琉球新報5月

2018年07月01日 20:39

辺野古抗議「県内」から参加が84% 「県外」は15・6%  実行委「情報発信が重要」

2018年5月5日

4月23~28日に実施された「辺野古ゲート前500人行動」の参加者へのアンケートを、同実行委員会が4日までに集計した。実行委のまとめでは、回答した411人中、沖縄県内からの参加が346人で84・2%、県外からの参加は64人で15・6%だった。

 実行委は「県民主体の運動であることが表れた。『外国の工作員が辺野古の運動を扇動している』といったインターネット上の言説を否定するデータにもなる」と強調している。国外からの参加は1人で0・2%だった。アンケートは行動最終日の4月28日に、参加した市民ら1488人に協力を呼びかけ、実施した。

 

 一方、参加者の年代は回答のあった413人中、60代が183人で最も多い44%を占めた。70代が134人で32%、50代が41人で10%と続いた。実行委はアンケートを採った日が土曜日だったが、参加者に現役世代が少なかった点に触れ「50代以下への呼び掛けに力を入れる必要がある。辺野古の現状を知ってもらえるよう、ネットでの発信などが重要になる」とした。

 アンケートでは行動に参加した感想も尋ねた。参加者からは「停滞していたゲート前に活気を与えた」「(県警が)抗議している人を囲いの中に入れトイレにも行かさないという権力の乱用を垣間見た」といった声が寄せられた。

「古里の石使わせない」 海上搬入 続く抗議 本部港塩川

2018年5月6日

米軍普天間飛行場の移設に伴う新基地建設への抗議が続く中、建設で使用される石材の搬出拠点となっている本部町本部港・塩川地区でも、町民らが抗議の座り込みをしている。粉じん舞う中、「古里の石を名護市辺野古の新基地に使わせない」と、港のゲート前で声を上げる。町民らは「辺野古の米軍キャンプ・シュワブ前が陸路なら、塩川は海路の搬入拠点だ。塩川のゲート前にも多くの人が結集し、建設を阻止してほしい」と呼び掛けた。

 塩川の港は国道449号沿いにあり、周辺は県内でも有数の石材掘削地。4月24日も石材を積んだ大型車が頻繁に往復し、粉じんが舞っていた。1分間立つだけでほこりまみれとなり、目を開けることもままならない。事業者の散水車が道路を洗い流すが、すぐに元に戻る。

 

本部港・塩川地区に名護市辺野古新基地建設で用いる資材を搬入する大型車。本部町の町民らが抗議した=4月下旬

 塩川での積み出し作業は2017年12月15日に始まった。本部町島ぐるみ会議によると、5月1日までに計46日間の作業を確認した。12月は3日間、1月は6日間、2月は11日間、3月は7日間で、4月は18日間と膨れ上がった。1日最大で車200台弱が運搬しているという。

 同会議の阿波根美奈子さん(65)は、国道沿いに午前7時ごろから半日間座り込む。「辺野古埋立NO」と記されたボードを搬入車に向かって掲げた。ほかのメンバー十数人も港構内の護岸前ゲート前に立ち、のぼりを持って抗議する。メンバーが搬入を防ごうとすると、県警機動隊員が排除した。辺野古のゲート前と同じ光景が塩川の港でも繰り返される。

 

 阿波根さんは約40年前、結婚を機に夫の出身地・本部町に東京から移った。日本兵だった父親は満州に動員され、シベリアに抑留された。阿波根さん自身は医療従事者として働いてきた。「命を奪う戦争を起こさせず、加害者にならないためにも基地建設を阻止したい。自らできることとして、ここに座る」

 県管理の本部港の使用権限は県から本部町に移譲され、町が新基地建設工事に関する港使用の許可を出した。町島ぐるみ会議は許可の撤回などを町、県に求めてきた。事務局の高垣喜三さん(69)は、国による海上搬送が辺野古埋立承認の「留意事項」に違反していると指摘し、「工事の違法性も見過ごせない。辺野古に運ばせないためにも声を上げたい」と強調し、塩川への結集を訴えた。

「基地建設立ち向かう」 きょうから平和行進 結団式、500人が気勢

2018年5月11日

日本に復帰して46年を迎える沖縄を歩き、平和の大切さを訴える「第41回5・15平和行進」の全国結団式(主催・同実行委員会、沖縄平和運動センター)が10日午後、那覇市西の県男女共同参画センターてぃるるで開かれた。全国から労働組合や平和団体など約500人が参加し、11日からの行進に向け、ガンバロー三唱で気勢を上げた。平和行進は11日、2コースに分かれて出発する。

 11日は中北部・基地コースが米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設が進む米軍キャンプ・シュワブのゲート前で、南部・戦跡コースは県庁前県民ひろばでいずれも午前9時から出発式が行われる。最終日の「平和とくらしを守る県民大会」は13日午後1時半から宜野湾市の宜野湾海浜公園屋外劇場で行われる。
 実行委員長の山城博治沖縄平和運動センター議長は「辺野古、高江だけでなく、宮古も八重山も与那国も基地建設と戦争の脅威にさいなまれながら毎日を送っている」と米軍や自衛隊の基地建設が進む状況に触れた。その上で「73年前の地獄のようにならないためにも、力を合わせて立ち向かいたい」と訴えた。
 11日のシュワブゲート前での出発式の際、工事車両による資材搬入が実施される可能性に触れ、山城議長は「その時は、迷わず皆さんと一緒に座り込もうと思っている。意地を見せよう」とも呼び掛けた。

基地なき平和な沖縄を 平和行進参加者が集結 宜野湾市で「平和とくらしを守る県民大会」

2018年5月13日

沖縄が米統治下から日本へ復帰してから46年を迎える中、基地なき平和な沖縄の実現を訴える「平和とくらしを守る県民大会」(5・15平和行進実行委員会、沖縄平和運動センター主催)が13日午後、宜野湾市の宜野湾海浜公園屋外劇場で始まった。13日午後2時現在で3500人(主催者発表)が参加している。

 11日から始まった5・15平和行進で中北部・基地コースと南部戦跡コースを歩いた県内外の参加者らが続々と集まった。

 

「新基地建設反対」とシュプレヒコールをあげながら行進する参加者=13日午前10時ごろ、宜野湾市野嵩の米軍普天間基地野嵩ゲート前

 平和行進の最終日となった13日午前、参加者らは中宜野湾市役所を出発し、北部・基地コースと南部・戦跡コースが二手に分かれて米軍普天間飛行場を包囲するようなコースで歩き、過重な基地負担の解消や平和憲法の維持などを求め、政府へ抗議の声を上げた。

 主催者あいさつで実行委員長の山城博治沖縄平和運動センター議長は「辺野古の埋め立てや先島の基地強化など課題は目白押しだが、全国の仲間と手を取り抗議したい」と強調した。【

「沖縄に申し訳立ちません」 「通販生活」が特集 基地の引き取り問う

2018年5月13日


沖縄特集で、稲嶺進前名護市長の「基地を全国で負担して」との訴えなどを掲載した「通販生活」2018夏号

 【東京】沖縄の米軍基地問題などを随時特集している「通販生活」(カタログハウス)は最新号の2018夏号で、改めて基地の本土への引き取りなどを問う沖縄特集を掲載している。作家の落合恵子さんと稲嶺進前名護市長との対談や、「沖縄県民に申し訳が立ちません」との見出しを掲げた、東京の基地引き取り運動の代表らのインタビューと合わせて15ページにわたる。

 稲嶺さんは落合さんとの対談の中で「本土の引き取り運動以外、沖縄の問題はよそ事というのが本音ではないか」と指摘した。それを受けて落合さんは「辺野古新基地建設ストップ、日米地位協定改訂、本土への基地引き取り、三つの宿題に本土の私たちがどう応えるかが問われている」と応じた。

 インタビュー記事では、東京外国語大の伊勢﨑賢治教授と東京新聞の半田滋論説兼編集委員が登場。さらに、沖縄の基地を引き取る会・東京の飯島信さんは「本土への引き取りは加害者としての責任で、本土にも基地はいらないとの考えが沖縄集中の現状追認になりかねない」と指摘した。

 特集を担当した通販生活読み物編集長の平野裕二さんは「特集を読んで引き取り運動を初めて知った、無関心ではいけないという読者もいて、このままでは駄目だと思う人が増えている。ただその一方で、無関心層が多いのも事実」と読者の反応を説明した。

辺野古 囲われる海、続く抗議

2018年5月16日

米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沖での新基地建設で、国による工事強行が続いている。現在、国は埋め立て区域南側を覆うK4護岸の建設を進めており、15日、砕石を投入する作業が確認された。

 護岸建設工事を測量で監視している土木技術者の奥間政則さん(52)によると、K4護岸は14日時点で全長1029メートルのうち、約47%に当たる483メートルが完成している。奥間さんは「1日10メートル程度の護岸工事が進んでいる。護岸の約80%が完成している埋め立て区域もあり、この現状を県民に知ってほしい」と警鐘を鳴らす。K4護岸の建設が進むと、護岸で囲われた区域が現れる。国は7月にも土砂投入を始め、埋め立て工事を本格化させる方針だ。

 一方、基地建設に反対する市民らはカヌー13艇を出し、海上から抗議の声を上げた。同基地ゲートからは15日、車両324台分の資材搬入があった。市民ら約30人が「戦争につながる基地は要らない」などと、車両の運転手らに抗議した。

翁長知事退院 本格復帰時期に注目

2018年5月16日

沖縄県の翁長雄志知事が15日に開いた会見は、予定より早い退院をアピールし、膵臓(すいぞう)の腫瘍を摘出した手術の成功や順調な回復など、憶測とともに流れている健康不安説の払拭(ふっしょく)を図った格好だ。

 12月までの任期を全うすることに意欲を示した一方で、がんの中でも治りにくいといわれる膵臓がんが確定したことに動揺も広がる。退院後も通院しながら抗がん治療を続ける中で、公務への復帰のめども今後の治療次第となり、2期目出馬については依然、見通しにくい状況といえそうだ。

 退院直後から報道機関の質問に受け答えする姿を県民に見せることで、今後の県政運営においてトップ不在という見られ方を解消し、政治的な判断を下すのに支障がない体制であることを内外に示す狙いがあったとみられる。

 特に米軍普天間飛行場の県内移設で国が7月にも名護市辺野古海域へ土砂の投入を始めようとする中で、県側は埋め立て承認「撤回」の時期を巡って重大な局面を迎えつつある。

 県が承認撤回に踏み切った場合でも、国はその効力を失わせる執行停止を裁判所に申し立て、1カ月程度で工事を再開させる方針だ。県政は秋の知事選で与党陣営を勝利に導くことを見据えながら、「撤回」という基地建設への異議申し立ての影響力を最大化するタイミングを計っており、県幹部は「知事の高度な政治判断になる」と指摘する。

 普天間飛行場の辺野古移設の是非を問う県民投票の実現に向け、市民主体で署名活動が始まる動きも加わり、撤回時期の判断は複雑化している。

 政局観に長けた翁長知事の退院により、今後の基地問題と知事選を巡る政治的な駆け引きが水面下で一気に活発化することが予想される。

作家25人、辺野古訪問 座り込み市民らと交流

2018年5月20日

20日に宜野湾市で開催される日本ペンクラブの第34回「『平和の日』の集い」に参加するため来県した作家ら有志25人が19日、米軍普天間飛行場の移設に伴う新基地建設が計画されている名護市辺野古を訪れた。米軍キャンプ・シュワブのゲート前で基地建設に反対し座り込みを続ける市民と交流した。

 歌人の道浦母都子(もとこ)さんは「沖縄が好きで20回近く来ているが、そこに基地が集中していることが私には重いし、許せない。書くことで皆さんを応援したい」と話した。
 作家らは、稲嶺進前名護市長や山城博治沖縄平和運動センター議長から新基地建設問題について説明を受けた。稲嶺前市長は「沖縄に民主主義があるのか。地方自治があるのか。ペンの力で全国、世界の皆さんに沖縄の現実を知らせてほしい」と訴えた。近畿大学人権問題研究所客員教授の西村秀樹さんは「ペンには限界もあるが、心に平和のとりでを築いていきたい。今日は娘も来ているが、娘に日本は民主主義の国だと伝えたい」と話した。海上では市民がカヌー30挺、船4隻を出して抗議した。

辺野古「再検証が必要」  立民・枝野代表インタビュー 

2018年5月28日

立憲民主党の枝野幸男代表は28日、那覇市内で琉球新報のインタビューに応じ、今夏にも沖縄県連を発足させることを表明した。また、同党が「ゼロベースで検証する」としている名護市辺野古の新基地建設問題について、工事を強行する安倍政権を批判し、改めて建設に否定的な姿勢を示した。インタビューの内容は次の通り。 (聞き手・吉田健一)

 ―新基地建設について、党内に設置した検証委員会の進捗(しんちょく)状況は。
 「専門家から話を聞くなど会議を重ねてきた。党として、とにかくいったん立ち止まって再検証する必要があると考えている。今の工事の進め方は強引なやり方で、住民自治の点からもおかしい。辺野古に基地を造る必要があるか疑問だ。安全保障の観点からも、新基地に抑止力があるか、そもそも抑止力とは何なのか、緻密に精査する必要がある。検証の際には、変化する安全保障環境を常にアップデートしなければならない。かつて民主党政権は、県民の思いに応えきれなかった。なぜ応えきれなかったかも含めて再検証が必要だ」

 ―日米地位協定の改定について、多くの県民は抜本的改定を求めている。
 「沖縄では米軍による事件事故が相次ぎ、住民の不信感は高まっている。党としても抜本的な改定を求める立場だ。今の日米同盟は対等な同盟関係になっていない。相手があることだが、言うべきことは言うことが対等な同盟だ。これまでの日本政府は米政府と少しも交渉してこなかった。強く求めることで動く余地はある」

 ―県内に支持基盤がない中、支持拡大に向けてどう展開していくのか。
 「26日に宮古島市でタウンミーティングを開催した。まずは県民の皆さんに立憲民主党を知っていただき、ネットワークを広げていきたい。9月には統一地方選があるので、夏にも沖縄県連を立ち上げたい。県連を立ち上げることで、党として沖縄に関わっていきたい。スタート時の規模よりも5年先、10年先を見据えて広がりを持つ組織をつくる。新しい人にも出てきてもらいたい」

 ―秋の県知事選にどう対応するか。
 「沖縄は『オール沖縄』の枠組みの中で前に進んできた。その枠組みの中で、党として役割を果たしていきたい」

保革ブリッジ共闘へ  翁長知事支える 政経懇和会発足  企業や議員の受け皿に

2018年5月28日

県議会与党の会派おきなわを中心に翁長雄志知事を支持する地方議員や企業などは27日、「翁長知事を支える政治・経済懇和会」を発足させた。翁長氏再選に向け、県政与党の革新政党と距離をおく経済界や保守中道系議員の新たな受け皿として、4年前の選挙で保守系支持者の選挙母体となった「ひやみかちの会」の再現を目指す。

 知事選に向けては、県政与党などは前回知事選時にも発足させた調整会議を新たに結成し、翁長氏を擁立する方針を決定した。ただ、辺野古新基地建設の是非を問う県民投票を巡り、オール沖縄会議から脱会した金秀、かりゆしグループが参加していないなど、「革新色が強まっている」(与党県議)との不満が一部の県議や経済界から噴出している。会派おきなわが立ち上げた「懇和会」の発足は、そういった「オール沖縄」態勢に不満を持つ市町村議員や経済界を巻き込むことが狙いだ。4年前に調整会議が担った保守と革新の「ブリッジ共闘」を図る。

 27日の結成総会には当初の目標100社を超える107社の企業が参加した。金秀、かりゆしのほか、27日現在、那覇市、南城市、北谷町、西原町、嘉手納町、北中城村、中城村、読谷村の首長も加盟している。さらに、保守政治家として、超党派の枠組み実現に貢献した安慶田光男、浦崎唯昭両前副知事にも参加を呼び掛けていて、懇和会関係者によると、参加に前向きな意向を示しているという。

 ただ、翁長知事は膵臓(すいぞう)がんが発覚したことで、2期目出馬に黄色信号がともっている。総会終了後に会見した赤嶺昇会長は「会の名称は『翁長知事を支える政治・経済懇和会』なので、翁長知事が出ないという想定は全くしていない」と強調した。

 懇和会幹部の一人は「会の趣旨に賛同するが、翁長知事の体調を様子見する企業も多い。ただ、翁長知事を支援するための受け皿を求める企業は多く、参加企業はもっと増える」と自信をのぞかせた。

辺野古埋め立て 土砂搬出に反対 採取地関係者 県内で集会

2018年5月28日

名護市辺野古の新基地建設の埋め立て土砂採取予定地の12府県18団体でつくる土砂搬出反対全国連絡協議会(大津幸夫、阿部悦子共同代表)は27日、沖縄市民会館で「その土砂ストップ!沖縄集会 命の海に基地はいらない」を開いた。沖縄県と搬出県が協力して辺野古埋め立て土砂を搬出させないことを求める決議文を採択した。

 集会は、7月にも政府が土砂投入するとの見方がある中、県内外から220人が参加した。土砂搬出元とされる香川や鹿児島、山口、熊本などから8団体が登壇し、取り組みを報告。「古里の土砂を一粒たりとも戦争のために使わせない」と改めて新基地建設反対を訴えた。協議会は29日に沖縄県に対し、搬出県に協力を働き掛けるよう要請する。

 協議会の湯浅一郎顧問は、県外からの土砂搬入による外来生物混入で、沖縄固有の生態系を破壊する危険性を指摘。「生物多様性、非軍事をキーワードに運動を進めよう」と呼び掛けた。 全国港湾労働組合連合会の諸見力中央執行委員も登壇し「港湾で働く労働者の立場で、辺野古新基地建設の土砂を運ぶ仕事を強制させられるのは認められない」と強調した。