い、ガンバロー三唱でこぶしを突き上げた。
米軍普天間飛行場所属のCH53Eヘリが不時着し炎上したことに対する抗議集会が15日正午から、事故現場に近い東村高江の米軍北部訓練場メーンゲート前で開かれた。ヘリパッドいらない住民の会とヘリパッド建設反対現地行動連絡会の主催。約200人(主催者発表)が参加し「基地があるゆえの事故。全基地を撤去させよう」と訴えた。
 抗議声明では「命を守るため、二度と同じようなことが起きないよう、米軍と国に抗議する」と強調し、北部訓練場の全面返還などを求めた。

 参加者は肩を組んで「沖縄を返せ」などを歌い、ガンバロー三唱でこぶしを突き上げた。


「北部訓練場撤去を」 高江米軍ヘリ炎上で抗議集会 きょう飛行再開か 2017年10月16日 
米軍普天間飛行場所属のCH53Eヘリコプターが不時着し、炎上した事故で、ヘリパッドいらない住民の会とヘリパッド建設反対現地行動連絡会は15日、緊急抗議集会を事故現場に近い東村高江の米軍北部訓練場メインゲート前で開いた。事故後初めて開かれた抗議集会に県内各地から約200人が集まり「基地があるゆえの事故。北部訓練場を全面返還させよう」などと訴えた。在日米軍は普天間飛行場に所属する同型機の運用を96時間停止すると12日発表しており、期限が切れる16日にも飛行を再開させる可能性がある。東、国頭、大宜味の3村議会は17日、抗議決議案を提案、可決する見通し。
 集会の抗議声明は、高江集落を囲むように6カ所のヘリ着陸帯が新たに建設され、住民は不安を抱えて暮らしてきたと指摘した。「命を守るために、二度と同じことが起きないように、米軍と国に対し抗議する」などと強調し、北部訓練場の全面返還などを求めた。
 現地行動連絡会の仲村渠政彦共同代表は「(事故防止の)解決策は一つ。北部訓練場を全面返還させることだ。高江の問題を沖縄全体で取り組んでいかないといけない」と強調した。
 参加者は「北部訓練場を含めた全ての基地撤去まで頑張ろう」などと声を上げ、基地に向かってこぶしを突き上げた。
 事故を受け在日米軍は同型機を96時間運用停止にすると12日に発表した。だが、小野寺五典防衛相は13日「事故原因と安全が確認されるまで運用停止されることが適当だ」として期限を定めず飛行停止するよう米側に求め、同意を得られたと説明している。
 事故が起きた地元の東村議会(安和敏幸議長)は17日、臨時会を開いて抗議決議案と意見書案を提案する。全会一致で可決する見込み。東村と共に北部訓練場をがある国頭村、隣接する大宜味村も同日、抗議決議案を可決する見通し。
 東村議会の議員団8人は事故翌日の12日、事故現場を訪れ、黒焦げになった機体を確認した。

辺野古沖のサンゴが損傷 市民団体「鉄板の重りが傷」  2017年10月17日
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で市民団体のヘリ基地反対協議会は16日、防衛省沖縄防衛局が名護市の辺野古沖に沈めた鉄板の重りがサンゴを傷つけているとして、写真を公開した。
 撮影場所は辺野古崎と長島の中間付近。13日、ダイビングチームのレインボーが撮影した。

 重りは海上の浮具(フロート)を固定するため鉄板を重ねてブロック状にしたもの。重りにぶつかったとみられるサンゴが大きく割れ、破片が鉄板の下敷きになっている様子などが確認された。

 6月ごろ撮影した写真では、鉄のアンカーがサンゴに引っ掛かっていた。

 レインボーの牧志治代表は「防衛局は環境破壊することを知りながら、鉄板やコンクリートブロックを設置している」と批判した。

 同席した日本自然保護協会の安部真理子主任は「大きなブロックは周囲の潮流を変える恐れがあり、何重もの意味で環境に影響を与えている」と指摘した。

 同協議会は25日に大浦湾で、辺野古新基地に反対する大規模な海上抗議行動を計画し、合わせて100隻の参加を目指している。


知事「着陸帯撤去を」 米軍ヘリ飛行強行  2017年10月19日 
在沖米海兵隊は18日、東村高江での炎上事故後、運用停止していた普天間飛行場所属の大型輸送ヘリコプターCH53Eの飛行を再開した。これを受け翁長雄志知事は高江地区を取り囲むよう配備されている米軍北部訓練場の六つのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の撤去を求める意向を初めて示した。翁長知事は「私たちの気持ちからすると使用禁止だ。切なる思いは撤去だ」と記者団に述べた。県、市町村、日本政府に原因究明や再発防止策の説明がないままの米軍による飛行再開強行に県内から反発が相次いだ。事故機の解体作業を続ける米軍は現場から機体を搬出する作業を19日にも開始するとみられる。
 18日午前10時42分、米軍普天間飛行場からは最初のCH53Eが飛び立ち、午後からは離着陸を繰り返していた。事故があった高江地区上空でも同型機が確認された。事故現場では、米軍関係者が重機で機体の撤去に向けた作業を続けた。

 また県と沖縄防衛局は同日、県庁で記者会見し、事故機付近などの放射線調査の結果、「いずれも異常な値は検出されなかった」として事実上の「安全宣言」を行った。

 翁長知事は那覇市の県議会棟で記者団に、飛行再開強行について「米軍の姿勢は断じて容認できず言語道断だ。米軍の対応を許した日本政府の当事者能力にも疑問を禁じ得ず、政府の責任で納得のいく対応を強く求める」と抗議した。さらに「あの状況で原因究明ができているわけがない。それを究明はもう終わったという形で押し切っていくのが日本の現状だ」と憂えた。


 小野寺五典防衛相は防衛省で記者団に、飛行再開について「誠に遺憾だ」と強調した。翁長知事がヘリパッドの撤去を求めたことについては、新ヘリパッド建設を前提条件に北部訓練場の過半が返還されたことを説明した上で「米側に安全な運行を心掛けるよう要請したい」と撤去要求を拒否した。

 防衛省が派遣した自衛官に対し米軍は17日、再発防止策などを説明した。だが、小野寺氏は米軍の説明内容は不十分だとして「安全性が確認されるまで飛行停止すべきという立場は変わっていない」との認識を示した。

 米軍普天間飛行場を抱える宜野湾市の佐喜真淳市長は市役所で取材に応じ「市民が不安に思っている中で、安全性がしっかりと確認されないままに飛行したのは極めて遺憾だ」と憤慨した。
米軍、現場土壌を搬出 証拠隠滅疑いも 高江ヘリ炎上  2017年10月21日
 東村高江での米軍大型輸送ヘリコプターCH53Eが不時着・炎上した事故で、県と沖縄防衛局は20日、有害物質の調査を目的に事故現場で土壌採取を実施したが、途中から米軍が事故現場の土壌を掘り起こし、搬出作業を開始したため、当初予定した条件での土壌採取ができなかった。米軍はショベルカーで土を掘り起こし、大型トラック5台分の土を運び出した。事故による環境汚染の有無の判断には、現場の土壌の採取は不可欠。識者からは米側による証拠隠滅を指摘する声もある。
 土地の所有者の西銘晃さん(64)は、事前に米軍から説明を受けていたが、持ち出す土の量については説明はなく、大量に持ち出す状況に驚いていた。

 沖縄防衛局は同日、県と防衛局が土壌サンプルを採取するまで、米軍に対し土壌の掘り起こしや搬出作業を中止するよう求めたが、米側は作業を続行した。県や防衛局に米側から事前に土壌の搬出について連絡はなかった。西銘さんは土壌を調べるためと説明を事前に聞いていたが、20日に米軍から「細かい部品を回収するため土ごと持ち出す」との説明を受けたという。

 県と防衛局は13日と17日に、内周規制線沿いで土壌を採取したが、事故機から距離があったほか必要量に足りなかったことなどから、引き続き機体直近での土壌採取のための立ち入りを求めていた。20日に立ち入りが認められた。

 県によると、県と防衛局は採取予定だった7カ所のうち、午前中に風下、風上40メートルの2カ所の土壌は採取したが、その後米軍に内周規制線外に誘導され、米軍による土壌の掘り起こしと搬出作業が始まった。米軍が事故現場の土壌の大量搬出を終えた後に、防衛局と県は再び内周規制線内への立ち入りが認められ、炎上地点の土壌を採取した。

 池宮城紀夫弁護士は地位協定第17条に関する日米合同委員会の合意事項で、基地外で発生した米軍用機事故現場での措置として「当該財産に対し不必要な損害を与えないよう最善の努力を払われなければならない」とされていることを挙げ「(米側が)土壌を持ち去る行為は合意事項に反する。合意を無視した措置だ。放射能の汚染など危惧される中で証拠隠しの疑いも持たれる」と問題視した。

 この日、米軍は炎上した機体回収を全て終えた。
在日米軍基地縮小を 鳩山元首相、辺野古強行を批判  2017年10月28日
東アジア共同体研究所理事長の鳩山由紀夫元首相、琉球民族独立総合研究学会の松島泰勝龍谷大教授、東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会の木村朗鹿児島大教授は26日、都内の日本外国特派員協会で会見し、北部訓練場のヘリパッド建設や辺野古新基地建設の強行を批判した。鳩山氏は「沖縄をはじめ日本から米軍基地を減らすことで、北朝鮮などが日本を攻撃する意図を無くしていくことが重要だ」と強調した。
 鳩山氏は政府の北朝鮮問題への対応について「対話の時代は終わったとするのは間違いだ。制裁の延長には戦争しかなくなる。そんな考えだから辺野古や高江の米軍基地新設、自衛隊の増強という発想になる」と批判した。「中国も含め、脅威は能力かける意図だ。その意図を無くしていけばいい」と主張し、沖縄をはじめ日本全国で米軍基地を減らすことを提起した。

 その上で東アジア共同体を実現することで軍事的衝突を回避できるとの考えを示した。

 松島氏は独立論を展開した。「沖縄は植民地であり続けている。軍事基地化が進んでおり、日米は沖縄で戦争をしてもいいというメッセージを発している。そこから抜け出すことを重視している」と述べた。

 木村氏は昨年9月に発足した東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会の活動を紹介し、沖縄が自己決定権を行使していくことの重要性を指摘した。